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【訃報】元東大学長・俳人の有馬朗人さんが死去 『黙示』で蛇笏賞

物理学者で俳人、元東京大学長の有馬朗人(ありま・あきと)さんが12月7日、東京都内の自宅で死去しました。90歳。大阪市出身。

 
有馬朗人さんは、1930年生まれ。東京大学理学部卒業。東大で助手、助教授を経て、1975より理学部教授、1989年から1993年まで学長。専門は原子核物理学。1993年には原子核物理分野の権威とされる米国物理学会の「ボナー賞」を日本人として初受賞。1993年に日本学士院賞を受賞。2004年に文化功労者。同年に旭日大綬章、2010年に文化勲章を受章。

理化学研究所理事長、文部省の中央教育審議会会長などを務め、1998年に参院選で初当選し、文部大臣に就任。1999年から科学技術庁長官を兼任。参議院議員は1期で引退。その後も、日本科学技術振興財団会長、科学技術館館長、武蔵学園学園長、公立大学法人静岡文化芸術大学理事長などを歴任。

 
俳人としても知られ、東大在学中に「夏草」に入会し、高浜虚子の弟子・山口青邨に師事。1990年に俳誌「天為」(http://www.haikunet.info)を創刊・主宰。東大学長時代に国際俳句交流協会を設立し、俳句の国際交流や、俳句の世界遺産登録を目指す活動に尽力。

1987年『天為』で俳人協会賞、2012年『流轉』で詩歌文学館賞、2007年『分光』で詩歌句大賞、2018年に句集『黙示』並びに現代俳句の発展と国際化に果たした功績により毎日芸術賞、同年『黙示』で蛇笏賞を受賞。2006年から2012年まで蛇笏賞選者。

 
句集に『母国』『耳順』『立志』『不稀』『鵬翼』など。著書に『ゆっくり行こう』『原子と原子核 量子力学の世界』『物理学は何をめざしているのか』『大学貧乏物語』など。

 

句集 黙示
古代からの歴史の豊かさが俳句のことばに結晶する珠玉の一冊。

〈知床の海へカムイの放つ滝〉〈いづこにも釈迦ゐる国の朝涼し〉
俳句で巡る現世と常世の旅。
教育者、俳人、物理学者などさまざまな分野で活躍し続ける著者の待望の第10句集。自在な詠みぶりで、国内外を自由に多角的に描いた四〇〇句を収録。古代からの歴史の豊かさが俳句のことばに結晶する珠玉の一冊。

 


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