『トヨタの会議は30分』その仕事や忖度、本当に必要ですか?
山本大平さん著『トヨタの会議は30分』が、すばる舎より刊行されました。
昨今の日本では、生産性を求める反動で人間関係がドライになりつつありますが、自動車業界で長年トップを走るのみならず、日本経済全体のなかでも異彩を放ちながら躍進を続けるトヨタ自動車では、今もこの両者(【生産性】と【職場での密接な人間関係】)が共存しています。それを実現できるビジネススキルやコミュニケーション術が社内で共有されているからです。
本書では、そうした「中の人」しか知らない「トヨタの暗黙知」を、トヨタで新車開発のエンジニアとして長年勤めた後、経営コンサルタントに転身した山本大平さんが語ります。
まだ世に知られていない「トヨタに受け継がれる暗黙知」を公開
日本経済が停滞した平成には、世界を席巻したメイドインジャパンの昭和モデルが色あせ、ことなかれ主義や忖度のカルチャーが日本社会全体に根付いてしまいました。
その結果、日本と世界との差は今後も益々広まる一方で、今一度「ボトムアップ」で仕事の生産性について考え直す必要があります。特に多くの日本企業では、今でもなお、社内のエース級人材に海外MBAを取得させたり、外資系コンサルに莫大な金額を払い経営相談をしたりしていますが、いつまで経っても「絵に描いた餅」から脱せずにいます。会社を下支えしている「現場力」全体の向上なくして、真の経営強化は実現されません。
そんな状況でも、トヨタ自動車はグローバル市場の第一線で世界の名だたる企業と肩を並べて走り続けています。トヨタの強みは何なのか?
「トヨタ生産方式」や「カンバン方式」といった形式化されたシステム(仕組み)については既に世に知られていますが、その仕組みを継続的に生み出せる社内の「現場力」こそが、実はトヨタのリアルな強みです。
そしてそのトヨタの現場力は、トヨタ社内で日々実践されている「ビジネスコミュニケーションのあり方」や「企業文化」によって醸成されています。
本書は、トヨタの「中の人」しか知らず、まだ世に知られていない、トヨタの現場に創業期から深く根付いてきた“暗黙知”を公開し、日本経済を「頭からではなく足元から変えていくこと」を目的に書籍化されました。
本書に記載されている世間が知らない「トヨタに受け継がれる暗黙知」(一部抜粋)
■「なぜ?」と「定義は?」でトコトン詰めるのに、答えは決して教えない
「なぜを5回繰り返す」で終わらず、「なぜを5回繰り返すのはなぜか?」までを詰めるのがリアルなトヨタ。また、質問責めを行うが答えは最後まで教えない。それが創業期からのトヨタのカルチャーであり教育方針。「自分で考える力」を入社時から植え付ける。
■「嫌われてナンボ」――現場のオヤジマインドがトヨタの本質
「よい品 よい考」を印籠に、トヨタの現場ではオヤジたちの怒号が日々飛び交う。命を預かる仕事だからこそ、たとえパワハラと言われようが、現場のオヤジはいつでも大卒の若造をビシバシ叱責し鍛え上げる。この循環により、トヨタのDNAが継承されていく。究極のボトムアップ、それこそがトヨタがトヨタである所以?
■究極の時短コミュニケーション
日本一の会社だけが実践している、無駄を徹底的に排除した究極の時短術。議事録なんて作らない。メールする暇があればさっさと電話しろ。1分で読めてしまう資料作成術など、トヨタではコミュニケーションの最速化が行われている。他企業が社内コミュニケーションをトヨタ化するだけで2ヶ月分の労働時間を捻出可能!?
■「口2耳8」の割合で接する
創業時から、絶妙なバランスで今なお受け継がれているトヨタの暗黙知。日本企業で評価される「アピール」とは真逆のスタンス。口8~10ではむしろ叱責を受ける? “多様性”の合理的解釈の先にこのスタンスを確立。
■「売値」を自社で決めない?
売値を自ら決める会社は二流? 利益は何のためにある? 会社は何のために存在? 働くとは? 創業者である豊田喜一郎氏から受け継がれるトヨタの哲学とは?
本書の構成
第1章 極限まで無駄を減らす「時短会議術」
第2章 確実に相手を仕留める「コミュニケーション術」
第3章 トヨタ魂の根幹「本質思考」
第4章 スピリットをつなぐ「トヨタの教育」
第5章 良好な人間関係を築く方法
第6章 人間力を嵩上げする「配慮」のつくり方
著者プロフィール
著者の山本大平(やまもと・だいへい)さんは、戦略コンサルタント/事業プロデューサー。
2004年に京都大学大学院エネルギー科学研究科を修了後、新卒でトヨタ自動車に入社し、長らく新型車の開発業務に携わる。トヨタ全グループで開催される統計解析の大会での優勝経験を持つほか、常務役員表彰・副社長表彰を受賞する。
その後、TBSテレビへ転職。「半沢直樹」「レコード大賞」「SASUKE」など、主にTBSの看板番組にてプロモーション及びマーケティング戦略を数多く手掛ける。また、TBS在籍時には古巣であるトヨタの創業期を描いたスペシャルドラマ「LEADERS リーダーズ」のアシスタントプロデューサーとしてドラマ制作にも携わる。
さらにアクセンチュアでのマネージャー経験などを経て、2018年にマーケティング総合支援会社F6 Design株式会社を設立し代表取締役に就任。トヨタ式問題解決手法をさらにカイゼンし、統計学を駆使した独自のマーケティングメソッドを開発。企業/事業の新規プロデュース、ブランディング、AI活用といった領域でのコンサルティングを得意としている。
これまでにアコーディア・ゴルフ執行役員CMO、DMM.make AKIBA戦略顧問、BNGパートナーズ社外CMOなど、大手からベンチャーまで数多くの企業の要職を歴任/兼任中。趣味はアウトドア、野球。
トヨタの会議は30分 ~GAFAMやBATHにも負けない最速・骨太のビジネスコミュニケーション術 山本 大平 (著) 成長して少し規模が大きくなると、多くの会社では「大企業病」が発生します。社内の忖度と事なかれ主義がすべてを覆い、内向きの仕事に時間を取られているうちに、欧米企業と中国企業にすべてを取られる──そんな光景を、私たち日本人はここ数十年でどれだけ見てきたでしょうか? ところが、どんなに企業規模が大きくなっても、そうした大企業病に侵されていないように見える日本企業があります。そう、トヨタ自動車です。トヨタでは、結論が秒で出てきます。おためごかしを嫌い、浮ついた若い奴は現場のオヤジさんたちに三河弁でガッツリどやされます。本質志向の骨太なコミュニケーションがいまでもしっかり存在しているのです。 |
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