【日本ファンタジーノベル大賞2024】宇津木健太郎さん「猫と罰」が受賞
新潮社は、未発表の創作ファンタジー小説を公募する「日本ファンタジーノベル大賞2024」の受賞作を発表しました。
日本ファンタジーノベル大賞2024が決定!
「日本ファンタジーノベル大賞2024」の最終選考会が10月25日に開催され、恩田陸さん、森見登美彦さん、ヤマザキマリさんの3選考委員による選考が行われました。その結果、応募総数396篇より選ばれた4作品から、独特の世界観と筆致を評された宇津木健太郎さんの小説「猫と罰」が大賞に決まりました。
なお、「小説新潮」2023年12月号(11月22日発売)に「愛しい猫達を誠実に描いたからこそ、彼らが運を招いてくれたのかも」と綴る受賞の言葉、受賞作の抄録と詳しい選考の過程が掲載されています。単行本刊行は2024年初夏の予定です。
【受賞者】
宇津木健太郎(うつぎ・けんたろう)さんは、1991年生まれ、埼玉県越谷市出身。本で溢れる家で育ち、気付けば小説を書くようになっていた。いつかはプロの作家になれると根拠の無い自信を胸に執筆を続け、同人活動を続ける中で2020年に『森が呼ぶ』で第二回最恐小説大賞を受賞。
※最恐小説大賞:小説投稿サイト〈エブリスタ〉と竹書房がノールール、ノータブーで募るホラー小説コンテスト。ジャンル不問、純粋にいちばん怖い作品を大賞とします。
【受賞の言葉】(一部抜粋)
先が見えず、いつ読者に飽きられるとも知れない創作の世界。落選が続き、「一回受賞と出版を経験しただけで終わるのでは」という恐怖を覚える日もありました。でも、心折れずに続ければいつか満足できる結果を残せるのだと、あらゆる創作をする作家達に届けばいい……そんな願いを込めて書いた『猫と罰』。本作が、長く暗い道を歩き迷う人の為の、小さな明かりになれることを願っています。
〔選評〕(一部抜粋)
◎恩田陸さん
「唯一、ユーモアが感じられた作品で、淡々とした文章に引き込まれた」
◎森見登美彦さん
「語り手の設定が面白いし、罰を受けた神様が営んでいる古書店という舞台も魅力的」
◎ヤマザキマリさん
「こうした内的な考察を促してもらえるファンタジーに出会えると心地よい」
<最終候補作品>
橘なわてさん「件の事」
佐々木麦さん「指先から滴るとりとめのない軌跡よ」
宇津木健太郎さん「猫と罰」
歌島小鳥さん「星屑と機械」
日本ファンタジーノベル大賞について
森見登美彦さん、畠中恵さん、西條奈加さん、古谷田奈月さんをはじめ、数々の小説家を輩出した「日本ファンタジーノベル大賞」は、日本語で書かれた自作未発表の創作ファンタジー小説を公募する文学賞です。一般財団法人「新潮文芸振興会」が主催、読売新聞社が後援。受賞作品は新潮社から単行本として刊行されます。
なお、同賞は第25回(2013年度)を機に休止していましたが、2017年に「日本ファンタジーノベル大賞 2017」として再スタート。以前は、読売新聞東京本社と清水建設(第10回までは三井不動産販売)が主催し、新潮社が後援という体制でした。
小説新潮 2023年12月号 小説新潮編集部 (編集) 【日本ファンタジーノベル大賞2024】大賞・宇都木健太郎「猫と罰」/選評/抄録/下読み委員座談会【ファンタジー特集「想像力の、その先へ」】一條次郎、須藤古都離、高丘哲次、武石勝義、藍銅ツバメ/特別対談・多崎礼(『レーエンデ国物語』)×三川みり(『龍ノ国幻想』)【『行儀は悪いが天気は良い』刊行記念対談】加藤シゲアキ×加納愛子【『ともぐい』刊行記念対談】角幡唯介×河﨑秋子【『思い出せない思い出たちが僕らを家族にしてくれる』刊行記念エッセイ】スズキナオ【読み切り】西條奈加 |
〔参考〕宇津木健太郎さん「第二回最恐小説大賞」受賞作
森が呼ぶ 宇津木 健太郎 (著) 私たち死ぬの、生まれるの 出版社の小説大賞に送られてきた一篇の小説原稿。 森奉教という土着の宗教が根づく山村、犬啼村。 第二回最恐小説大賞受賞、原始の恐怖に震撼するファウンドフッテージホラー! |
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