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本屋大賞4年連続ノミネートの青山美智子さん連作短編小説『人魚が逃げた』が刊行

4年連続で本屋大賞にノミネートされている人気作家・青山美智子さんの書き下ろし連作短編小説『人魚が逃げた』がPHP研究所より刊行されました。銀座を舞台に不思議な「人魚騒動」を通じて、登場人物たちの人生が交差する様を描きます。

 

フィクションとは何かというテーマと向き合った最新刊

『お探しものは図書室まで』(ポプラ社)が2位となった2021年以来、本屋大賞に毎年ノミネートされている青山美智子さんは、『人魚が逃げた』について、「フィクションとは何なのかというテーマと向き合った」と最新刊への思いを語っています。

 
青山美智子さんは、ストーリーや展開は「自分で考えるというより、物語のほうが引っ張ってくれることが多い」と、過去のインタビューで自己分析しています。『人魚が逃げた』の発刊に先立ち開催したInstagramLIVEでは「今の世界は本当に現実なのか、自分の本も本当に自分が執筆したのか疑ってしまうことがある」と述べ、日常に紛れ込む物語(フィクション)がインスピレーションの源になっていることを明かしています。

デビューから7年が経ち、本屋大賞に4年連続でノミネートされるほどの人気作家となった青山さんは「フィクションとは何なのか」というテーマを自分に課し、じっくりと向き合いました。そして浮かびあがったのが、あらためて「小説」を書きたいと思う自分と、『人魚が逃げた』という作品でした。作家「青山美智子」が「いま書きたい」すべてを注ぎ込んだ本作は、原点回帰の作品であると同時に、渾身の意欲作でもあるのです。

 
アンデルセン童話「人魚姫」に着想を得た本作は、SNSや銀座の街を騒がせた〈人魚騒動〉が起きた一日を描いた物語です。騒動の当事者である謎の青年や、銀座に居合わせた5人の男女との間で絡み合う運命の糸を、ハートフルストーリーの名手である著者が紡いで、それぞれの人生模様を織り出しました。

 
【あらすじ】

ある日曜日、SNS上で「人魚が逃げた」という言葉がトレンド入りした。どうやら「王子」と名乗る謎の青年が銀座の街をさまよい歩き、「僕の人魚がいなくなってしまって……逃げたんだ。この場所に」と語っているらしい。
彼の不可解な言動に、人々はだんだん興味を持ち始め――。

そしてその「人魚騒動」の裏では、5人の男女が「人生の節目」を迎えていた。12歳年上の女性と交際中の元モデルの会社員、デパートで買い物中の主婦、絵の蒐集にのめり込みすぎるあまり妻に離婚されたコレクター、文学賞の選考結果を待つ作家、ママとして就任したばかりのホステス。銀座で交わる5人を待ち受ける意外な運命とは。
そして「王子」は人魚と再会できるのか。そもそも人魚はいるのか、いないのか……。

★試し読み:https://www.php.co.jp/books/dl/pdf/9784569904238.pdf

 

ミニチュア写真家・田中達也さんが表現する「青山ワールド」にも注目

『人魚が逃げた』では、実在する店や人物と、そうではないものを混在させ、現実とフィクションの境界線があいまいな世界観が描かれました。プロローグからエピローグまで、青山さんらしい繊細な仕掛けがちりばめられ、エンドロールまで見逃せない映画のような作品です。

 
この作品の装丁写真は田中達也さんにお願いすると、執筆の段階から心に決めていたという青山美智子さん。これまでも『お探し物は図書室まで』『木曜日にはココアを』など、数々の青山作品を手がけた田中達也さんにオファーし、再タッグが実現しました。

本を銀座の和光に見立てた装丁写真は、フィクションと現実が織りなす作品の世界観を見事に表現しています。

 

著者プロフィール

青山美智子(あおやま・みちこ)さんは、作家。大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務。 2年間のオーストラリア生活ののち帰国、上京。 出版社で雑誌編集者を経て執筆活動に入る。

デビュー作『木曜日にはココアを』で第1回宮崎本大賞を受賞。『猫のお告げは樹の下で』で第13回天竜文学賞を受賞。
『お探し物は図書室まで』が2021年本屋大賞2位、『赤と青とエスキース』が2022年本屋大賞2位、『月の立つ林で』が2023年本屋大賞5位、『リカバリー・カバヒコ』が2024年本屋大賞7位に選ばれた。

 

人魚が逃げた
青山 美智子 (著)

 
【関連】
試し読み|人魚が逃げた [PDF]

 


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