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【第75回読売文学賞】川上未映子さん、坂元裕二さん、西加奈子さん、澤田直さん、正木ゆう子さん、鈴木晶さんが受賞

読売新聞社は2月1日、同社が主催する第75回(2023年度)読売文学賞の受賞作を発表しました。

 

第75回読売文学賞、6部門が決定!

第75回読売文学賞は、次の通り受賞作が決定しました。

 
■小説賞
川上未映子(かわかみ・みえこ)さん
『黄色い家』(中央公論新社)

■戯曲・シナリオ賞
坂元裕二(さかもと・ゆうじ)さん
『怪物』(ムービーウォーカー)

■随筆・紀行賞
西加奈子(にし・かなこ)さん
『くもをさがす』(河出書房新社)

■評論・伝記賞
澤田直(さわだ・なお)さん
『フェルナンド・ペソア伝 異名者たちの迷路』(集英社)

■詩歌俳句賞
正木ゆう子(まさき・ゆうこ)さん
句集『玉響』(春秋社)

■研究・翻訳賞
鈴木晶(すずき・しょう)さん
『ニジンスキー 踊る神と呼ばれた男』(みすず書房)

 
選考委員は、岩松了さん(劇作家、演出家、俳優)、荻野アンナさん(作家、仏文学者)、川上弘美さん(作家)、川村湊さん(文芸評論家)、栗木京子さん(歌人)、管啓次郎さん(詩人)、高橋睦郎さん(詩人)、沼野充義さん(文芸評論家、スラブ文学者)、松浦寿輝さん(詩人、作家、批評家)、若島正さん(英米文学者)。

 
受賞者には正賞の硯(すずり)と副賞の200万円が贈られます。贈賞式は3月4日午後6時より、東京・内幸町の帝国ホテルで開催。

 

読売文学賞について

読売文学賞は、戦後の文芸復興の一助とするため、1949年(昭和24年)に創設されました。「小説」、「戯曲・シナリオ」、「評論・伝記」、「詩歌俳句」、「研究・翻訳」、「随筆・紀行」の全6部門があり、前年の作品から最も優れた作品を選んで表彰します。
なお、「随筆・紀行」は第19回から加わり、第46回からは「戯曲」を「戯曲・シナリオ」部門に改めています。

毎年11月に既受賞者をはじめ、文芸界の関係者に文書で推薦を依頼し、12月に第1次選考会、1月に最終選考会を行い、2月に受賞作品を発表しています。

 

黄色い家
川上未映子 (著)

十七歳の夏、親もとを出て「黄色い家」に集った少女たちは、生きていくためにカード犯罪の出し子というシノギに手を染める。危ういバランスで成り立っていた共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解し……。人はなぜ罪を犯すのか。世界が注目する作家が初めて挑む、圧巻のクライム・サスペンス。

怪物
坂元 裕二 (著)

坂元裕二が紡いだセリフを完全収録。映画『怪物』オリジナルシナリオブック

是枝裕和監督と坂元裕二がタッグを組んで贈る、圧巻のヒューマンドラマ『怪物』。第76回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞し、稀代のストーリーテラー・坂元裕二のシナリオに世界が注目を寄せています。安藤サクラ、永山瑛太、田中裕子ら実力派キャストが勢揃いし、映画初出演となった黒川想矢と柊木陽太が二人の少年をみずみずしく情感豊かに演じました。

その魅力の核心には、家族のあり方や子どもならではの揺らぎなど、是枝裕和監督と共通するモチーフに取り組んできた坂元裕二が紡ぐ物語にあります。このシナリオブックでは、本作の”決定稿”を完全収録。映画鑑賞後に読むと、また味わい深い、坂元裕二脚本の妙ともいえる、軽妙なセリフまわしや、すれ違う登場人物の繊細な描写。

複数の視点で描かれた物語だからこそ、読み返すたび発見のある『怪物』オリジナルシナリオブックは映画ファン必携アイテムです。

ーーーーーー
大きな湖のある郊外の町。ある嵐の朝、子供たちが忽然と姿を消した…。
息子を愛するシングルマザー、生徒思いの教師、無邪気な子供たち。
それぞれの視点から描かれる「怪物」探しの果てに、明らかになる正体とは。

映画『怪物』
2023年6月2日公開

監督・編集:是枝裕和(『万引き家族』)
脚本:坂元裕二(『花束みたいな恋をした』)
音楽:坂本龍一(『ラストエンペラー』)
キャスト:安藤サクラ 永山瑛太 黒川想矢 柊木陽太 / 高畑充希 角田晃広 中村獅童 / 田中裕子

くもをさがす
西 加奈子 (著)

