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ベストセラー『時間は存在しない』の着想はどこから来たのか? カルロ・ロヴェッリさん『規則より思いやりが大事な場所で』が刊行

『時間は存在しない』『世界は「関係」でできている』などのベストセラーを生んだ物理学者・カルロ・ロヴェッリさんの新刊『規則より思いやりが大事な場所で 物理学者はいかに世界を見ているか』がNHK出版より刊行されました。

物理学の最先端を詩的な表現もまじえて解説し、読者から絶大な支持を集めるロヴェッリさん。彼が新聞各紙に執筆してきたコラムから、選りすぐりの52篇を収載。科学のみらず哲学・文学や時事問題まで、多様な題材を扱います。さまざまな角度から、天才物理学者の思考の“核”に触れる一冊です。

 

『時間は存在しない』の着想はどこから来たのか? 文理を横断する思考の核心に迫る!

2019年の発売以来、理論物理学の最先端を扱った書籍としては異例ともいえる7万部超のベストセラーとなっている『時間は存在しない』。その著者で「物理学の詩人」とも呼ばれるカルロ・ロヴェッリさんは、本国イタリアではいち科学者にとどまらず、社会問題や時事的な事柄について考えるとき「ロヴェッリは何と言っているのか」と参照されるような存在です。

 
本書『規則より思いやりが大事な場所で 物理学者はいかに世界を見ているか』には、そんなロヴェッリさんが新聞各紙に定期的に執筆しているコラムなどを厳選して収載。『時間は存在しない』の訳者あとがきで訳者の冨永星さんが書いているように、1970年代には学生運動などにも参加していた活動し発言する知識人・ロヴェッリの、多面的な思考に触れることのできる一冊です。

★『時間は存在しない』訳者あとがきを公開中:https://nhkbook-hiraku.com/n/nf7672e4538f2?magazine_key=m63c05d7c9ebf

 

『規則より思いやりが大事な場所で 物理学者はいかに世界を見ているか』「はじめに」より(抜粋)

新聞の記事には、禅の公案やヨーロッパの十四行詩(ソネット)と似たところがある。長さや形に制限があって、情報にしろ、主張にしろ、内省にしろ、感情にしろ、一つ伝えるのが精一杯。それでいて、何から何まで語り得る。

 
ここに収められているのは、過去十年ほどの間にさまざまな新聞に載ったコラムで、詩人のことや、何らかの形でわたしに影響を及ぼした科学者や哲学者、旅のことや自分自身が属する世代の話、無神論やブラックホールや望遠鏡や幻覚体験、そして知的な驚きなど……たくさんの事柄について語っている。いうなれば、一人の物理学者――さまざまなことに関心があって、新しい着想を探し求め、幅広く一貫した展望を得たいと思っている物理学者――の知的な冒険を記録した日記の短い書き込みのようなものなのだ。

 
この本の題名〔原著題名の直訳は、「この世界には規則より配慮が重んじられる場所がある」〕は、これらのコラムの一つに登場するある言い回しからとられていて、おそらく、この本全体に通底する心構えのようなものを表している。でもそれをいえば、ひょっとするとわたし自身が、そういう心構えを旨とする世界で生きてゆきたいと思っているだけなのかもしれない……。

 

本書の構成

第一部 二〇一〇年~二〇一三年
ダンテとアインシュタインと三次元球面/文学と科学 継続する対話/不平等はなぜ存在するのか/ほか

第二部 二〇一四年~二〇一五年
事物の本性について(De rerum natura)/ブラックホール Ⅰ: 恒星間の致命的な引力/科学者アリストテレス/ほか

第三部 二〇一六年
祝祭の日々は終わった/アフリカでの一日/科学に哲学は必要か/ほか

第四部 二〇一七年
わたしの、そして友人たちの一九七七年/信仰にもっとも近い科学は?/無は無である。ナーガールジュナ/ほか

第五部 二〇一八年~二〇二〇年
政治への四つの問い/牢獄の闇から射すサイケデリックな光/この短い人生が、今までになく美しく感じられる/ほか

 

著者プロフィール

カルロ・ロヴェッリさんは、理論物理学者。1956年生まれ、イタリアのヴェローナ出身。ボローニャ大学卒業後、パドヴァ大学大学院で博士号取得。イタリアやアメリカの大学勤務を経て、現在はフランスのエクス=マルセイユ大学の理論物理学研究室で、量子重力理論の研究チームを率いる。「ループ量子重力理論」の提唱者の一人。

『すごい物理学講義』(河出書房新社)で「メルク・セローノ文学賞」「ガリレオ文学賞」を受賞。『世の中ががらりと変わって見える物理の本』(同)は世界で150万部超を売り上げ、『時間は存在しない』(NHK出版)はタイム誌の「ベスト10ノンフィクション(2018年)」に選出、第4回八重洲本大賞を受賞『世界は「関係」でできている』はイタリアで12万部発行、世界23か国で刊行決定などいずれも好評を得ている。

 

規則より思いやりが大事な場所で: 物理学者はいかに世界を見ているか
カルロ・ロヴェッリ (著), 冨永 星 (翻訳)

天才物理学者は「この世界」をどう見ているか? 文理を横断する思考の核心に迫る!

