川野芽生さん第二歌集『星の嵌め殺し』が刊行
第29回歌壇賞、第65回現代歌人協会賞を受賞、第170回芥川賞ノミネートなど、様々なジャンルで活躍中の作家による研ぎ澄まされた短歌の数々を収録した、川野芽生さんの第二歌集『星の嵌め殺し』が河出書房新社より刊行されました。
いま最も注目される歌人・作家、川野芽生の第二歌集『星の嵌め殺し』
第65回現代歌人協会賞を受賞した第一歌集『Lilith』から4年、待望の第二歌集が刊行されました。
本作は「嵌め殺し」の力を退けるかのような、何者にも媚びない優美さと気高さが詰まった珠玉の歌集です。洗練された強靭な言葉の城を、ぜひお手に取ってご覧ください。
<収録作品より>
祝祭は尽きぬ泉にあらねども花冠を食む子馬たち──「燃ゆるものは」
嵌め殺しの瞳を一生嵌めたまますれ違ふひともけものも星も──「八月の嵌め殺し」
かつてわが手より落としし硝子器のすべてが月の裏にかがやく──「硝子器のすべて」
少女期を生き延びてまたここで逢ふ アリスはルイス・キャロルを捨てて──「地上のアリス」
本書「あとがき」より
──わたしは自分のなかで他者と対話を重ねながら短歌を作ってきました。けれどわたしの対話の相手は、「短歌」という他者、「言葉」という他者であって、生身の他者ではなかったように思います。生身、なんてものがほんとうにあるのだとして。それでも、言葉の中にはつねに他者があって、言葉を発した以上は、それは他者へと届くのでしょう。
ふしぎです。これを、あなたが読んでくれているということは。
本書の目次
第一部 鏡と神々、銀狼と春雷
燃ゆるものは
合はせ鏡を
八月の嵌め殺し
亡き王のため
水晶と鬼
硝子器のすべて
a long way from here
高きところに
第二部 航行と葬送
訳詩集
銀幕にスノードーム─タル・ベーラ『ニーチェの馬』に寄せて
冬の氷菓
高丘親王との航海記
暮れ方のコルカタ
てのひらにゴレム
花季はまた
建築のための挽歌
立つのみの旅
恐竜の不在
奇病庭園─老女の頭部の歌
第三部 繻子と修羅、薔薇と綺羅
地上のアリス
テディ・ベアを抱きしめて
party talk
おとうとの語彙
ラストノート
角
痛点とシュトレン
ルピナスの焔
火事のやうに
著者プロフィール
川野芽生(かわの・めぐみ)さんは、歌人、小説家、文学研究者。1991年生まれ、神奈川県出身。東京大学大学院総合文化研究科単位取得満期退学。
2017年「海神虜囚抄」(〈間際眠子〉名義)で第3回創元ファンタジイ新人賞の最終候補に選出される。2018年に連作「Lilith」30首で第29回歌壇賞を受賞。2020年に上梓した第一歌集『Lilith』(書肆侃侃房)で翌年に第65回現代歌人協会賞を受賞。2022年には初の小説集『無垢なる花たちのためのユートピア』(東京創元社)と掌編集『月面文字翻刻一例』(書肆侃侃房)を上梓。2023年に長編小説『奇病庭園』(文藝春秋)、エッセイ集『かわいいピンクの竜になる』(左右社)、2024年に第170回芥川賞候補作を書籍化した『Blue』(集英社)、中川多理さんとの共著『人形歌集羽あるいは骨』『人形歌集II 骨ならびにボネ』(いずれもステュディオ・パラボリカ)、評論集『幻象録』(泥書房)を上梓。
星の嵌め殺し 川野 芽生 (著) 優美さに内包する痛み、気高く眩い光を放つ言葉の乱反射。いま最も注目される歌人・作家の第二歌集ついに刊行! 装丁:花山周子 |
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