【日本マーケティング本大賞2021】『ブランド・インキュベーション戦略 ― 第三の力を活かしたブランド価値協創 ―』が大賞を受賞

「日本マーケティング本大賞2021」が決定!
学術研究団体「日本マーケティング学会」は、マーケティング理論や実践の普及のため、日本マーケティング学会員が選ぶ「日本マーケティング本大賞2021」の受賞作品を発表しました。
「日本マーケティング本大賞2021」が決定!
「日本マーケティング本 大賞2021」の受賞作品は次の通りです。
<「日本マーケティング本 大賞2021」受賞作品>
■大賞
和田充夫(わだ・みつお)さん・梅田悦史(うめだ・えつふみ)さん・圓丸哲麻(えんまる・てつま)さん・鈴木和宏(すずき・かずひろ)さん・西原彰宏(にしはら・あきひろ)さん
『ブランド・インキュベーション戦略 ― 第三の力を活かしたブランド価値協創 ―』(有斐閣)
【推薦理由】
「ブランド構築に有用な最新知見を提供する研究業績であり指南書」
ブランド研究の系譜に基づいた上で、供給者や受容者とは異なる「第三の力」という新しい視点によって議論を拡張し、実務にも有用な新たな地平を開拓した好著である。
顧客との関係性を考える上での最新の知見が整理されているだけではなく、ブランド構築の方法がブランド育成段階別に理論、実践の両面から検討されており、実務と研究の両方の側面で学びの多いものになっている。ブランド研究の大家と気鋭の若手研究者が実務家とともに形成した研究会の成果であり、事例が豊富に紹介されているとともに、緻密な分析を通じて理論的な貢献が導出されている。
■準大賞(2冊)
◎畢滔滔(ビイ・タオタオ)さん
『シンプルで地に足のついた生活を選んだ ヒッピーと呼ばれた若者たちが起こしたソーシャルイノベーション ― 米国に有機食品流通をつくりだす ―』(白桃書房)
【推薦理由】
「消費文化研究に取り組む上での模範となる読み応えのある1冊」
有機食品流通・マーケティングというテーマをソーシャルイノベーションの切り口から論じることで、リソースが有機的に結びつき市場が出来上がる様を示した良書である。
米国における有機食品流通の時間的変化を丁寧に掘り起こし正確に記述することで、サステナビリティへのムーブメントという大きな消費文化・ライフスタイルの転換を示すとともに、本物の文化コンテンツ育成に示唆を与える1冊である。精緻なレビューと長年にわたる丁寧なフィールド調査に基づいた、問いおよび答えが明確に記された第一級の研究書であり、研究視点においても研究方法においても後続する消費文化・マーケティング研究者にとって指針となる希有な書籍である。
◎寺﨑新一郎(てらさき・しんいちろう)さん
『多文化社会の消費者認知構造 ― グローバル化とカントリー・バイアス ―』(早稲田大学出版部)
【推薦理由】
「グローバル時代の消費者心理を検討した現代的示唆の多い1冊」
対外感情と消費者行動の背後にあるメカニズムを、質と量の両面から理論的に解き明かした、グローバル化が進展した時代に求められる良書である。
カントリー・バイアスの捉え方をポジティブな側面に焦点を当て発展させることで、国・地域がそれぞれ独自の文化を有する多文化社会の消費者行動を体系的に論じており、グローバル化が進展する中での多文化社会の理解とこれからの実践に多くの示唆を与えている。社会構造に大きく依拠する消費者認知の構造が、多文化社会において如何なるものになっているかを実験や分析によって解明するだけではなく、国際マーケティング研究の最先端を知ることができる数少ない学術書でもある。
「日本マーケティング本 大賞2021」概要
■目的:マーケティング理論や実践の普及のため、日本で1年間に出版されたマーケティング書籍を対象に、日本マーケティング学会員が推奨する優れたマーケティング書籍として選出。
■対象書籍:2020年4月~2021年3月に日本で出版されたマーケティング書籍(翻訳本を除く、および学会員著作に限らず対象とする)
■選考方法
◎1次投票:学会員1人につき1~3作品を投票(学会ウェブサイト上)し、1次投票の得票数上位10作品(本年は10作品)をノミネート本として発表。
◎2次投票:ノミネート作品から、学会員1人につき1~3作品を選び投票(学会ウェブサイト上)し、2次投票の得票数上位より、大賞作品を決定。
★詳細:http://www.j-mac.or.jp/bookaward/
<日本マーケティング学会について>
日本のマーケティング力を培っていくために、理論と実践との、そして他分野との深いレベルでの交流を通して「探求と創発」を目指し、2012年に発足した日本学術会議協力学術研究団体です。
2000名を超える研究者や実務家の会員が所属し、学術誌マーケティングジャーナルの発行をはじめ、マーケティングカンファレンスや、35ものテーマが研究されるリサーチプロジェクト、魅力的なゲストを招くマーケティングサロンなど、多様な「探究と創発」の場を提供しています。
ブランド・インキュベーション戦略 — 第三の力を活かしたブランド価値協創 和田 充夫 (著), 梅田 悦史 (著), 圓丸 哲麻 (著), 鈴木 和宏 (著), 西原 彰宏 (著) ブランドが生成されるプロセスに関して,時間軸に踏まえた新たな枠組みを提唱。多くの事例を通して,企業と消費者に加え,第3の担い手であるサードフォースの重要性を指摘していく。新しい時代を指し示す,ブランド・マネジャー,マーケターの必読書。 |
シンプルで地に足のついた生活を選んだ ヒッピーと呼ばれた若者たちが起こしたソーシャルイノベーション: 米国に有機食品流通をつくりだす 畢 滔滔 (著) 米国は日本と比べ、有機農業の作付面積シェア比で3倍となっている。しかし両国で発展が始まったのは、1960年代後半から70年代で大差ない。特にその初期は、自然農法のカリスマである福岡正信の翻訳書が刊行され講演も行うなど、米国の読者にも大きな影響を与えていたほどである。 本書は、『なんの変哲もない取り立てて魅力もない地方都市 それがポートランドだった』などが好評で、 米国におけるカウンターカルチャーと行政の関わりを研究してきた著者が、日米間でこのように大きな違いをもたらした、米国における有機農産物流通のダイナミズムに着目し、73名もの関係者へのインタビューと、現地の2次資料に基づいた研究をまとめた貴重なレポートである。 第I部は、有機農産物の生産者でもあり消費者でもあった人々が、自ら必要に駆られ流通やマーケティングを手がけていった過程を描き出し、また第II部は、オレゴン州における代表的有機食品流通企業・販売機関に関する事例研究をまとめている。そして終章で、これらの取り組みが米国において、大規模な食品スーパーとの競争に直面しても生き残ることができた理由を明らかにし、日本への示唆を提示、このコロナ禍の時代に生き残る方途としても読める内容を持つ。 ソーシャルイノベーションに取り組みたい方、そして有機農産品の流通・マーケティングに関わる方におすすめ。 |
多文化社会の消費者認知構造:グローバル化とカントリー・バイアス (早稲田大学エウプラクシス叢書) 寺﨑 新一郎 (著) グローバル経済を人々の心で読み解く――。 【推薦のことば】 消費者の心理は、国家や文化の違いによって左右される。そうした違いを理解することなく、真のグローバル化に乗り出すことはできない。本書は、多文化社会の認知構造を解明する手がかりを私たちに与えてくれる。――恩藏直人(早稲田大学常任理事・商学学術院教授) |
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