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新宿・歌舞伎町のホストで寿司屋、そして歌人――SHUNさんデビュー作『歌集 月は綺麗で死んでもいいわ』が刊行

俵万智さん・野口あや子さん・小佐野彈さんが選歌・構成した『ホスト万葉集』(作:手塚マキさんと歌舞伎町ホスト75人 from Smappa!Group)のトップ歌人にして、異色の経歴をもつ大型新人、SHUNさんの珠玉の153首をおさめた初歌集『歌集 月は綺麗で死んでもいいわ』が新潮社より刊行されました。

 

新宿は僕の体を欲しがって気付けば人に跨っている――ヤクザにならないためにホストになった、足立区生まれの少年は今、昼と夜の欲望が交差する新宿・歌舞伎町で、寿司を握りながら歌を詠む

新宿・歌舞伎町の寿司屋「へいらっしゃい」大将でホスト、そして歌人。そんなSHUNさんの初の単独歌集『月は綺麗で死んでもいいわ』は、若い世代を中心とした短歌ブームの今、多くの歌集が書店に並ぶ中で、異色の存在といえるかもしれません。

 
所属するSmappa!グループは、月に1回、選者に俵万智さん、小佐野彈さんらが加わる本格的な歌会を開催しています。そこから生まれた『ホスト万葉集』はベストセラーとなりました。そのトップ歌人であるSHUNさんは、選者からもその才能を激賞され、2022年度角川短歌賞最終候補にも残った実力派です。

 
「なぜホストという職業を選んだのか?」と問われて「ヤクザにならないため」と即答したSHUNさん。俵万智さんにも激賞された、唯一無二の歌い手が詠む異色の世界をお楽しみください。

 
冷えてゆくプールサイドで「丸ノ内サディスティック」を聴く昼休み

午前五時煙草を咥えベランダへ隣の家の朝食は鯖

きらきらの白エビ重ね少量の藻塩くらいで十分な愛

 
<俵万智さんからの推薦コメント>
「トゲだらけの人生を薔薇にする、それがSHUNの短歌」

 
【本書の内容】

ゆうだちに傘をたたんで空を見る何してんだろ、睫毛がうざい──ヤクザにならないためにホストになった。そして今、色と欲が交差する歌舞伎町で、寿司を握りながら歌を詠む。異色の大型歌人、デビュー歌集153首!

 

本書の目次

I 安いボート

II 神などいない新宿通り

III 金魚すくい

IV 明日はきっと聖人と寝る

V 藻塩くらいの愛

あとがき

 

著者プロフィール

(c)新潮社写真部

(c)新潮社写真部

SHUN(しゅん)さんは、ホスト。寿司屋「へいらっしゃい」大将。歌人。

1987年生まれ、東京都足立区出身。下町のホストクラブで修業を積み、18歳で歌舞伎町にやってきた。Sumappa!Group本店代表などを務め、現在は寿司屋「へいらっしゃい」大将。

2022年度角川短歌賞最終候補。俵万智さん、野口あや子さん、小佐野彈さんの元で短歌を学び続けている。月1回開催される「ホスト歌会」が生きがいである。

 

歌集 月は綺麗で死んでもいいわ
SHUN (著)

生と死と、色と欲の狭間で僕は今日も歌う。期待の大型歌人鮮烈デビュー!

ホスト万葉集 嘘の夢 嘘の関係 嘘の酒 こんな源氏名サヨナライツカ
手塚マキと歌舞伎町ホスト75人from Smappa! Group (著), 俵 万智 (編集), 野口 あや子 (編集), 小佐野 彈 (編集)

いまだからこそ、君に届けたい。おれたちの、五・七・五・七・七を!
「コロナ」という、歌舞伎町最大の危機との戦いのなか、ホスト達は生きている。そして、愛について考えている。――愛ってなんだ? 恋愛を、悩みを、希望、欲望、本音を叫ぶ。五・七・五・七・七の短歌で!
短歌を作ったのは、歌舞伎町に6店舗のホストクラブがあるスマッパ!グループの会長・手塚マキ氏とホスト75人。
編者(選歌・構成)は、280万部のベストセラー歌集『サラダ記念日』の著者・俵万智氏と、野口あや子氏、小佐野彈氏という短歌界の第一線で活躍する歌人。
2年前、小佐野彈氏の歌集『メタリック』の発売イベントで短歌を作って以来、ホストたちは、ほぼ月一回、歌会を開催し続けた。選者・指導役として、俵・野口・小佐野各氏が加わり本格化。NHKBS番組「平成万葉集」でも紹介された。ホスト歌会は20回以上。5月にはコロナ下で、Zoom歌会も。作った短歌900首から、俵・野口・小佐野各編者が300首を厳選!
五・七・五・七・七の短歌だから語れる本当の気持ち。得意客(姫と呼ぶ)との会話、おもてなし、仕事で割り切れない男女の感情。コロナ下での焦燥。
もともと短歌とは、愛を語り合う言葉の器だ。ホストと短歌。実は、これほど相性の良いものはなかった。まさにいまだからこそ届けたい、感動の短歌集。

(収録したおもな短歌作品)
嘘の夢 嘘の関係 嘘の酒 こんな源氏名サヨナライツカ
見つめ合い あ、これダメだね 照れ笑い カラダは離すもココロは密で
夜が更けて意外と広いゴジラ前 静けさ光る靖国通り
君からの返信ないが既読付く俺に連絡いま自粛かな
自粛中ライトも消えた看板の君の笑顔がなんか寂しい
錆びてなお耐えて耐えて耐え抜いて磨き続ける輝く日まで
「ごめんね」と泣かせて俺は何様だ誰の一位に俺はなるんだ
眠らない街といわれたネオン街 たまにはゆっくりおやすみなさい

 
【関連】
試し読み | 『歌集 月は綺麗で死んでもいいわ』SHUN | 新潮社

 


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