カナダでがんになった。
あなたに、これを読んでほしいと思った。

これは、たったひとりの「あなた」への物語ーー
祈りと決意に満ちた、西加奈子初のノンフィクション

『くもをさがす』は、2021年コロナ禍の最中、滞在先のカナダで浸潤性乳管がんを宣告された著者が、乳がん発覚から治療を終えるまでの約8 ヶ月間を克明に描いたノンフィクション作品。
カナダでの闘病中に抱いた病、治療への恐怖と絶望、家族や友人たちへの溢れる思いと、時折訪れる幸福と歓喜の瞬間――。
切なく、時に可笑しい、「あなた」に向けて綴られた、誰もが心を揺さぶられる傑作です。

● 『くもをさがす』へ寄せられた声

思い通りにならないことと、幸せでいることは同時に成り立つと改めて教わったよう。
――ジェーン・スーさん(コラムニスト)

読みながらずっと泣きそうで、でも一滴も泣かなかった。そこにはあまりにもまっすぐな精神と肉体と視線があって、私はその神々しさにただ圧倒され続けていた。
西さんの生きる世界に生きているだけで、彼女と出会う前から、私はずっと救われていたに違いない。
――金原ひとみさん(作家)

剥き出しなのにつややかで、奪われているわけじゃなくて与えられているものを知らせてくれて、眩しかったです。関西弁のカナダ人たちも最高でした。
――ヒコロヒーさん(お笑い芸人)

読み終わり、静かに本を閉じても心がわさわさと迷う。
がんの闘病記という枠にはとてもおさまらず、目指す先はまったく別にあることに気づかされた一冊。幸せいっぱいのときに、それを失う恐怖心が同時に存在するパラドックスに気づくと、上手くいったとしてもイマイチでも、自分なりに納得できる瞬間の積み重ねが人生なのだとあらためて知る。
――高尾美穂さん(産婦人科医)

●『くもをさがす』読者は必読!
西加奈子の掌編「Crazy In Love」
(『私小説』金原ひとみ編著/河出書房新社刊 収録)
「Crazy In Love」は、「文藝」2022年秋季号、金原ひとみ責任編集「私小説」特集へ寄稿された、『くもをさがす』でも特に印象に残るエピソードを基に描かれた、切実さとユーモアが入り混じる掌編小説です。
同特集を新たに編み直し、2023年2月に刊行された単行本『私小説』収録の本作は『くもをさがす』読者必読です!

フェルナンド・ペソア伝 異名者たちの迷路
澤田 直 (著)

フェルナンド・ペソア(1888-1935)。
〈「わたし」とは確固とした個人であるどころか、無定形な多様体で、自分自身にとっても捉えどころがない。21世紀の今でこそ自然に思われるこの考えを、ペソアははるか以前に先取りしていた。自分とは別人格の〈異名者〉たちを案出し、たったひとりで宇宙全体を体現するようなこの不思議な人物は、どのような人生を送り、何を考えていたのだろうか。〉(「あとがき」より)
70もの人格を作り作品を書き分け、没後に2万7500点以上の草稿が発見されたポルトガルの国民詩人ペソア。この20世紀の巨人の生涯と言葉を丹念にたどり、豊富な引用と貴重な図版を合わせて、稀有な詩人の魅力の全貌に迫る。ペソア入門としても最適な、本邦初、待望の本格評伝!

玉響: 正木ゆう子句集
正木 ゆう子 (著)

からだもこころも食べ物も飲み物も喜びも悲しみも山も海もみんなアナログ。『羽羽』(蛇笏賞)以降の約三〇〇句を厳選。比類なき俳人が瑞々しく詠いあげた日常、そして永遠。

【目次】
触角
那須
草を踏む
無辺
幽禽

狼の祭
歩く
胡桃
玉響

ニジンスキー――踊る神と呼ばれた男
鈴木晶 (著)

〈本書が対象とするのは、見者としてのニジンスキーではなく、ダンサーかつコレオグラファー(振付家)としてのニジンスキーである。
20世紀にはヌレエフ、バリシニコフ、熊川哲也といったスーパースターたちが、バレリーナたちに劣らず、いやバレリーナたちよりも観客を魅了してきた。そうした男性スーパースターたちの系譜の先頭に位置しているのがニジンスキーである。ニジンスキーから男性ダンサーの時代が始まったのである。
その類い稀な跳躍力によって一世を風靡したにもかかわらず、最初の振付作品には小さな跳躍が一つあるだけだ。それだけでなく、その作品『牧神の午後』はバレエの二大原理、すなわち開放性と上昇志向性を否定した。そのニジンスキーの勇気ある一歩から、現代バレエが生まれたのである。〉
さまざまな創作の源泉ともなっている伝説の舞踊家ニジンスキー。その生涯を、豊富なバレエ鑑賞経験に基づき、貴重な資料と写真を駆使して再構成した、バレエ史研究の第一人者による待望のライフワーク。

 
【関連】
第75回読売文学賞 受賞6氏と作品 : 読売新聞

 


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