本のページ

SINCE 1991

歌人・川野芽生さん初の小説集『無垢なる花たちのためのユートピア』が刊行 書下ろし2編を含む、珠玉の幻想小説6編

歌人・川野芽生さん初の小説集『無垢なる花たちのためのユートピア』が刊行

歌人・川野芽生さん初の小説集『無垢なる花たちのためのユートピア』が刊行

「Lilith」30首で第29回歌壇賞を受賞し、第一歌集『Lilith』で第65回現代歌人協会賞を受賞するなど、今もっとも注目を集める歌人・川野芽生さんによる初の小説集『無垢なる花たちのためのユートピア』が東京創元社より刊行されました。

 

第一歌集『Lilith』で現代歌人協会賞を受賞した、注目の新鋭による初の作品集

書下ろし2編を含む6編の小説が収録された本書は、歌人でもある著者が紡ぐ言葉により創り出された物語の強さ、読者を引き込む世界構築の美しさが大きな魅力になっています。

 
楽園へ向かう船での親友の死に秘められた謎を描いた表題作のほか、ひとが人形に変化する奇病が蔓延した村、機械の身体を持つと男と植物に身を覆われた少女との出会いなど、今作には川野芽生さんだからこそ描ける幻想文学の世界が広がっています。

 
刊行にあたり、作家の皆川博子さんが帯に推薦文を寄せているほか、解説を担当した書評家の石井千湖さんも本作を絶賛しています。

◆鋭い知性を芯とした幻視の葩(はな)は豊潤な表現力によって可視の存在となる。
―――皆川博子さん(作家) ※帯掲載コメントより

◆生と性の苦しみを経て透明度を極めた水晶のような文章は、読む歓びに満ちている。その水晶で、川野芽生は、現実に圧しつぶされている人々のための楽園の扉を開く鍵を創ったのだ。
―――石井千湖さん(書評家) ※解説より抜粋

 
また、刊行前の原稿を読んだ書店員さんからも、絶賛の声が多数届いています。

◆小説が想像力のままに飛翔する、そんな作品を久しぶりに目の当たりにした気がする。この数篇の小説がはかなく、美しいだけのものではないと気付いたとき?あなたの喉元にはそっと彼女の短剣が突き立てられているに違いない。
――紀伊國屋書店 浦和パルコ店 竹田勇生さん

◆冬の日のピンと張った氷が割れてしまうような危うさと降ってきた雪の結晶が手のひらでそっと消えてしまうような儚さが物語のなかにつまっています。
――くまざわ書店 名古屋セントラル・パーク店 大洞良子さん

◆類いまれな美しさに溜め息を禁じ得ない、言葉が綾なす幻想文学短編集。
――丸善丸広百貨店 東松山店 本郷綾子さん

 
第一歌集『Lilith』の刊行時には、栞文に水原紫苑さん、石川美南さん、佐藤弓生さん、帯文には山尾悠子さんという錚々たる書き手から言葉を寄せられており、著者への期待の高さが窺われます。

 

著者から読者に向けて一言(『紙魚の手帖』Vol.05内インタビューより)

作者の言葉なんかより、作品そのものの言葉の方がずっと遠くまで届くと思っているので、あらためて何を言ったらいいかわからなくなってしまうのですが……。

あなたにとってこれらの作品がかけがえのないものになるとしたら、その出会いは作品にとってもかけがえのない、世界でただひとつのもので、世界でたったひとりのあなたに出会えることを作品は待ち望んでいます。と、作品が言っています。あ、手を振ってますね。見えますか?

 

『無垢なる花たちのためのユートピア』概要

 
【あらすじ】

地上からはるか遠く離れたところにあるという楽園を目指し、天空を旅する一隻の船。
そこでは花の名前をつけられた少年たちが、導師と呼ばれる大人たちのもとで寮生活を送っていた。最も大切なのは心の純潔さであると教えられた少年たちの暮らしは慎ましく清らかで、船の中はこの世界のどこよりも楽園に近い場所と思われた。

ある日、白菫という少年が舷から墜落する。皆が不慮の事故としてその死を悼んだが、親友の矢車菊は白菫が落ちる直前の様子を知り、彼がみずから身を投げたのではないかと疑問を持つ。

だが、希望に満ち溢れたこの美しい船に、いったいどんな不幸があるというのか――親友の死のほんとうの理由を探して、矢車菊は船内の暗い場所へと足を踏み入れる。幻想文学の新鋭による初の小説集。

装画:山田緑さん
装幀:柳川貴代さん

 

著者プロフィール

著者の川野芽生(かわの・めぐみ)さんは、1991年生まれ。神奈川県出身。東京大学大学院総合文化研究科在学中。2017年「海神虜囚抄」(〈間際眠子〉名義)で第3回創元ファンタジイ新人賞の最終候補に選出される。

2018年、Lilith」30首で第29回歌壇賞を受賞し、20年に第一歌集『Lilith』を上梓。同書は2021年に第65回現代歌人協会賞を受賞した。

 

無垢なる花たちのためのユートピア
川野 芽生 (著)

純粋無垢な少年たちとその指導者を乗せ、天空をゆく船。最も楽園に近いはずの船上で起きた悲劇と、明らかになる真実とは(「無垢なる花たちのためのユートピア」)。人間が人形へと変化してしまう病が流行った村で、ひとり人間のままの姿で救出された少女は、司祭のもとで手厚く看病される。しかし怪我が癒え、うつくしさを取り戻した少女は限りなく人形に近づいているようで……(「人形街」)。第一歌集『Lilith』で話題の幻想文学の新鋭による珠玉の初作品集。

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。