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井上荒野さん『あちらにいる鬼』が文庫化! 瀬戸内寂聴さん「作者の父井上光晴と、私の不倫が始まった時、作者は五歳だった」

井上荒野さん著『あちらにいる鬼』

井上荒野さん著『あちらにいる鬼』

父で小説家の井上光晴さんと瀬戸内寂聴さんの不倫関係、そしてそれを静かに見守った母をモデルに、逃れようもなく交じり合う三人の〈特別な関係〉を、長女である著者・井上荒野さんが描ききった『あちらにいる鬼』が文庫化され、朝日文庫より刊行されました。

 

『あちらにいる鬼』について

 
【あらすじ】

一九六六年、講演旅行をきっかけに男女の仲となる二人の作家、白木篤郎と長内みはる。繰り返される情事に気づきながらも心を乱さない篤郎の美しい妻、笙子。

みはると笙子、二人の愛と〈書くこと〉に貫かれた人間たちの生を描ききった傑作。至高の情愛に終わりはあるのか?

 
<井上荒野さんコメント(単行本発売時インタビューより)>

構想から本にまとめる時間を含めると四年半くらいかかっていると思います。「ご両親と寂聴さんのことを描いてみませんか」という依頼を受けたときには、自分のなかに書くという選択肢はありませんでした。その後、寂聴さんの体調があまりよくない時期に、そろそろお目にかかっておかないといけないという気になって、寂庵にお邪魔したんです。幸い寂聴さんはとてもお元気で、半日くらいずっとお話して。その間、寂聴さんはずっと父の話をしていたんですね。「井上さんはこんなことを言ったのよ、あんなことをしたのよ」って。それを聞いていると、「ああ、寂聴さんはほんとに父のことが好きだったんだ」と思いました。それで、すごくぐっときてしまったんです。「寂聴さんは父との恋愛をなかったことにはしたくないんだな、私が書かないといけないんだな」と思いました。

 

「モデルとなった私が読み、感動した!!」瀬戸内寂聴さん、激賞!

「作者の父井上光晴と、私の不倫が始まった時、作者は五歳だった。

五歳の娘が将来小説家になることを信じて疑わなかった亡き父の魂は、この小説の誕生を誰よりも深い喜びを持って迎えたことだろう。

作者の母も父に劣らない文学的才能の持主だった。作者の未来は、いっそうの輝きにみちている。百も千もおめでとう。」

 

著者プロフィール

著者の井上荒野(いのうえ・あれの)さんは、1961年生まれ。東京都出身。1989年「わたしのヌレエフ」でフェミナ賞、2004年『潤一』で島清恋愛文学賞、2008年『切羽へ』で直木賞、2011年『そこへ行くな』で中央公論文芸賞、2016年『赤へ』で柴田錬三郎賞、2018年『その話は今日はやめておきましょう』で織田作之助賞を受賞。

著書に『夜をぶっとばせ』『悪い恋人』『そこにはいない男たちについて』『ママナラナイ』『百合中毒』など多数。

 

あちらにいる鬼 (朝日文庫)
井上 荒野 (著)

父・井上光晴、母、そして瀬戸内寂聴をモデルに、逃れようもなく交じり合う三人の〈特別な関係〉を、長女である著者が描ききった衝撃の最高傑作、映画化決定!

朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、日経新聞、週刊現代、週刊朝日、女性自身、週刊ポストほか各紙誌で大反響の問題作いよいよ文庫化。

 
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