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【第29回中原中也賞】佐藤文香さん『渡す手』が受賞

山口市は2月17日、新鮮な感覚を備えた優れた現代詩の詩集に贈る「第29回中原中也賞」の受賞作を発表しました。

 

第29回中原中也賞が決定!

第29回中原中也賞には、2022年12月1日から2023年11月30日までに刊行された現代詩の詩集240点の応募がありました。その中から最終選考候補作作品として選ばれた7作品を対象に、2月17日に開催された最終選考会で次の通り受賞作が決定しました。

 
<第29回中原中也賞 受賞作品>

佐藤文香(さとう・あやか)さん
『渡す手』(思潮社)

 
受賞者の佐藤文香さんは、1985年生まれ、兵庫県神戸市出身。早稲田大学第一文学部卒業。俳人。2009年に第一句集『海藻標本』で宗左近俳句大賞を受賞。今回の詩集『渡す手』は「定型詩である俳句の作者として培われてきた言語感覚が現れている」ことなどが評価され、受賞となりました。

写真:野村佐紀子

写真:野村佐紀子

佐藤さんには、正賞として中原中也ブロンズ像、副賞として100万円が贈られます。贈呈式は中原中也が生まれた日に合わせ、4月29日に湯田温泉ユウベルホテル松政(山口市湯田温泉) で開催。

 
選考委員は、カニエ・ナハさん(詩人)、川上未映子さん(作家・詩人)、野崎有以さん(詩人)、 蜂飼耳さん(詩人)、穂村弘さん(歌人) 。

受賞コメント、選考経過など詳細は、https://www.city.yamaguchi.lg.jp/soshiki/23/152575.html をご覧ください。
また、文芸誌『ユリイカ』(青土社)4月号に、受賞作の一部と選考会の内容が掲載されます。

 
なお、最終選考作品は以下の7作品でした。

【最終選考作品】
◎伊口さやさん『大人になったらこわくないよ』(思潮社)
◎大島静流さん『蔦の城』(思潮社)
◎貝塚津音魚さん『里山-イノシシのうた』(文化企画アオサギ)
◎姜湖宙さん『湖へ』(書肆ブン)
◎佐藤文香さん『渡す手』(思潮社)
◎佐峰存さん『雲の名前』(思潮社)
◎高橋実里さん『とおくの火』(日本大学芸術学部文芸学科)

 

中原中也賞について

中原中也賞は、日本の近代詩史に偉大な足跡を残した、山口市出身の詩人・中原中也の業績を永く顕彰するため創設された文学賞です。

山口市が主催し、「新鮮な感覚を備えた優れた現代詩の詩集」に授与されます青土社と角川文化振興財団が後援。

なお、。前々年12月1日から前年11月30日の間に刊行された現代詩の詩集(表紙・奥付のあるもの/翻訳・復刻・再版・遺稿集・全詩集・選集・外国語による詩集は除く)の中より、著者本人の公募および出版社・報道機関等の推薦による作品を対象に選考が行われます。

 

渡す手
佐藤文香 (著)

我々は
書き下し文のように
ひらかれた気分をしていた
(「森と酢漿」)

「佐藤文香の詩は、事物と人のあいだに隠された隙間さえも手渡すことができる」(岡本啓)。「詩の言葉と五感との豊かな邂逅が達成されている。そうして詩は、ひたすらに日本語に奉仕する」(石松佳)。「作品の背後には人間のたてるざわめきが感じられ、ふれあいの場面や、感情のことが書かれている」(平岡直子)。ジャンル、形式、社会通念にとらわれない自由な歩行。俳句に軸足を置きながら、境界を自在にわたっていく。「現代詩手帖」に連載された、6篇を含む、詩的濃縮を実現する新詩集。

 
【関連】
第29回中原中也賞が佐藤文香さんの『渡す手』に決定しました – 山口市ウェブサイト

 


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