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【第57回蛇笏賞】小川軽舟さん句集『無辺』が受賞

角川文化振興財団は4月14日、1年間に刊行された句集の中で最も優れたものに贈る第57回蛇笏賞の受賞作を発表しました。

 

第57回蛇笏賞が決定!

第57回蛇笏賞は4月14日、角川本社ビル(東京・飯田橋)で選考委員会を開催し、次の通り受賞作を決定しました。

 
<第57回蛇笏賞 受賞作品>

小川軽舟(おがわ・けいしゅう)さん
句集『無辺(むへん)』(ふらんす堂)

 
受賞者の小川軽舟さんは、1961年生まれ、千葉県千葉市出身。東京大学法学部卒業。1986年「鷹」に入会、藤田湘子さんに師事。1999年「鷹」編集長に就任。2005年、藤田湘子さん逝去により「鷹」主宰を継承。2001年『近所』で第25回俳人協会新人賞、2004年『魅了する詩型 現代俳句私論』で第19回俳人協会評論新人賞、2019年『朝晩』で第59回俳人協会賞を受賞。

 
選考委員は高野ムツオさん、高橋睦郎さん、中村和弘さん、正木ゆう子さん。選考委員選評など詳細は、5月25日発売の『俳句』6月号(角川文化振興財団発行/KADOKAWA発売)に掲載される予定です。

 
受賞者の小川軽舟さんには、賞状・記念品および副賞として100万円が贈られます。贈呈式は7月4日(火)に角川武蔵野ミュージアム4階本棚劇場で開催。

 
なお、最終候補作は以下の5作品でした。

【最終候補作】
◎小川軽舟さん『無辺』(ふらんす堂)
◎恩田侑布子さん『はだかむし』(角川文化振興財団)
◎岸本尚毅さん『雲は友』(ふらんす堂)
◎中原道夫さん『橋』(書肆アルス)
◎星野高士さん『渾沌』(深夜叢書社) 

 

蛇笏賞について

蛇笏賞は、俳人・飯田蛇笏の遺徳を敬慕し、「世世に語り継ぎ、日本詩歌の振興に一層の努力を期す」ことを目的に設立された俳句の賞です。角川文化振興財団(第9回までは角川書店)が主催。

前年の1月から12月の間に刊行された句集の中で最も優れたものに贈られます。

 

無辺
小川軽舟 (著)

◆第六句集
水底に欠茶碗あり蜷の道
私たちは果てを知らない無辺世界に危うく浮かぶように日常を営んでいる。無辺より来たって今在るものは、いつか無辺に消え去る。その過程で偶々出会えた物や心の端正な姿を、俳句の形に残しておきたい。
(著者)

◆自選十二句
雪になりさうと二階の妻降り来
光源は太陽一つ初景色
水底に欠茶碗あり蜷の道
三鬼忌や男もつかふ針と糸
火の影を踏む白足袋や薪能
大皿に松風吹けり初鰹
人の顔みな百合めきぬ終電車
写真剝ぐやうに八月また終る
大阪にアジアの雨や南瓜煮る
ガラス戸にじぶくる蜂や花八手
かあさんと墓を呼ぶ父冬日差す
終りなく雪こみあげる夜空かな

 
【関連】
【決定のお知らせ】第57回蛇笏賞 | 公益財団法人 角川文化振興財団

 


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