本のページ

SINCE 1991

【第14回山田風太郎賞】前川ほまれさん『藍色時刻の君たちは』が受賞

KADOKAWAは、過去一年間で最も「面白い」と評価されたエンタテインメント小説に贈る「第14回山田風太郎賞」の受賞作を発表しました。

 

第14回山田風太郎賞が決定!

第14回山田風太郎賞の選考会が10月20日に東京會館(東京・丸の内)にて開催され、受賞作が次の通り決定しました。

 
<第14回山田風太郎賞 受賞作品>

前川ほまれ(まえかわ・ほまれ)さん
『藍色時刻の君たちは』(東京創元社)

 
選考委員は朝井まかてさん、恩田陸さん、貴志祐介さん、筒井康隆さん、夢枕獏さん(※下記写真左より/五十音順)。

第14回山田風太郎賞の選考会及び記者会見は、会見場への参加、テレビ会議システム「Zoom」での参加、双方に対応した形式にて実施されました。

代表して選評を述べた貴志祐介さんは、「とても素晴らしい作品を山田風太郎賞の歴史の中に刻むことができてよかった」「現実が一番辛く恐ろしいということを教えてくれて、かつそれにとどまらず、その先にある希望というものをきちんと描いている」とコメント。

 
この日の記者会見で前川ほまれさんは、「嬉しくて今でも信じられない」「今回、ヤングケアラーをテーマに取材する中で、地元(宮城県)の風景が浮かんだ。大人になったヤングケアラーの子どもたちがどういうふうに生きているのか、ということと、もともと書きたかった震災(東日本大震災)のことをあわせて書いた」と感謝の言葉ともに作品に対しての思いを語りました。

前川さんには、正賞として記念品(名入り万年筆)と副賞 100万円が贈られます。

 
贈賞式および祝賀会は11月22日(水)に、いずれも東京會舘にて開催。角川三賞として、本賞と「第43回横溝正史ミステリ&ホラー大賞」「第14回小説 野性時代 新人賞」(主催:株式会社KADOKAWA)の贈賞式・祝賀会も、あわせて行われます。なお、選評は『小説 野性時代 特別編集 2023年冬号』に掲載予定です。

 
【参考】第14回山田風太郎賞 候補作品

◎白井智之さん『名探偵のいけにえ―人民教会殺人事件―』(新潮社)
◎高殿円さん『忘らるる物語』(KADOKAWA)
◎中脇初枝さん『伝言』(講談社)
◎前川ほまれさん『藍色時刻の君たちは』(東京創元社)
◎吉川トリコさん『あわのまにまに』(KADOKAWA)

 

受賞作あらすじ&受賞者プロフィール

 
【『藍色時刻の君たちは』 あらすじ】
(東京創元社 書誌ページより http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488028985

2010年10月。宮城県の港町に暮らす高校2年生の小羽(こはね)は、統合失調症を患う母を抱え、介護と家事に忙殺されていた。彼女の鬱屈した感情は、同級生である、双極性障害の祖母を介護する航平と、アルコール依存症の母と幼い弟の面倒を見る凜子にしか理解されない。3人は周囲の介護についての無理解に苦しめられ、誰にも助けを求められない孤立した日常を送っていた。

しかし、町にある親族の家に身を寄せていた青葉という女性が、小羽たちの孤独に理解を示す。優しく寄り添い続ける青葉との交流で、3人が前向きな日常を過ごせるようになっていった矢先、2011年3月の震災によって全てが一変してしまう。

2022年7月。看護師になった小羽は、震災時の後悔と癒えない傷に苦しんでいた。そんなある時、彼女は旧友たちと再会し、それを機に過去や、青葉が抱えていた秘密と向き合うことになる……。

 
<前川ほまれ(まえかわ・ほまれ)さん プロフィール>

1986年生まれ、宮城県東松島市出身。看護師として働くかたわら、小説を書き始める。2017年「跡を消す」で第7回ポプラ社小説新人賞を受賞し、翌年『跡を消す 特殊清掃専門会社デッドモーニング』を刊行しデビュー。

2019年刊行の『シークレット・ペイン 夜去医療刑務所・南病舎』は第22回大藪春彦賞の候補となる。その他の著書に『セゾン・サンカンシオン』がある。現在も看護師としての勤務を続けながら、執筆を行っている。

 

山田風太郎賞について

山田風太郎賞は、戦後日本を代表する大衆小説作家・山田風太郎さんの独創的な作品群と、大衆性、ノンジャンル性、反骨精神など氏が貫いた作家的姿勢への敬意を礎に、有望な作家の作品を発掘顕彰するため、2010年にスタート(創設は2009年)された文学賞です。株式会社KADOKAWAと公益財団法人角川文化振興財団が主催。

毎年9月1日から翌年8月31日までに書籍として発表された長編および短編の文芸作品(ミステリ、時代、SFなどジャンルを問わない)の中より最も面白いと評価された日本の小説作品に贈られます。新人、新進、中堅作家の作品が対象となります。受賞者には、正賞として記念品、副賞として賞金100万円が贈られます。

 

藍色時刻の君たちは
前川 ほまれ (著)

読書メーター読みたい本ランキング第1位(単行本 月間 2023年5月19日~6月18日)

いつか、義務も後悔も手放して。
あなたはあなたの人生を生きるのよ。

私たちはこの港町で家族を介護し、
震災で多くを失い、そしてあの人に救われた。
ヤングケアラ―たちの青春と成長を通し、
人間の救済と再生を描く渾身の傑作!

2010年10月。宮城県の港町に暮らす高校2年生の小羽は、統合失調症を患う母を介護し、家事や看病に忙殺されていた。彼女の鬱屈した感情は、同級生である、双極性障害の祖母を介護する航平と、アルコール依存症の母と幼い弟の面倒を看る凛子にしか理解されない。3人は周囲の介護についての無理解に苦しめられ、誰にも助けを求められない孤立した日常を送っていた。しかし、町に引っ越ししてきた青葉という女性が、小羽たちの孤独に理解を示す。優しく寄り添い続ける青葉との交流で、3人は前向きな日常を過ごせるようになっていくが、2011年3月の震災によって全てが一変してしまう。2022年7月。看護師になった小羽は、震災時の後悔と癒えない傷に苦しんでいた。そんなある日、彼女は旧友たちと再会し、それを機に過去と向き合うことになる。ヤングケアラーたちの青春と成長を通し、人間の救済と再生を描く渾身の傑作長編!

 
【関連】
山田風太郎賞 | KADOKAWA

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です