本のページ

SINCE 1991

荻原浩さん2年ぶりの長編は贖罪と再生をめぐる物語!『笑う森』が刊行

荻原浩さん著『笑う森』(装画:都築まゆ美さん)

荻原浩さん著『笑う森』(装画:都築まゆ美さん)

誰もが抱える消せない過ちに微笑みかける、荻原浩さんの2年ぶりの長編作『笑う森』が新潮社より刊行されました。

5歳のASD児が消えて、発見されるまでの1週間、彼の身に何があったのか……。「くまさんが助けてくれた」という言葉の真意とは? 空白の時間を紐解く、号泣と再生の一作です。

 

罪と後悔に塗れた人生は、まだやり直せるだろうか──。

発売前にいち早く読んだ書店員さんから、「待っていました! これぞ荻原作品の集大成」「荻原浩ファンであればあるほど楽しめる」と絶賛の声が寄せられている本作は、拭えない過去を浄化に導く、癒やしの書です。

 
物語は、自殺の名所と噂の「神森」で失踪したASD児・真人が、1週間後に救助される場面から始まります。特に衰弱した様子もなく、食べ物は摂っていたはずだと診断される真人。その上、なぜか苦手だったはずのバナナが食べられるようになっており、教えた覚えのない言葉や歌をしきりに発していて……。

「くまさんが助けてくれた」と語る彼に、あの森で一体何があったのか?
世間からバッシングを浴びるシングルマザーの母に代わり、真人の叔父が1週間の空白を解明するため奔走します。

 
真人と同じタイミングで神森に迷い込んだのは、恋人をうっかり刺殺した女、同僚や生徒からいじめを受ける中学校教師、挫折続きのユーチューバー、娘のために組の金を奪って逃走するヤクザ。拭えない過去と罪を背負った4人は、森での不思議な邂逅を機に、生まれ変わります。

死体を埋めた手で寒さに震える子供にマフラーを巻き、食事を与え、それでも保身のために幼子を夜の森に置き去りにする……。懺悔に慈悲深い微笑みを向け、そっと再生に導く、荻原ワールド炸裂の一作です。

 
【あらすじ】

原生林で5歳のASD児が行方不明になった。1週間後無事に保護されるが「クマさんが助けてくれた」と語るのみで全容を把握できない。バッシングに遭う母のため義弟が懸命に調査し、4人の男女と一緒にいたことは判明するが空白の時間は完全に埋まらない。森での邂逅が導く未来とは。希望と再生に溢れた荻原ワールド真骨頂。

 

著者プロフィール

荻原浩さん (C)新潮社写真部

荻原浩さん (C)新潮社写真部

1956(昭和 31)年生まれ、埼玉県出身。成城大学経済学部卒業。広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。1997(平成 9)年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。

2005 年『明日の記憶』で山本周五郎賞、2014年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞受賞、2016 年『海の見える理髪店』で直木三十五賞を受賞。

著作に『ハードボイルド・エッグ』『神様からひと言』『僕たちの戦争』『さよならバースディ』『あの日にドライブ』『押入れのちよ』『四度目の氷河期』『愛しの座敷わらし』『ちょいな人々』『オイアウエ漂流記』『砂の王国』『月の上の観覧車』『誰にも書ける一冊の本』『幸せになる百通りの方法』『家族写真』『冷蔵庫を抱きしめて』『金魚姫』『ギブ・ミー・ア・チャンス』など多数。

 

笑う森
荻原 浩 (著)

5歳の男児が神森で行方不明になった。同じ一週間、4人の男女も森に迷い込んでいた。
拭えない罪を背負う彼らの真実と贖罪。

 
【関連】
試し読み | 荻原浩 『笑う森』 | 新潮社

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です