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【第41回角川源義賞】古井戸秀夫さん『評伝 鶴屋南北』と横田冬彦さん『日本近世書物文化史の研究』が受賞

第41回角川源義賞が決定!

第41回角川源義賞が決定!

角川文化振興財団は10月23日、第41回角川源義賞の受賞作品を発表しました。

 

第41回角川源義賞の各部門が決定!

第41回角川源義賞は、10月16日に「文学研究部門」、10月21日に「歴史研究部門」の選考会が開催され、次の通りの受賞作品が決定しました。

 
<第41回角川源義賞 受賞作品>

■文学研究部門
古井戸秀夫(ふるいど・ひでお)さん
『評伝 鶴屋南北』(白水社)

■歴史研究部門
横田冬彦(よこた・ふゆひこ)さん
『日本近世書物文化史の研究』(岩波書店)

 
文学研究部門を受賞した古井戸秀夫さんは、1951年、東京都生まれ。早稲田大学文学部演劇科卒業。同大学院文学研究科芸術学演劇専攻博士課程退学。早稲田大学文学部教授、東京大学大学院人文社会系研究科教授などを歴任。東京大学名誉教授。
なお、受賞作の『評伝 鶴屋南北』は第70回読売文学賞「研究・翻訳賞」第69回芸術選奨「評論部門」なども受賞。

選考委員は、安藤宏さん、揖斐 高さん、原岡文子さん、三浦佑之さん。

 
歴史研究部門を受賞した横田冬彦さんは、1953年生まれ。京都大学文学部史学科卒業。同大学院文学研究科博士後期課程退学。神戸大学文学部助教授、京都橘女子大学文学部助教授、同教授、京都大学大学院文学研究科教授などを歴任。京都大学名誉教授、京都橘大学名誉教授。

選考委員は、石上英一さん、黒田日出男さん、藤井讓治さん、三谷博さん。

 
古井戸秀夫さんと横田冬彦さんには、賞状・記念品および副賞として100万円が贈られます。贈呈式は、12月12日午後3時より、ホテルメトロポリタンエドモント(東京・飯田橋)にて、第17回角川財団学芸賞及び第6回城山三郎賞と同時開催。

 

角川源義賞とは

角川源義賞は、「角川書店の創立者で、古代中世文学の研究家でもあった角川源義の、日本文化振興への思念の一端を具現」しようと、昭和54年に創設された賞です。

日本文学あるいは日本史分野(関連分野を含む)の研究として刊行された、個人の学術書。高い完成度とともに、本賞による顕彰を機に研究上の更なる進展が期待される著作・著者を対象としています。

 

評伝 鶴屋南北(全2巻・分売不可)
古井戸秀夫 (著)

《第一人者が半生を賭して著す空前絶後の大作歌舞伎を歌舞伎たらしめた狂言作者の生涯》

江戸歌舞伎の発展と成熟に多大な業績を残した狂言作者の生涯と作品を、第一人者が半生を賭し、同時代の人間模様と共に描く渾身の大作。

坪内逍遥が、日本のシェイクスピアに譬えた四世鶴屋南北、いわゆる大南北の生涯と作品を、同時代の役者や作者などの動向をふまえながら、第一人者が長年にわたる研究成果を基に書き下ろした畢生の大作。
中村座や市村座が立ち並ぶ芝居町の一角にある紺屋で産声をあげたとされる南北は作者部屋へと飛び込み、爾来75年に及ぶ生涯の50余年をその作者部屋で過ごしながら、押しも押されぬ狂言作者へと上り詰めた。
その自由自在な演劇構造──悪人が善人になり、善人は悪人に変わる。女だと思えば男、男が女にもなり、姫は遊女にもなった。歴史という名の時間も、人格も、男女の性までも自在に操られ、鮮やかな仕掛けで見物を引き込む筆づかいを見せた。
作品数は「九十数点に及ぶ」と著者は類推する。現在『鶴屋南北全集』には62作品が収録されているが、こぼれ落ちた写本も少なくはない。
一度は途絶えた南北再評価の動きは、大正の震災後、渥美清太郎を中心にするものだった。そしてそれ以降、日本の演劇は南北を求め続けている。五代目松本幸四郎をはじめとする役者を通して、南北の筆が探し求めて動いたものは何か。本書は南北を取り巻いて渦巻く「畸人」たちの群像ドラマでもある。

日本近世書物文化史の研究
横田 冬彦 (著)

書物流通のネットワークを担い、蒐集した書物を独自に体系化し、日常生活の糧として後世に受け継いでいく――都市に限定されがちであった分析視角を大きく農村に広げ、従来の受動的な読者像を打ち崩し、能動的に知を紡ぐ「近世の読者」を、〈蔵書〉という宇宙から描き出す。第一人者による集大成。

 
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【決定のお知らせ】第41回 角川源義賞|角川文化振興財団

 


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