『時間は存在しない』『世界は「関係」でできている』等の著書で、物理学の最先端を詩的な言葉で解説しベストセラー生み出してきたカルロ・ロヴェッリ。彼が10年以上にわたりイタリアの新聞各紙に発表してきたコラムから、約50篇を厳選して収録。「ループ量子重力理論」を牽引する理論物理学のトップランナーであるだけでなく、哲学や文学にも造詣が深く、社会問題にも鋭く切り込む「発言する知識人」ロヴェッリはこの世界をどのように見ているのか? 常識にとらわれず真実を明らかにしようとするその思考の核心に迫る一冊!

<既刊>

時間は存在しない
カルロ・ロヴェッリ (著), 冨永 星 (翻訳)

◎イタリアで18万部発行、35か国で刊行決定の世界的ベストセラー
◎タイム誌の「ベスト10ノンフィクション」
各メディア絶賛
●「科学に関する一般書には古典とさえ呼べるようなものもあるが、
本書にはその列に加えられるべき文学的な達成がある。」――福尾 匠(批評家)
「朝日新聞」の「売れてる本」(2019年11月16日付朝刊)

●難解なアイディアをどうしてこんなにもわかりやすくクリアに説けるのか。
驚きながら最後まで夢中になって読んだ。
時間についての「思い込み」を一つずつ解きほぐしていくプロセスは見事。――森田真生(独立研究者)

時間はいつでもどこでも同じように経過するわけではなく、
過去から未来へと流れるわけでもない――。

“ホーキングの再来”と評される天才物理学者が、本書の前半で「物理学的に時間は存在しない」という驚くべき考察を展開する。
後半では、それにもかかわらず私たちはなぜ時間が存在するように感じるのかを、哲学や脳科学などの知見を援用して論じる。

詩情あふれる筆致で時間の本質を明らかにする、独創的かつエレガントな科学エッセイ。

世界は「関係」でできている: 美しくも過激な量子論
カルロ・ロヴェッリ (著), 冨永 星 (翻訳)

世界の本当の姿とは? 天才物理学者が”真実”を明かす

【推薦の言葉】
●物理に心を解放された。この世界は、僕が信じていたよりずっと自由なのかもしれない。――森田真生
●存在の織りなす華麗なるネットワーク。量子論的世界観の本質が、ここに語り尽くされる!――須藤靖
●直感に反するはちゃめちゃな量子物理学の世界に筋を通せる人がいるとしたら、それはカルロ・ロヴェッリだ。――「タイムズ」紙
●ロヴェッリは、”量子論の世界”やそれが”心”の理解にどう役立つのかという問題と、実に明快に渡り合っている。――アニル・アナンサスワーミー(科学ジャーナリスト)
●ロヴェッリの作品のどこが好きかといえば、常に“人々”に戻ってくるところだ――常に他者と関わり合い、この世界と働きかけ合っている人々に。この本には科学が息づいている。――ニール・ゲイマン(カーネギー賞作家)
●物理学はその詩人を得た。ロヴェッリは見事なまでに人間的で優しく、ウイットに富んだ案内人である。それは彼が科学者であると同じくらい哲学者で詩人だからだ。――ジョン・バンヴィル(ブッカー賞作家)

【内容紹介】
“ホーキングの再来”と評される天才物理学者が”真実”を明かす
イタリアで12万部を売り上げ、世界23か国で刊行予定の話題作!

科学界最大の発見であり、最大の謎とされる量子論。
はたして量子論の核心とは何か、それはどんな新しい世界像をもたらしたのかを、研ぎ澄まされた言葉で明快に綴る。

量子は私たちの直感に反した奇妙な振る舞いをする。
著者によれば、この量子現象を理解するためには、世界が実体ではなく、関係にもとづいて構成されていると考えなくてはならないという。
さらにこの考え方を踏まえれば、現実や意識の本質は何か、といった哲学的な問いにも手がかりが得られるのだ――。

深い洞察と詩情豊かな表現にいろどられ、私たちを“真実”をめぐる旅へといざなう興奮の書!

竹内薫氏の解説付き。
7万部突破の『時間は存在しない』著者の最新作!

 


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