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【訃報】作家・佐江衆一さんが死去 「老老介護」を描いた『黄落』でドゥマゴ文学賞を受賞

作家の佐江衆一(さえ・しゅういち=本名:柿沼利招)さんが10月29日、肺腺がんで死去しました。86歳。東京都出身。告別式は近親者で営まれました。

 
江衆一さんは、1934年生まれ。栃木県立栃木高校卒業。コピーライターを経て、1960年に短編「背」で作家デビュー。1995年、自身の介護体験をもとに「老老介護」を描いた『黄落』でドゥマゴ文学賞を受賞。同作は、テレビドラマ化や舞台化もされました。
1990年『北の海明け』で新田次郎文学賞、1996年『江戸職人綺譚』で中山義秀文学賞を受賞。

 
他の著書に、『太陽よ、怒りを照らせ』『すばらしい空』『横浜ストリートライフ』『わが屍は野に捨てよ 一遍遊行』『士魂商才 五代友厚』『長きこの夜』『動かぬが勝』『あの頃の空』『クイーンズ海流』、「昭和と戦争の三部作」(『昭和質店の客』『兄よ、蒼き海に眠れ』『エンディング・パラダイス』)など。

また、『黄落』で描いた両親の介護生活から解放された65歳から英会話に挑戦した経験を活かした『65歳おじさんの英会話勉強が楽しくなる本』、さらに70歳で世界一周を達成した船旅を描いた『地球一周98日間の船旅』も刊行。古武道杖術師範。剣道五段。

 

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黄落 (新潮文庫)
佐江 衆一 (著)

還暦間近の夫婦に、92歳の父と87歳の母を介護する日がやってきた。母の介護は息子夫婦の苛立ちを募らせ、夫は妻に離婚を申し出るが、それは夫婦間の溝を深めるだけだった。やがて母は痴呆を発症し、父に対して殺意に近い攻撃性を見せつつも、絶食により自ら命を絶つ。そして、夫婦には父の介護が残された……。老親介護の実態を抉り出した、壮絶ながらも静謐な佐江文学の結実点。

北の海明け (新潮文庫)
佐江 衆一 (著)

文化元年、幕府は対露政策の一環として蝦夷地に官寺建立を決定。命を受けた文翁、智弁らは、アイヌ教化のためにアッケシに赴任した。文翁の布教は困難を窮め、若い智弁はアイヌを虐待する和人に慣りを募らせていく、やがて、文翁は幕命を果せぬまま横死、智弁は苛烈な運命に呑まれてゆく。二つの文化の間で苦悩する二人の僧を通して歴史の暗闇に光を当てる新田次郎賞受賞の巨編。

エンディング・パラダイス
佐江 衆一 (著)

八十八歳の老人が挑む人生終幕の旅――「昭和と戦争の三部作」最後の長編小説。亡き父の遺言を果たすため南太平洋の島に遺骨収集の旅に出た昭平。辿りついた地は村の人々が原始的な生活をして平和に暮らす桃源郷だった。彼は村で暮らす決心をする。だが迫り来る大国企業の天然ガス採掘の足音に脅かされる原住民たち。昭平は共に村を守り闘う決意を固める。渾身の力で未来を切り拓いていく老人の成長物語。

 


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