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大貫智子さん「第27回小学館ノンフィクション大賞」受賞作『愛を描いたひと イ・ジュンソプと山本方子の百年』が刊行 韓国の国民的画家とその日本人妻の知られざる物語

大貫智子さん著『愛を描いたひと イ・ジュンソプと山本方子の百年』

大貫智子さん著『愛を描いたひと イ・ジュンソプと山本方子の百年』

昨年12月に発表された「第27回小学館ノンフィクション大賞」を受賞した、大貫智子さんの「帰らざる河 ―海峡の画家イ・ジュンソプとその愛―」が書籍化され、『愛を描いたひと イ・ジュンソプと山本方子の百年』として小学館より刊行されました。

 

「第27回小学館ノンフィクション大賞」受賞作『愛を描いたひと イ・ジュンソプと山本方子の百年』について

 
【選評より】

「この作品を通じて彼という画家の存在を多くの人たちに知ってほしいと純粋に願う」
──辻村深月さん(作家)

「太く短く生きた情熱的な画家と、日々を懸命に生きた寡黙な妻。その非対称性が胸に迫り、日韓の微妙な関係性まで映し出しているように思えた」
──星野博美さん(ノンフィクション作家)

「朝鮮戦争時に、家族に怒濤の勢いで押し寄せてくる歴史の荒波が、あたかもそこにいるかのような臨場感で迫ってくる」
──白石和彌さん(映画監督)

 
イ・ジュンソプは韓国の国民的画家です。朝鮮半島の平原(現在は北朝鮮)に生まれ、日本統治時代に東京で絵を学び、朝鮮戦争により釜山へ避難。1956年にソウルで没しました。その人生は映画や演劇の題材とされ、美術の教科書にも掲載されています。しかし、日本で名を知るものは多くありません。

 
その妻・山本方子は日本人です。方子は、貧困と混乱の極みにあった朝鮮半島に夫を残し、幼な子とともに日本に帰国しました。夫への愛を胸の奥にしまい、ひたすら子供のために暮らしを支えました。

 
筆者は、韓国での現地取材に加え、方子へのロングインタビュー、夫婦が交わした数々の手紙から、運命に引き裂かれた夫婦の実像を描いています。カラー口絵に26点の絵・手紙を収録、未公開書簡も多数掲載。

 

「第27回小学館ノンフィクション大賞」受賞の言葉

幼い頃からノンフィクションは好きだった。しかし自分が書くことになるなど、考えてみたこともなかった。

 
日本統治時代の出会い、北朝鮮・元山での新婚生活、朝鮮戦争による韓国への避難、そして国交がなく果たせなかった家族の再会。これだけ壮大なストーリーをどこからどう伝えたらいいのか。ある時は優れたノンフィクション作品、ある時は恋愛小説に筆運びを学ぶ日々だった。気が付けばソウル特派員時代の2016年に取材を始めてから4年以上が過ぎていた。

 
何とか書き切ることができたのは、夫婦が交わした数々の手紙や作品の世界を日本でも伝えたいという使命感のようなものがあったためだろう。

 
日本語で書かれた李仲燮の手紙は愛情にあふれながら、しばしば苛立ちを爆発させていた。方子さんはそんな彼を画家の妻として理解し、支えようとした。2人の夫婦の物語は、民族や国家、戦争といった難しいテーマを超越していた。理屈抜きに、ただ、お互いを必要とした。取材を進めるにつれ、そうシンプルに受け止めるようになっていった。

 
新型コロナウイルスの感染拡大により、ある日突然大切な人に会えなくなることを私たちは知った。方子さんはそれを半世紀以上前に経験しながら、今も胸に夫を抱いて生きている。取材を通じ、人が幸せに生きるとはどういうことなのか、考えさせられた。そんな私の作品に込めた思いが、多少なりとも評価していただけたのではないかと感謝している。

 

著者プロフィール

著者の大貫智子(おおぬき・ともこ)さんは、1975年生まれ。神奈川県出身。早稲田大政治経済学部卒業。2000年毎日新聞社入社。政治部、ソウル特派員、論説委員などを経て2021年4月より政治部で主に外交を担当している。

本書が初の著書になる。

 

小学館ノンフィクション大賞について

小学館ノンフィクション大賞は、小学館の『週刊ポスト』『女性セブン』2誌主催による、ノンフィクションを対象とする公募の文学賞です。

1993年、創刊25周年を迎えた『週刊ポスト』が『SAPIO』とともに「21世紀国際ノンフィクション大賞」として創設。第7回より現在の名称となりました。

受賞作は、小学館より単行本として刊行されます。

 

 
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