『記憶とつなぐ』46歳で若年性アルツハイマー型認知症と診断された男性とそれを見守る妻が綴る「当事者とその家族だからこそ伝えられること」
46歳で「若年性アルツハイマー型認知症」と診断された夫とそれを見守る妻が、診断から現在に至るまでの心境とともに、認知症をとりまく現在の状況を綴った、下坂厚さん・下坂佳子さん著『記憶とつなぐ 若年性認知症と向き合う私たちのこと』が双葉社より刊行されました。
絶望の淵にさした光、仲間たちとの出会い、当事者とその家族だから伝えられること
認知症は、誰がいつ発症してもおかしくない身近な病気で、2025年には高齢者の5人にひとりが発症するとも言われています。
この本では、認知症と診断されてから、どんなことに絶望し、救われ、どのような日々を過ごしてきたか、そしてなぜ今のようにポジティブにものを考えられるようになったかを、当事者とその家族の視点から包み隠さず記した一冊です。
京都市の下坂厚さんは46歳の夏、アルツハイマー型若年性認知症の診断を受けました。簡単な計算を間違えたり、家に忘れ物をしてきたり、なんだかおかしいな……ということが少しずつ増え、もの忘れ外来を受診。「病名を聞いたときは、比喩でなく、本当に目の前が真っ暗に……」なったと言います。
診断後、働いていた鮮魚店を辞め塞ぎ込んでいた下坂さんを、妻の佳子さんは見守り続けました。そんな絶望の淵に光がさします。認知症当事者を支援する団体との出会いをきっかけに、下坂さんは介護施設でケアワーカーとして働き始めます。そして、現在は認知症について広く知ってもらうための啓蒙活動にも尽力しています。
また、診断後はカメラにふれることすらできなかったという趣味の写真撮影も再開、日々SNSなどで発信しながら、写真展を開催するまでに。5月には、京都市内の書店にて、書籍発売を記念した写真展も開催の予定です。
「認知症になったら終わり」というイメージを、少しでも明るいほうへ変えていけたら
(本書「はじめに」より)
「ぼくが認知症の当事者として生きるようになってから、3度目の冬を過ごしています。ぼくは今、毎日元気に働いています。趣味の写真撮影も楽しみながら続けています。認知症の啓蒙活動も積極的に行っていて、全国にかけがえのない大切な仲間ができました。認知症になったからこそ手にすることのできた素晴らしいものが、今のぼくにはたくさんあります。
『認知症は怖い病気』『認知症になったら終わり』というイメージを、ぼくの生き方を通して、少しでも明るいほうへ変えていけたら嬉しいです。」
本書の構成
第一章 46歳、認知症になる
第二章 絶望から希望へ
第三章 当事者だから、できること
第四章 認知症と向き合うということ
第五章 夫婦のこと、写真のこと、これからのこと
関係者に聞く 「認知症の当事者の方に働く場所を提供するという取り組み」
著者プロフィール
■下坂厚(しもさか・あつし)さん
1973年生まれ。京都府出身。2019年に46歳で若年性アルツハイマー型認知症を発症。それを機に、仲間とともに開業した鮮魚店を退社。現在は、介護施設にケアワーカーとして勤務。そのかたわら、「同じ病気を患う人のために、社会に足りないことを伝えたい」と、SNSや講演活動などさまざまな形で情報を発信している。「なかまぁる Short Film Contest 2020」オーディエンスアワード受賞。
★Instagram:https://www.instagram.com/atsushi_shimosaka/
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■下坂佳子(しもさか・よしこ)さん
1964年生まれ。京都府出身。ホームヘルパーとして働きながら、若年性アルツハイマー型認知症を発症した夫を見守る。
記憶とつなぐ 若年性認知症と向き合う私たちのこと 下坂 厚 (著), 下坂 佳子 (著) |
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