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【訃報】ドイツ文学者・池内紀さんが死去 カフカ作品、『ファウスト』などの翻訳

フランツ・カフカ作品などの翻訳で知られる、ドイツ文学者でエッセイストの池内紀(いけうち・おさむ)さんが8月30日、虚血性心不全のため死去しました。78歳。兵庫県姫路市出身。葬儀は近親者で営まれました。喪主は妻の水緒さん。

 
池内紀さんは、1940年生まれ。兵庫県立姫路西高校卒業、東京外国語大学外国語学部卒業、東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。神戸大助教授、東京都立大(現・首都大学東京)教授、東京大教授などを歴任。翻訳、評論、エッセイなど幅広く執筆、定年前の55歳で東大を退官し、文筆業に専念。

1979年『諷刺の文学』で亀井勝一郎賞、1994年『海山のあいだ』で講談社エッセイ賞、2001年『ゲーテさんこんばんは』で桑原武夫学芸賞、2000年にゲーテ『ファウスト』の翻訳で毎日出版文化賞、2002年『カフカ小説全集』(全6巻)の翻訳で日本翻訳文化賞、2013年『恩地孝四郎 一つの伝記』で読売文学賞を受賞。

訳書にカフカ『カフカ短篇集』、クラウス『人類最期の日々』、アメリー『罪と罰の彼岸』、カネッティ『眩暈』、ジュースキント『香水』、ロート『聖なる酔っ払いの伝説』、カント『永遠平和のために』など。

著書に『二列目の人生』『ウィーンの世紀末』『ドイツ職人紀行』『みんな昔はこどもだった』『記憶の海辺』『闘う文豪とナチス・ドイツ』『日本の森を歩く』『消えた国 追われた人々』『本は友だち』『亡き人へのレクイエム』『池内紀の仕事場(全8巻)』など。

 
なお、宇宙物理学者で総合研究大学院大名誉教授の池内了(さとる)さんは弟。イスラム政治思想の専門家で東京大先端科学技術研究センター教授の池内恵(さとし)さんは次男。

 

変身ほか (カフカ小説全集)
カフカ (著), Franz Kafka (原著), 池内 紀 (翻訳)

ある朝、目覚めるとセールスマンのザムザは一匹の虫に変身していた。なぜ虫に変身したのか、作者は何ひとつ説明しない。ひたすら冷静に、虫になった男とその家族の日常を描いてゆく。

『変身』のほかに、『観察』『判決』『火夫』『流刑地にて』『田舎医師』『断食芸人』など収録。

【編集者よりひとこと】これまで何人もの訳者によって訳されてきた『変身』。池内紀訳は次のようにはじまる。「ある朝、グレーゴル・ザムザが不安な夢から目を覚ましたところ、ベッドのなかで、自分が途方もない虫に変わっているのに気がついた。甲羅のように固い背中を下にして横になっていた。」

【カフカ小説全集について】長い間待たれていた、カフカが残した手稿そのものをテキストとした新校訂版全集。これまでの版とは異なり、カフカ以外の人間の手になる部分をいっさい排した、カフカ自身が書いたままの姿に限りなく近い画期的全集の誕生。新たな光に照らし出されるカフカ文学を池内紀個人訳で贈る。

新訳決定版 ファウスト 第一部 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
ゲーテ (著), 池内 紀 (翻訳)

学問と知識に絶望したファウストは、悪魔メフィストフェレスと契約して魂を売りわたすかわりに、地上の快楽を手に入れ、人間の生のあらゆる可能性を体験しようとする。メフィストと組んだファウストの遍歴が始まる。霊薬を手に入れ、若返った青年ファウストがマルガレーテを見そめる。恋の成就、マルガレーテの母親の死と兄の殺害、そして、マルガレーテによる嬰児殺し。マルガレーテの処刑とともに愛を巡る劇は終わる。

ゲーテさんこんばんは (集英社文庫)
池内 紀 (著)

旅に、恋に、芸術に生きた!

あの大文豪はこんなにも面白い人だった!十代から恋愛遍歴を重ね、齢70を過ぎて17歳の少女にプロポーズした。二十代でベストセラー恋愛小説を書き、ワイマールの顧問官として職務に取り組んだ後、突然偽名を使ってイタリアへ逃亡した。詩をつくり、石を集め、山を登り、82歳で大作『ファウスト』を完成した。数多くのエピソードとともに、天才ゲーテの魅惑の世界を散策する画期的評伝。第五回桑原武夫学芸賞受賞。

 


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