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『ニッポンのおじさん』各界のおじさんと彼らを取り巻く社会の動き、それを語る女たちも丸裸にした男女論

鈴木涼美さん著『ニッポンのおじさん』

鈴木涼美さん著『ニッポンのおじさん』

鈴木涼美さんによる“おじさん”著名人への批評集『ニッポンのおじさん』が、KADOKAWAより刊行されました。

 

誰もが知るおじさん著名人たちへのファジーな嫌悪感の正体に迫る!

本書は、ビートたけしさん・岡村隆史さん・麻生太郎さん・星野源さん・小沢健二さん・木村拓哉さん・村上春樹さん・石原慎太郎さん・堀江貴文さん・菅義偉さんなど各界を動かすおじさんたちと、彼らを取り巻く社会の動き、そしてそれを語る女たちまでも丸裸にしていく、新しいニッポンの男女論です。
※ウェブメディア「cakes」の同名連載他に大幅な加筆修正をし、書き下ろしを加えて書籍化されたものです。

 
古典からポップまで、多くの文学作品・人文書・漫画・映画・音楽などを文献として紐解きながら、鋭い切り口で分析していくその様は、連載当時より「言語化がすごい」「今回も名言だらけ」「今まで読んだ●●評の中で一番しっくりきた」と話題でした。

そうした著者の魅力の一つである高い視座の土壌ともなった、ギャル、社会学者、AV女優、新聞記者、それぞれの世界を体現した言葉で語られる註釈――プレイリストも本書の見所です。

 
また、「好きだけど寝たくはないとか、嫌いだけど使えるとか、軽蔑してるけどそそる声だとか、尊敬してるけど一緒にいたくないとか、そういう複雑系の中でおじさんたちを見ていると、単純な善悪も優劣も多面的で、一度悪者や善人に認定した者も、結構簡単に揺らぐ。そしてその、正しさが常に揺らいでいる、ということが、圧倒的に正しい。」(本文あとがきより)という著者の言葉どおり、本書は単なる“おじさん”批評ではない、矛盾と曖昧さを孕んだ人間というもののグラデーションと真摯に向き合った一冊となっています。

 
本書に対して、古舘伊知郎さんも「男のあられもなさをハープの音色のような文体で奏でられると、涙が出てくるじゃないか」と推薦の言葉を寄せています。

 

著者・鈴木涼美さん「刊行にあたって」

鼻につくおじさんや嫌われ者のおじさんや人気者のおじさんを、なんで鼻につくのか、なんで嫌われているのか、なんで好かれているのかと想像しながら書いていく作業は、私にとって、輝かしいものを疑い、嫌いなものを好きになっていく過程になることが多く、とてもエキサイティングな体験でした。

 

本書の目次

まえがき 権力とオカネを持ったいじめられっ子たち

愚かなおじさんは愚かじゃない女がお好き?――ビートたけし
言い難き嘆きも手――岡村隆史・藤田孝典
分け入っても分け入っても、あるよ山――乙武洋匡・ダースレイダー
僕らがミスをチル理由――Mr.Children
嫌われ男の一生――麻生太郎
多目的トイレの神様――渡部建
星野源になりたいボーイと小沢健二の全てに意味を持たせたガール――星野源・小沢健二
世界はそれをクロと呼ぶんだぜ――箕輪厚介・鬼滅の刃・愛の不時着
この街に降り積もってく真っ黒な悪の華――松浦勝人・惡の華
ブスの瞳に恋するな――燃え殻
ひょっとして死ンデレラ――角幡唯介・安田純平
ここが巣窟、迎えに来て――村西とおる
いやん、We can’t――福田淳一
キムタクはどう生きるか │ 木村拓哉・伊集院静
オナニー・コンフィデンシャル――吉村洋文
死の棘の刺さらずオトコ――船越英一郎・死の棘
ハルキはソレを愛しすぎてる――村上春樹
フェミ愛すべきオスがいて――石原慎太郎・椿三十郎
たのしく たのしく かわいくて――小室哲哉・つんく♂
なんとなく、クルッテル――田中康夫
木曜日のタロウ――山本太郎・キングダム
可愛くってずるくって意気地なしな去り際にカンパイ――安倍晋三
モテに火をつけ、白痴になれ――堀江貴文
謝んジャパン――菅義偉・Zeebra

あとがき カントリー・フォー・オールドメン~「ニッポンのおじさん」からこぼれ落ちた者についての覚書

 

著者プロフィール

著者の鈴木涼美(すずき・すずみ)さんは、1983年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業、東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。大学在学中にキャバクラのホステス、AV女優などの経験を経た後、大学院の修士論文が『「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか』(青土社)として書籍化。その後、日本経済新聞記者などを経て文筆家に。

著書に『身体を売ったらサヨウナラ』(幻冬舎)、『おじさんメモリアル』(扶桑社)、『オンナの値段』(講談社)、『非・絶滅男女図鑑』(集英社)。

 

ニッポンのおじさん
鈴木 涼美 (著)

キャバ嬢、AV女優など実体験を通して夜の世界を体現しつつ、社会学の視点と女の感性を織り交ぜた軽妙な筆致で人気を博している文筆家・鈴木涼美によって、日本社会が生み出した難解なおじさんたちが今、解剖される

 


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