「創作大賞2023」別冊文藝春秋賞!秋谷りんこさん〈お仕事ミステリー〉『ナースの卯月に視えるもの』が書籍化
応募総数33,981件の日本最大級の創作コンテスト「創作大賞2023」(主催:note)にて「別冊文藝春秋賞」を満場一致で受賞した、秋谷りんこさんの『ナースの卯月に視えるもの』が書籍化され、文春文庫より刊行されました。
病棟で起こる小さな奇跡――元看護師が贈る、命の物語
本書は、元看護師のキャリアを存分に活かした秋谷りんこさんのデビュー作です。
特別審査員として別冊文藝春秋賞の選考に携わった小説家の新川帆立さんは、受賞時の選評にて「秀逸な設定、専門知識、読みやすい文章、優しい世界観、どれをとっても素晴らしい」とのコメントを寄せています。
【あらすじ】
完治の望めない人々が集う長期療養型病棟に勤める看護師・卯月咲笑(うづき・さえ)。
ある日、意識不明の男性のベッド脇に見知らぬ女の子の姿が。
それは卯月だけに視える患者の「思い残し」だった――。
彼らの心残りを解きほぐし、より良い看護を目指したいと奔走する日々が始まった。
ナースが起こす小さな奇跡に、心温まるお仕事ミステリー。
\note投稿時から絶賛の声多数!/
「この話、好きです。救いがあって。」
「ほわっと心があったまるようなミステリー」
「ドラマ化希望!」
「ずっと余韻に浸りたい素敵な作品」
「こんな世界があればいいな、と思いながら読みました」
\noteスタッフからも感動の声/
「どうしようもない現実の厳しさと、それでも希望を持つ大切さ――最終章でボロボロ泣きました」
「病に倒れたとき、戸惑いや不安と向き合うことの大切さを教えてくれる作品」
「感動せずにはいられない傑作」
「苦しい時に、何も言わず、ただ静かに寄り添ってくれる、親友のような作品」
「医療現場の息づかいが聞こえてくる医療ドキュメンタリーのようでもあり、斬新なミステリーでもあり、ラブストーリーでもある傑作」
「本が大好きな9歳の娘と共に堪能した」
「卯月の健気で優しく、しなやかな姿に、私の心残りにもそっと手を添えてもらったような気持ちになった」
<新川帆立さんも号泣!>
作家の新川帆立さんからは、
「号泣しました。
様々な痛みを抱えて生きる人々を、そっと包み込んで肯定してくれる優しい作品です。」
というメッセージが寄せられています。
著者コメント
看護師として患者さんの死と常に隣り合わせだった日々の記憶は、退職後も心にくっきりと残っていました。そしていつしか、看護師を主人公にした小説を書きたいという気持ちが抑えきれなくなっていました。
看護師たちが一人の人間として、何を思い、喜び、憂えているのか、表現したい。その一心で本作を書き始めました。
主人公・卯月咲笑は、患者の「思い残しているもの」を視ることができる能力を持っています。「思い残し」が卯月の前に現れるのは、患者が死を意識したとき。
このような不思議な設定にしたのは、私が向き合った患者さんの死を、いまだに忘れられないからかもしれません。
亡くなってしまったあの人は、最期に何を思っていたのか、汲み取りきれなかった思いを今なお知りたい。
そういう気持ちが小説に滲み出ている気がします。
家族や友人と一緒にいられること。笑ったり、泣いたり、ときには怒ったり、感情を通わせること。そのことがいかに貴重で、幸せなことか、この小説を書く中で、改めて感じることができました。
読んでくださった方が、大切な人と過ごす時間をより愛おしく感じ、絆を深めるきっかけとなれたら、とても嬉しく思います。
担当編集・川村由莉子さんのコメント
生き生きとした登場人物たち、ちょっと不思議で先が気になる設定、確かな専門知識に裏打ちされたエピソード。お仕事ミステリー小説ならではの面白さが詰まっていて、まさに私たちが求めていた作品に出会えた!と編集部一同歓喜しました。この作品の核となっているのは、秋谷さんの登場人物たちへの愛に溢れた眼差しと、命とひたむきに向き合われてきたご経験だと思います。心がぽっと温かくなる読後感でありながら、「現場」を知る方にしか描き出せないパワーが滲んでおり、その才能に惚れ込みました。創作大賞に参加してよかったと心から思っております。秋谷さんにしか書けない、魂のこもった感涙必至の物語を、ぜひお楽しみください。
著者プロフィール
秋谷りんこ(あきや・りんこ)さんは、1980年生まれ、神奈川県出身。横浜市立大学看護短期大学部(現・医学部看護学科)卒業後、看護師として10年以上病棟勤務。退職後、メディアプラットフォーム「note」で小説やエッセイを発表。
2023年「ナースの卯月に視えるもの」がnote主催の「創作大賞2023」で「別冊文藝春秋賞」を受賞。本作がデビュー作となる。
★note:https://note.com/rinko214/
★X:https://twitter.com/Rinko_Akiya
ナースの卯月に視えるもの (文春文庫) 秋谷 りんこ (著) |
◆なにかを美しい感じると呼吸が深くなる――文筆家・塩谷舞さん3年ぶりの新刊『小さな声の向こうに』が刊行 | 本のページ
◆せやま南天さん「創作大賞2023」朝日新聞出版賞受賞作『クリームイエローの海と春キャベツのある家』が書籍化 | 本のページ
◆人気ライター嘉島唯さんデビュー短編集『つまらない夜に取り残されそうで』が刊行 | 本のページ
◆『文藝春秋』三月特別号は九段理江さん「第170回芥川賞」受賞作『東京都同情塔』を全文掲載 、九段さんインタビュー記事や選考委員の選評も | 本のページ