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稀代のワルの「桃太郎」誕生! 芥川龍之介×寺門孝之さん〈ダークすぎるおとぎ話〉『芥川龍之介の桃太郎』が刊行

芥川龍之介による衝撃のダークすぎるおとぎ話『芥川龍之介の桃太郎』(挿絵:寺門孝之さん)が河出書房新社より刊行されました。

おとぎ話とは全く異なる、稀代のワルの桃太郎。平和で牧歌的な鬼が島にお供を連れて征伐に向かうが…。『芥川龍之介の桃太郎』は、現代の世の中を暗示するような物語と見応えのある挿絵で何度も読み返したくなる絵本です。

 

みんなが知っているおとぎ話が、芥川龍之介にかかるとこんなにも面白く考えさせる物語に! 100年前に書かれた、100年を超えて通用する物語

 
町田康さん、推薦!
「人間が相争う理由がわかった。こんな桃太郎が目の前に居ったら俺もついていく。目の虚無がえぐい。全員えぐい。」

 
誰もが知っているおとぎ話の『桃太郎』。桃から生まれた桃太郎が犬、猿、雉を連れて鬼が島に鬼退治に行くというストーリーの骨格は同じですが、いわば芥川龍之介によるパロディのような作品。芥川の手にかかると、ユーモアや皮肉などが随所に散りばめられ、こうも面白く、鋭く、厚みのある物語になります。

 
桃太郎と鬼との関係は、戦争や紛争の絶えない現代の世の中を表しているようで、100年前に描かれた本とは思えないぐらい。まるで予言の書かと思えます。

そんな芥川版『桃太郎』を現代世界に甦らせたのは寺門孝之さんによる、奇抜で素晴らしい挿絵です。全身ピンクで、編みタイツ姿の桃太郎は、まさに時空を超えて、物語を豊かに肉付けしています。

『芥川龍之介の桃太郎』本文より

『芥川龍之介の桃太郎』本文より

本書は2005年にピエ・ブックスから刊行された単行本の改題、改訂版であり、掲載画は一部差し替えと加筆修正をし、すべて原画からあらたにスキャニングを行っています。

芥川龍之介による文章を生かしつつ、若い読者にもひろく読まれるよう、一部省略をし、漢字にはすべて読みがなが振られています。

『芥川龍之介の桃太郎』本文より

『芥川龍之介の桃太郎』本文より

 

著者プロフィール

 
■著:芥川龍之介(あくたがわ・りゅうのすけ)

1892年生まれ、東京出身。東京帝国大学英文科卒業。「鼻」が夏目漱石の賞賛を受け、作家としての地位を確立。「羅生門」「杜子春」「或阿呆の一生」「河童」など小説をはじめ、随筆、童話、戯曲ほか多数の著作がある。

 
■画:寺門孝之(てらかど・たかゆき)さん

画家。神戸芸術工科大学教授。大阪大学文学部美学科卒業。「天使」や「夢」をモチーフに独自の絵画世界を切り開く。展覧会はじめ、書籍の装画、絵本など幅広く活動。著書に『天使ブック』『ぼくらのオペラ』ほか多数。

★X(Twitter):https://twitter.com/terapika
★Instagram:https://www.instagram.com/tterakado/

 

芥川龍之介の桃太郎
芥川 龍之介 (著), 寺門 孝之 (イラスト)

おとぎ話とは全く異なる、稀代のワルの桃太郎。平和で牧歌的な鬼が島にお供を連れて征伐に向かうが…。現代の世の中を暗示するような物語と見応えのある挿絵で何度も読み返したくなる絵本。

 
稀代の悪党「桃太郎」誕生!
桃から生れた桃太郎は鬼が島の征伐を思い立った。
思い立った訣はなぜかというと、彼はお爺さんやお婆さんのように、山だの川だの畑だのへ仕事に出るのがいやだったせいである。

 


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