【第10回Twitter文学賞】佐藤亜紀さん『黄金列車』とルシア・ベルリンさん『掃除婦のための手引き書』が受賞
Twitter文学賞事務局は3月7日、第10回Twitter文学賞の結果発表を行いました。
第10回Twitter文学賞の結果について
第10回Twitter文学賞の国内編は佐藤亜紀さん著『黄金列車』が、海外編はルシア・ベルリンさん著『掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集』が、それぞれ第1位に輝きました。
<第10回Twitter文学賞(国内)>
◎第1位:佐藤亜紀さん『黄金列車』(KADOKAWA)
◎第2位:伴名練さん『なめらかな世界と、その敵』(早川書房)
◎第3位:キタハラさん『熊本くんの本棚 ゲイ彼と私とカレーライス』(KADOKAWA)
※国内編のすべての順位は、https://twitter-bungaku-award.theblog.me/posts/7858868?categoryIds=2781292 をご覧ください。
第1位に輝いた佐藤亜紀さんは、1962年、新潟県生まれ。1991年『バルタザールの遍歴』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。2003年『天使』で芸術選奨新人賞を、2008年『ミノタウロス』で吉川英治文学新人賞を受賞。2017年に発表した『スウィングしなけりゃ意味がない』は戦時下のナチスドイツを舞台に、ジャズに熱中する少年たちの目を通して戦争の狂気と滑稽、人間の本質を描き、大きな反響を呼びました。
<佐藤亜紀さん コメント>
佐藤亜紀です。
前作「スウィングしなけりゃ意味がない」と違って、ほぼおじさんしか出てこない地味な小説なので、こんなに沢山の人から支持されたというのはちょっと驚きです。
驚きながら、感謝もしております。
ここ三作くらいは、そういう点、風向きの変化を感じます。
いい変化と言えるかどうかはまだわかりませんが。
現在、次の本の取材中です。
遠からぬうちに作品としてお見せできると思います。
それではまた。
<第10回Twitter文学賞(海外)>
◎第1位:ルシア・ベルリンさん『掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集』(訳:岸本佐知子さん/講談社)
◎第2位:劉慈欣さん『三体』(訳:大森望さん、光吉さくらさん、ワン・チャイさん/監修:立原透耶さん/早川書房)
◎第3位:テッド・チャンさん『息吹』(訳:大森望さん/早川書房)
※海外編のすべての順位は、https://twitter-bungaku-award.theblog.me/posts/7839414?categoryIds=2781292 をご覧ください。
第1位に輝いたルシア・ベルリン(Lucia Berlin)さんは、1936年アラスカ生まれ。鉱山技師だった父の仕事の関係で幼少期より北米の鉱山町を転々とし、成長期の大半をチリで過ごします。3回の結婚と離婚を経て4人の息子をシングルマザーとして育てながら、高校教師、掃除婦、電話交換手、看護師などをして働きます。いっぽうでアルコール依存症に苦しみました。20代から自身の体験に根ざした小説を書きはじめ、1977年に最初の作品集が発表されると、その斬新な「声」により、多くの同時代人作家に衝撃を与えます。1990年代に入ってサンフランシスコ郡刑務所などで創作を教えるようになり、のちにコロラド大学准教授となります。2004年逝去。レイモンド・カーヴァー、リディア・デイヴィスをはじめ多くの作家に影響を与えながらも、生前は一部にその名を知られるのみでしたが、2015年、本書の底本となるA Manual for Cleaning Womenが出版されると同書はたちまちベストセラーとなり、多くの読者に驚きとともに「再発見」されることとなりました。
【動画】第10回Twitter文学賞、結果発表
Twitter文学賞について
Twitter文学賞は、書評家の豊崎由美さんが発起人となり、2011年より開催されている文学賞です。「Twitter文学賞事務局」が運営。
一般の読者が、前年に刊行された国内の新作小説(国内編)、海外の初訳小説(海外編)の中で一番おもしろいと思った作品をTwitter上での投票(ツイート)し、順位を決定します。Twitterユーザーであれば誰でも投票できます。国内編・海外編それぞれ、1票のみ投票可。
なお、同賞にTwitter社は関与していません。
【参考】
★「Twitter文学賞【やってみようと思った気持ち】豊崎由美」
https://twitter-bungaku-award.theblog.me/posts/2084783?categoryIds=423452
黄金列車 佐藤 亜紀 (著) 第二次世界大戦末期、文官の論理と交渉術で 第二次世界大戦末期。ハンガリー大蔵省の役人のバログは、敵軍迫る首都から国有財産の退避を命じられ、ユダヤ人の没収財産を積んだ「黄金列車」の運行に携わることになる。混乱に乗じて財宝を狙う有象無象を相手に、文官の論理と交渉術で渡り合っていくバログ。過酷な日々の中、胸に去来するのはかつて青春を共にしたユダヤ人の友人、そして妻との出会いだった。輝くような思い出と、徐々に迫ってくる戦争の影。ヨーロッパを疾駆する列車のなか、現在と過去を行き来しながらバログはある決意を固める。 |
掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集 ルシア・ベルリン (著), 岸本 佐知子 (翻訳) 発売4ヵ月で7刷の大ヒット! 2013年にノーベル文学賞を受賞したアリス・マンローや、短篇の名手レイモンド・カーヴァー、日本で近年人気が高まっているリディア・デイヴィスなどの名だたる作家たちに影響を与えながら、寡作ゆえに一部のディープな文学ファンにのみその名を知られてきた作家、ルシア・ベルリン。 2004年の逝去から10年を経て、2015年、短篇集A Manual for Cleaning Womenが出版されると同書はたちまちベストセラーとなり、The New York Times Book Reviewはじめ、その年の多くのメディアのベスト本リストに選ばれました。 このむきだしの言葉、魂から直接つかみとってきたような言葉を、とにかく読んで、揺さぶられてください |
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