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ヘーゲル、ニーチェ、ハイデガーよりパスカルが役に立つ!鹿島茂さん『『パンセ』で極める人間学』が刊行

鹿島茂さん著『『パンセ』で極める人間学』

鹿島茂さん著『『パンセ』で極める人間学』

鹿島茂さん著『『パンセ』で極める人間学』がNHK出版より刊行されました。

博覧強記のフランス文学者が、西洋哲学の古典『パンセ』から、現代人にとって切実かつ魅力的な部分を抽出し、新たな箴言集を編み直しました。パスカルの思想に触れながら、人間の二大苦悩である「自我」と「幸福追求」について、読者が自らの答えに行き着くよういざなう、究極の哲学ガイドです。

 

ヘーゲル? ニーチェ? ハイデガー? ……いえいえ、答えはパスカルにあり!

 
「現代人が『パンセ』を読んだことがないのは、もったいないどころか大きな損失である」鹿島茂さん

 
NHK「100分de名著」でもおなじみ、博覧強記の作家・フランス文学者の鹿島茂さんが「自我と幸福追求を試みた最初の書」として絶賛する西洋哲学の古典『パンセ』。ところが、鹿島さんが若いころは、その“凄さ”に気が付かなかったといいます。

 
<「まえがき」にかえて より>

《パスカルについても、また『パンセ』についても何も知らない人が『パンセ』を読んだらどう感じるだろう、というのが私がそもそも本書を執筆してみようと思った動機です。というのも、『パンセ』を初めて読んで、いきなり、その思想的な深さに感動するという人はむしろ少ないのではないかとつねづね感じていたからです。なぜそんなに確信をもっているかというと、ほかならぬ私がかつてそうだったからです。大学生のころ、フランス語の教科書に『パンセ』の一節が例文として出ているのを見て、よし翻訳で『パンセ』を読んでみようと思い立って書店で文庫版を購入したのですが、どの言葉も、なんだか当たり前のことのように感じられて、とくに感心することもなかったし、感動するなどということもありませんでした。翻訳だからなのかと思い、フランス語のテクストを購入して読んでみたのですが、あまり印象はかわりませんでした。》

ブレーズ・パスカル(1623-62)

ブレーズ・パスカル(1623-62)

しかし年月を経て、改めて原文で『パンセ』を読み返すと、若いころには理解できなかったパスカルの凄さ、『パンセ』の深さに気づかされます。人生経験や長年の読書体験といった「時間経過」だけが、この「パスカルの再発見」に至ったわけではない、と鹿島さんは分析します。

 
<「まえがき」にかえて より>

《そこで、『パンセ』を語学教師何十年のキャリアをもとに分析的に読解したところ、一つの事実が浮かび上がってきました。
それはこのテクストにある「自然な話し方によって」という一句です。そう、パスカルの表現は、いささかのケレン味も含まず、「ドーダ、オレの文章は凄いだろう、参ったか!」というようなマウンティング感もありません。本当はもの凄く深いことが語られていても少しも凄いとは感じないほどに「自然な」文体そのもので書かれているのです。そのため、実はパスカルによって真実に初めて目を開かれたのだとしても、その人はそうは感じずに、自分で自分の中に真実を発見したと思いこんでしまうことになるのです。

(略)

つまり、わたしたちは大きな迂回路を取りながらもパスカルに深く共感し、「パスカルは偉い!」と思うようになるのです。

では、いったい、パスカルはなにゆえにこうした戦略、つまり、まったく相手にそうと気づかれないように自分の考えを吹き込み、相手に自分でその考えを発見したように仕向けたのでしょうか? それは、パスカルには一つの大きな考えがあったからなのです。しからば、その「一つの大きな考え」とは何なのでしょうか?これが、本書において、これから皆さんと一緒に『パンセ』を読み解きながら、少しずつ解き明かしていきたいと思っている問題です。》

 
「なぜ人は多数派に従うのか? 多数派がより正しいからなのか? 否、より強力だからである。なぜ人は昔からある法律や昔からの考えに従うのか? それらが最も健全であるからなのか? 否、それらがそれぞれ一つしかなく、多様性の根をわたしたちから引き抜いてくれるからである」(断章三〇一)など、『パンセ』から選び抜いた100の言葉に、鹿島さんが100の解説を施した、新しい『パンセ』全14章です。

 

本書の構成

第1章 ようこそ、『パンセ』の人間学へ

第2章 人は気晴らしなしでは生きられない

第3章 すべては「ドーダ」で理解できる

第4章 とにかく自分のことが好き!

第5章 人間は奇妙なオルガンである

第6章 人は変わる? 変わらない?

第7章 人間は習慣によってつくられる

第8章 オネットムと言われるようになれ

第9章 想像力って素晴らしい!

第10章 現在に安住できないのはなぜ?

第11章 「正義」ってなんだろう?

第12章 人間は惨めで偉大な存在である

第13章 人間は考える一本の葦である

第14章 だから神は存在する

 

著者プロフィール

著者の鹿島茂(かしま・しげる)さんは、1949年生まれ。神奈川県横浜市出身。東京大学文学部仏語・仏文科卒業、同大学院人文科学研究科博士課程単位修得満期退学。作家、フランス文学者。元明治大学国際日本学部教授。専門は19世紀フランス文学。

『馬車が買いたい』(サントリー学芸賞)、『子供より古書が大事と思いたい』(講談社エッセイ賞)、『NHK「100分de名著」ブックス パスカル パンセ』『NHK「100分de名著」ブックス ユゴー ノートル=ダム・ド・パリ』『フランス文学は役に立つ!』など著書多数。

 

『パンセ』で極める人間学 (NHK出版新書)
鹿島 茂 (著)

ヘーゲル、ニーチェ、ハイデガーよりも、パスカルこそが役に立つ!

100分de名著でもおなじみ、博覧強記の作家・フランス文学者の鹿島茂が、「自我と幸福追求を試みた最初の書」として絶賛する西洋哲学の古典『パンセ』。本書では、「キリスト護教論」を目的として書かれた『パンセ』の中から、現代人にとって切実かつ魅力的な部分を抽出し、著者が訳と解説を施すことで、パスカル×鹿島茂の新たな箴言集、いわば『パンセ 人間学篇』を編み直す。著者は「現代人が『パンセ』を読んだことがないのは、もったいないどころか大きな損失である」と語る。読者が、パスカルの思想に触れながら、人間の二大苦悩である「自我」と「幸福追求」について、自らの答えに行き着くよういざなう、究極の哲学ガイドである。

 


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