【第33回アジア・太平洋賞】杉原薫さん『世界史のなかの東アジアの奇跡』が受賞
アジア・太平洋地域に関する優れた本を著した研究者らに贈られる「第33回アジア・太平洋賞」の受賞者・受賞作が発表されました。
第33回アジア・太平洋賞が決定!
第33回アジア・太平洋賞は、次の通り決定しました。
<第33回アジア・太平洋賞 受賞作品>
■大賞
杉原薫(すぎはら・かおる)さん〔総合地球環境学研究所特任教授〕
『世界史のなかの東アジアの奇跡』(名古屋大学出版会)
■特別賞
◎石川禎浩(いしかわ・よしひろ)さん〔京都大学人文科学研究所教授〕
『中国共産党、その百年』(筑摩選書)
◎中西嘉宏(なかにし・よしひろ)さん〔京都大学東南アジア地域研究研究所准教授〕
『ロヒンギャ危機――「民族浄化」の真相』(中公新書)
◎中島楽章(なかじま・がくしょう)さん〔九州大学大学院人文科学研究院准教授〕
『大航海時代の海域アジアと琉球――レキオスを求めて』(思文閣出版)
選考委員は、五百旗頭真さん(アジア調査会長/選考委員長)、田中明彦さん(政策研究大学院大学長)、白石隆さん(熊本県立大学理事長)、高原明生さん(東京大学公共政策大学院教授)、前田浩智さん(毎日新聞社主筆)。
アジア・太平洋賞とは
アジア・太平洋賞は、アジア調査会創立25周年を記念して、1989年(平成元年)に創設。毎日新聞社とアジア調査会が共同で主催。外務省、文部科学省、経済産業省が後援。
本賞は、過去1年間(前年7月1日~当年7月上旬)に発刊された、アジア・太平洋地域の政治、経済、社会、文化などに関する優れた本を著した研究者、実践者らを対象とし、大賞受賞者には記念の盾と賞金200万円が、特別賞の受賞者には記念の盾と賞金各30万円が贈られます。また、受賞作の出版社に記念の盾が贈られます。
<アジア調査会について>
一般社団法人「アジア調査会」は、毎日新聞社が中心となって、政界、経済界、学界など各方面の協力を得て設立。日本にとって重要な中国をはじめアジア諸国の調査研究、関係当局への建議と、国民外交の展開及び知識の普及啓発を目的としています。
世界史のなかの東アジアの奇跡 杉原 薫 (著) 脱〈西洋中心〉のグローバル・ヒストリー。―― 豊かさをもたらす工業化の世界的普及は、日本をはじめとする「東アジアの奇跡」なしにはありえなかった。それは「ヨーロッパの奇跡」とは異なる、分配の奇跡だった。地球環境や途上国の行方も見据え、複数の発展径路の交錯と融合によるダイナミックな世界史の姿を提示する、渾身のライフワーク。 |
中国共産党、その百年 (筑摩選書) 石川 禎浩 (著) 創立百周年を迎える中国共産党。いかにして超巨大政権党となったのか、この組織の中核的属性はどのように形作られたのか、多角的に浮き彫りにした最良の通史! |
ロヒンギャ危機―「民族浄化」の真相 (中公新書 2629) 中西 嘉宏 (著) 2017年8月25日、武装グループがミャンマー、ラカイン州の警察・軍関連施設を襲撃した。これに対し国軍は、ロヒンギャ集落で大規模な掃討作戦を実施。人々は暴力を逃れるため、隣国バングラデシュへと避難し、半年という短期間に難民は70万人にのぼった。事件から3年が経過したが、帰還は進んでいない。本書は、アジア最大の人道問題の全貌を、歴史的背景やミャンマーをめぐる国内・国際政治から読み解く。 |
大航海時代の海域アジアと琉球ーレキオスを求めてー 中島楽章 (著) 大航海時代、海域アジアへ進出したヨーロッパの航海者や現地で勤務した商務官などがもたらす情報により、この地域に対するヨーロッパの地理情報は飛躍的に発達した。 一方この時期の東南アジアは「交易の時代」を迎え、中継貿易で栄えた琉球王国も盛んに活動していた。こうしたなかでヨーロッパ人たちが探し求めた伝説的なレキオス(琉球)も現実の地理認識のなかに組み込まれていく。 本書ではこれまで十分に活用されてこなかったヨーロッパの文献、地図などを縦横に用いることで、海域アジアの全体状況、ヨーロッパにおける地理認識の変化、さらに漢籍等の公式的な史資料からではとらえきれない古琉球期の琉球王国の活動を多角的に解明する。 |
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▼アジア・太平洋賞 – 一般社団法人 アジア調査会
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