本のページ

SINCE 1991

彼女たちは、蟻地獄の中で、必死にもがいていた――早見和真さんが描く、女たちの“鎖”の物語『八月の母』刊行 「『イノセント・デイズ』を今一度書く。そして「超える」がテーマでした」

早見和真さん著『八月の母』(KADOKAWA)

早見和真さん著『八月の母』(KADOKAWA)

早見和真さんの最新小説『八月の母』がKADOKAWAより刊行されました。本書は、愛媛県伊予市を舞台に、母性とは何か、親子愛、家族愛、人間の業を深く描いた長編大作です。

 

ここにあるのは、かつて見たことのない絶望か、希望か──。

『イノセント・デイズ』『ザ・ロイヤルファミリー』(ともに新潮社)をはじめ多くの代表作を持つ早見和真さん。
近年は、強豪二校の野球部に密着したノンフィクション『あの夏の正解』(新潮社)、道後で暮らす飼い猫「マル」が愛媛県内を旅し成長していく姿を描いた創作童話シリーズ「かなしきデブ猫ちゃん」(愛媛新聞社)など小説にとどまらず精力的に作品を発表し続けています。

本書は、そんな早見さんが、3年もの間もがき苦しみながら全身全霊をかけて執筆した小説です。

 
<あらすじ>

「八月は母の匂いがする。八月は、血の匂いがする。」

愛媛県伊予市。越智エリカは海に面したこの街から「いつか必ず出ていきたい」と願っていた。しかしその機会が訪れようとするたび、スナックを経営する母・美智子が目の前に立ち塞がった。そして、自らも予期せず最愛の娘を授かるが──。

うだるような暑さだった八月。あの日、あの団地の一室で何が起きたのか。執着、嫉妬、怒り、焦り……。人間の内に秘められた負の感情が一気にむき出しになっていく。強烈な愛と憎しみで結ばれた母と娘の長く狂おしい物語。ここにあるのは、かつて見たことのない絶望か、希望か──。

『イノセント・デイズ』を超える、衝撃と狂気。連綿と続く、女たちの“鎖”の物語。

★特設サイト:https://kadobun.jp/special/hayami-kazumasa/hachigatsu/
★文芸WEBマガジン「カドブン」で本書の試し読みを公開中:https://kadobun.jp/trial/hachigatunohaha/cjubhr00vfso.html

 
【推薦コメント】

長い間歪み続けた愛や母性の歴史、地層のように積み重なる闇に確かな兆しを探し続けた。神が人を嘲笑い続けてきたのか。人が神を嘲笑い続けてきたのか。神なるものへの幻想と呪縛を解き放つ祈りとその熱に、心が深く確かに蠢いた。
──池松壮亮さん(俳優)

容赦などまるでない。「母」にこだわる作家が、母という絶対性に対峙した。確かなものなど何ひとつない世の中で、早見和真は正しい光を見つけようとしている。その試みには、当然異様な熱が帯びる。
──石井裕也さん(映画監督)

私も命を繋いでいく役目を担うのだろうか。 微かな光と絶望に怯えながら、夢中で読み進めた。どうしようもない日々に、早見さんはいつだって、隣で一緒に座り込んでくれるんだ。
──長濱ねるさん(タレント)

ラストに現れるヒロインの強い覚悟と意思の力に、私たちは元気づけられる。辛く暗く苦しい話だが、そういう発見があるかぎり、小説はまだまだ捨てたものではない。 (「カドブン」書評より抜粋)
── 北上次郎さん(書評家)

★北上氏による書評はこちらから:https://kadobun.jp/reviews/entry-45365.html

 

著者プロフィール

著者の早見和真(はやみ・かずまさ)さんは、1977年生まれ。神奈川県出身、愛媛県在住。2008年『ひゃくはち』で作家デビュー。

『イノセント・デイズ』で第68回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)、『ザ・ロイヤルファミリー』で2019年度JRA賞馬事文化賞第33回山本周五郎賞をW受賞。。『店長がバカすぎて』で2020年本屋大賞9位。『あの夏の正解』で「2021年Yahoo!ニュース│本屋大賞ノンフィクション本大賞」ノミネート

他の著書に『スリーピング・ブッダ』『95(キュウゴー) 』『ぼくたちの家族』『笑うマトリョーシカ』、『かなしきデブ猫ちゃん』(かのうかりんさんとの共著)など。

 

八月の母
早見 和真 (著)

著者究極の代表作、誕生。 連綿と続く、女たちの“鎖”の物語。

『イノセント・デイズ』を今一度書く。そして「超える」がテーマでした。僕自身はその確信を得ています――早見和真

 
【関連】
早見和真『八月の母』特設サイト | カドブン
八月は母の匂いがする。八月は、血の匂いがする。 ――早見和真『八月の母』試し読み | カドブン
ラストに現れるヒロインの、その強い覚悟と意思の力に、私たちは元気づけられる。―― 早見和真『八月の母』レビュー【評者:北上次郎(書評家)】 | カドブン

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です