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【第15回小野市詩歌文学賞】大辻隆弘さん歌集『樟の窓』と小川軽舟さん句集『無辺』が受賞

小野市(兵庫県)は、前年中に刊行された短歌・俳句に関する文芸作品の中から最も優れたものを顕彰する「第15回小野市詩歌文学賞」の受賞作品を発表しました。

 

第15回小野市詩歌文学賞が決定!

第15回小野市詩歌文学賞の「短歌部門」「俳句部門」の受賞作品は次の通りです。

 
■短歌部門
大辻隆弘(おおつじ・たかひろ)さん
歌集『樟の窓(くすのきのまど)』(ふらんす堂)

■俳句部門
小川軽舟(おがわ・けいしゅう)さん
句集『無辺(むへん)』(ふらんす堂)

 
短歌部門を受賞した大辻隆弘さんは、1960年生まれ、三重県松阪市出身。歌人。一般社団法人未来短歌会理事長。県立学校国語科教諭。歌誌「未来」編集発行人・選者。岡井隆さんに師事。歌集『抱擁韻』で現代歌人集会賞、『デプス』で寺山修司短歌賞、『景徳鎮』で齋藤茂吉短歌文学賞、『アララギの脊梁』で島木赤彦文学賞・日本歌人クラブ評論賞、『近代短歌の範型』で佐藤佐太郎短歌賞を受賞。

俳句部門を受賞した小川軽舟さんは、1961年生まれ、千葉県千葉市出身。東京大学法学部卒業。1986年「鷹」に入会、藤田湘子さんに師事。1999年「鷹」編集長に就任。2005年、藤田湘子さん逝去により「鷹」主宰を継承。『近所』で俳人協会新人賞、『魅了する詩型 現代俳句私論』で俳人協会評論新人賞、『朝晩』で俳人協会賞を受賞。なお、今回の受賞作『無辺』は今月、第57回蛇笏賞も受賞

大辻さんと小川さんには賞金100万円が贈られます。

 
選考委員は、宇多喜代子さん、永田和宏さん、小島ゆかりさん。
授賞理由、受賞コメントなど詳細は、https://www.city.ono.hyogo.jp/soshikikarasagasu/kyoikuiinkai_kyoikukanribu_ikiikishakaisozoka/gyomuannai/5/1/1/11577.html をご覧ください。

 

小野市詩歌文学賞

小野市詩歌文学賞は、兵庫県小野市が、同市出身の歌人・上田三四二(うえだ・みよじ)さんにちなみ、三四二さんの没後20周年にあたる2009年に創設した文学賞です。

「日本人の感性の原型である詩歌の一層の発展」を願い、前年の1月1日から12月31日までに刊行された短歌・俳句に関する文芸作品の中から最も優れたものを顕彰します。
創設当初は「短歌部門」「俳句部門」「詩部門」の3部門で構成されていましたが、第6回より短歌部門と俳句部門のみとなっています。

選考は、全国の著名な歌人、俳人にアンケートを行い、その結果を参考にして、3名の選考委員が決定します。

 

樟の窓 (短歌日記シリーズ)
大辻隆弘 (著)

◆短歌日記シリーズ2021
居室の進路指導室の前にどっしりした古い樟の木があり、重く鳴る葉の音やしたたり落ちる雨音を聞きながら日々をすごしました。「樟の窓」という歌集の題名はそこからつけたものです。
(あとがきより)

◆重く鳴る葉の音を聞いていた
八月十九日 宵
無花果の葉がむらがれる薄闇のかたはらをゆく脅かされて

無辺
小川軽舟 (著)

◆第六句集
水底に欠茶碗あり蜷の道
私たちは果てを知らない無辺世界に危うく浮かぶように日常を営んでいる。無辺より来たって今在るものは、いつか無辺に消え去る。その過程で偶々出会えた物や心の端正な姿を、俳句の形に残しておきたい。
(著者)

◆自選十二句
雪になりさうと二階の妻降り来
光源は太陽一つ初景色
水底に欠茶碗あり蜷の道
三鬼忌や男もつかふ針と糸
火の影を踏む白足袋や薪能
大皿に松風吹けり初鰹
人の顔みな百合めきぬ終電車
写真?ぐやうに八月また終る
大阪にアジアの雨や南瓜煮る
ガラス戸にじぶくる蜂や花八手
かあさんと墓を呼ぶ父冬日差す
終りなく雪こみあげる夜空かな

 
【関連】
第15回(令和5年)受賞者/兵庫県小野市行政サイト

 


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