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くどうれいんさん初の日記本『日記の練習』が刊行

幅広い創作で注目される作家、くどうれいんさんの初の日記本『日記の練習』がNHK出版より刊行されました。

 

「おもしろいから書くのではない、書いているからどんどんおもしろいことが増える」

小説、エッセイ、短歌、絵本と幅広い創作で注目される作家、くどうれいんさん。その創作の原点は「日記」にありました。そんな くどうさんの日記の初の書籍化が本書『日記の練習』です。

 
日々の短文日記=「日記の練習」と、それをもとにしたエッセイ「日記の本番」をとおして浮かび上がる、作家くどうれいん一年間の生活と思考と情動とは。書かなかった日も、あまりに長くなってしまう日も、それこそが日常のなかの日記なのです。

くどうさんの「著者遠影」(撮影:ヤスダ彩)

くどうさんの「著者遠影」(撮影:ヤスダ彩)

 
【本書より~「日記の練習」をはじめます~(抜粋)】

書くと生活はおもしろくなるということをひとりでも多くの人にわかってほしい。そういう話をたまたま担当さんとしていて、それでこんな連載をはじめることになった。わたしと同じように日記と向き合えば、日記に挫折することはきっともうない。(その代わり、残念ながらたぶん継続力もたいして身につかない。)

日記に対する新しい指南書になれば、と担当さんに言われたけれど、正直そうするつもりはあまりない。わたしのこれは日記。あなたのそれも日記。日記と言い張ることができればどんなものでも日記なのだから、だれかに教わる必要はない。けれどもしかすると「これが自分の日記だ」と言い張ることがいちばんむずかしいのかもしれない。だから、「日記の練習」をはじめることにした。

わたしの日記を公開することで、なんだこれでいいのか、こんなんでいいならわたしだって書ける、わたしのこれだって立派な日記だ!と思ってもらって、そうしていろんな人の日記が読めるようになったらいいなと思う。

日記の断片がたまに姿を変えて作品の一部になることもある。わたしは仕事としてしゃんとしたエッセイを書くときに、日記をがしゃんがしゃんとくっつけて書くような作りかたをすることがあるので、せっかくなので月に一度はひと月の日記を振り返ったすこし長めの「日記の本番」も書いてみようと思う。

あなたの日記はもうはじまっている。「これが自分の日記だ」と胸を張って言うことができるように。わたしといっしょに、「日記の練習」をはじめましょう。

 

くどうれいんさん コメント

『日記の練習』はわたしにとってはじめての日記本です。エッセイや短歌以上に普段着な気がしてすこし恥ずかしいですが、見せたいことだけをこの日記には書きました。1年まとめて読んでみると、日記の温度でなければ書けないこともあるような気がしました。日記は書けない日も日記だし、何度だってあとから書き直してよいものだと思っています。「むらのある日記がいい日記」という思いは変わりません。読んでくださった方がどんなことでもいいので「書こうかな」と思ってくれたらうれしいです。

 

『日記の練習』の「目次」

「日記の練習」をはじめます

日記の練習 4月、日記の本番 4月

日記の練習 5月、日記の本番 5月

日記の練習 6月、日記の本番 6月

日記の練習 7月、日記の本番 7月

日記の練習 8月、日記の本番 8月

日記の練習 9月、日記の本番 9月

日記の練習 10月、日記の本番 10月

日記の練習 11月、日記の本番 11月

日記の練習 12月、日記の本番 12月

日記の練習 1月、日記の本番 1月

日記の練習 2月、日記の本番 2月

日記の練習 3月、日記の本番 3月

日記のあとがき

 

著者プロフィール

撮影:ヤスダ彩

撮影:ヤスダ彩

くどうれいんさんは、1994年生まれ、岩手県盛岡市出身・在住。2021年、第165回芥川賞に初の中編小説「氷柱(つらら)の声」(『群像』4月号掲載)でノミネート。俳句短歌は工藤玲音名義で活動。

著書にエッセイ集『わたしを空腹にしないほうがいい』『うたうおばけ』『虎のたましい人魚の涙』『桃を煮るひと』『コーヒーにミルクを入れるような愛』、歌集『水中で口笛』、小説『氷柱の声』、創作童話『プンスカジャム』、絵本『あんまりすてきだったから』などがある。

★公式サイト:https://rainkudo.com/

 

日記の練習
くどうれいん (著)

 


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