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【第74回読売文学賞】佐藤亜紀さん、山内ケンジさん、沢木耕太郎さん、尾崎真理子さん、藤井貞和さん、鷲見洋一さんが受賞

第74回読売文学賞が決定!

第74回読売文学賞が決定!

読売新聞社は2月1日、同社が主催する第74回(2022年度)読売文学賞の受賞作を発表しました。

 

第74回読売文学賞、6部門が決定!

第74回読売文学賞は、次の通り受賞作が決定しました。

 
■小説賞
佐藤亜紀(さとう・あき)さん
『喜べ、幸いなる魂よ』(KADOKAWA)

■戯曲・シナリオ賞
山内ケンジ(やまうち・けんじ)さん
「温暖化の秋―hot autumn―」(上演台本)

■随筆・紀行賞
沢木耕太郎(さわき・こうたろう)さん
『天路の旅人』(新潮社)

■評論・伝記賞
尾崎真理子(おざき・まりこ)さん
『大江健三郎の「義」』(講談社)

■詩歌俳句賞
藤井貞和(ふじい・さだかず))さん
詩集『よく聞きなさい、すぐにここを出るのです。』(思潮社)

■研究・翻訳賞
鷲見洋一(すみ・よういち)さん
『編集者ディドロ 仲間と歩く『百科全書』の森』(平凡社)

 
選考委員は、岩松了さん(劇作家、演出家、俳優)、荻野アンナさん(作家、仏文学者)、川上弘美さん(作家)、川村湊さん(文芸評論家)、高橋睦郎さん(詩人)、辻原登さん(作家)、沼野充義さん(文芸評論家、スラブ文学者)、松浦寿輝さん(詩人、作家、批評家)、若島正さん(英米文学者)、渡辺保さん(演劇評論家)。
※川上弘美さんは随筆・紀行賞の選考は欠席。

 
受賞者には正賞の硯(すずり)と副賞の200万円が贈られます。贈賞式は3月7日午後6時より、東京・内幸町の帝国ホテルで開催。

 

読売文学賞について

読売文学賞は、戦後の文芸復興の一助とするため、1949年(昭和24年)に創設されました。「小説」、「戯曲・シナリオ」、「評論・伝記」、「詩歌俳句」、「研究・翻訳」、「随筆・紀行」の全6部門があり、前年の作品から最も優れた作品を選んで表彰します。
なお、「随筆・紀行」は第19回から加わり、第46回からは「戯曲」を「戯曲・シナリオ」部門に改めています。

毎年11月に既受賞者をはじめ、文芸界の関係者に文書で推薦を依頼し、12月に第1次選考会、1月に最終選考会を行い、2月に受賞作品を発表しています。

 

喜べ、幸いなる魂よ
佐藤 亜紀 (著)

天才でエゴイスト 誰も彼女には手が届かない

18世紀ベルギー、フランドル地方の小都市シント・ヨリス。ヤネケとヤンは亜麻を扱う商家で一緒に育てられた。ヤネケはヤンの子を産み落とすと、生涯単身を選んだ半聖半俗の女たちが住まう「ベギン会」に移り住む。彼女は数学、経済学、生物学など独自の研究に取り組み、ヤンの名で著作を発表し始める。ヤンはヤネケと家庭を築くことを願い続けるが、自立して暮らす彼女には手が届かない。やがてこの小都市にもフランス革命の余波が及ぼうとしていた――。女性であることの不自由をものともせず生きるヤネケと、変わりゆく時代を懸命に泳ぎ渡ろうとするヤン、ふたりの大きな愛の物語。

天路の旅人
沢木 耕太郎 (著)

「この稀有な旅人のことを、どうしても書きたい」。
「旅」の真髄に迫る、九年ぶりの大型ノンフィクション。

第二次大戦末期、敵国の中国大陸の奥深くまで「密偵」として潜入した若者・西川一三。
敗戦後もラマ僧に扮したまま、幾度も死線をさまよいながらも、未知なる世界への歩みを止められなかった。
その果てしない旅と人生を、彼の著作と一年間の徹底的なインタビューをもとに描き出す。
著者史上最長にして、新たな「旅文学」の金字塔。

大江健三郎の「義」
尾崎 真理子 (著)

謎だらけのポストモダン小説の先駆『同時代ゲーム』はなぜ書かれたのか。自伝的要素の強い『懐かしい年への手紙』に登場するギー兄さん、『燃えあがる緑の木』の新しいギー兄さんは、なぜ「ギー」なのか。大江健三郎の全小説を精読し、柳田国男の影響を確信した著者は、大江と柳田の深い関係を探っていく。しかし、大江の謎は柳田のみならず、『万延元年のフットボール』と島崎藤村『夜明け前』との類似点へと行き着き、いつしか不思議な親和性を持つ文学者のつながりは平田篤胤へと辿りつく。これまで海外文学の影響下において読み解かれてきた大江健三郎文学に、深く根を下ろした日本文学の伝統とは一体何か。大江研究の第一人者が読み解く、知的好奇心に満ちた快著!

よく聞きなさい、すぐにここを出るのです。
藤井 貞和 (著)

切りひらく叙事うた 汚れた言葉を遠慮せよ、 だれもが父に言いました。 怒りで汚れたこころを、 ぼくはうたいますか。 (「汚職」) 「神話に近づけたり、語り手を設定したりして、現代が仕掛けてくるむずかしい問題に向けて、何とか私なりに答えを出そうと、右往左往している自分が棲んでいるように見える」(「あとがきに代え」)。うたと物語のやわらかな触手を自在にのばし、現代の難問に日本語の瀬戸際で応答を試みる。最新詩集。装幀=中島浩

編集者ディドロ: 仲間と歩く『百科全書』の森
鷲見 洋一 (著)

フランス啓蒙思想の金字塔『百科全書』。全28巻に及ぶ、この壮大な出版プロジェクトの全貌と、編集長ディドロの八面六臂の活躍を、精緻で生き生きとした分析により描き出す大著。

 
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