名作「ごんぎつね」の結末が、変えられた!? 本岡類さん『ごんぎつねの夢』が刊行
「ごんぎつね」のラストシーンが、2つあったことをご存じでしょうか。この知られざる史実を巧みに取り込んだ本岡類さんの文庫書下ろしミステリー『ごんぎつねの夢』が新潮文庫より刊行されました。文庫解説は伊与原新さんが担当。
有名童話にまつわる哀しい史実が現代とシンクロする書下ろしミステリー
「ごんぎつね」は教科書にも採用されている名作ですが、本書は、ほのぼのとした童話とは裏腹の衝撃的な事件から始まります。
――15年ぶりのクラス会にキツネ面の男が乱入し、散弾銃を発砲。SATにより射殺された犯人は、なんと恩師だと判明します。射殺される直前、クラス会幹事の有馬に犯人が託したメッセージは、「ごんぎつねの夢を広めてくれ」。
ノンフィクションライターの有馬が、不可解な言葉の意味を探っていくうちに、次第に恩師の謎めいた過去が見えてきます。同時に、名作「ごんぎつね」にまつわる哀しい史実や、かつての消えた同級生の秘密までが明らかになって……。
すべての謎が解けた時、犯人は「原稿」の中に隠れていた――。切なさと希望に満ちた読み味のいいミステリーです。
伊与原新さん「解説」より
物語は、恩師の長門が残していった様々な謎を、ノンフィクション・ライターの有馬が時間をさかのぼって追うという形で進む。
(中略)
大小の謎が解けていくテンポの良さは、さすがという他ない。数多くのミステリ小説を手掛けてきた著者、本岡類氏のキャリアを考えれば 当然のことであろうが、読者を飽きさせない構成とリーダビリティは実に素晴らしく、ページをめくる私の手が止まることは最後まで一度もなかった。
本書の目次
第一章 「ごんぎつね先生」の最期
第二章 文化祭の記憶
第三章 新美南吉の生まれ変わり
第四章 新美南吉と宮沢賢治
第五章 死者から届いたDVD
第六章 「ごん」を演やった女
第七章 人生のいちばん最後にすること
第八章 17分間の空中デート
第九章 ごんぎつねの見た夢
解説 伊与原 新
著者プロフィール
本岡類(もとおか・るい)さんは、1951(昭和26)年生まれ、千葉県出身。早稲田大学政治経済学部卒業後、出版社に入社。1981年「歪んだ駒跡」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビ ュー。
1993(平成 5 )年には『真冬の誘拐者』が直木賞候補となる。主な小説に『鎖された旅券』『羊ゲーム』『夏の魔法』『愛の挨拶』など。また、母親の介護をきっかけにヘルパー 2級の資格を取得、特別養護老人ホームに勤務した経験を書いたノンフィクション『介護現場は、なぜ辛いのか 特養老人ホームの終わらない日常』をはじめ、『大往生したいなら老人ホーム選びは他人にまかせるな!』などがある。小説の近著としては『聖乳歯の迷宮』がある。
ごんぎつねの夢 (新潮文庫) 本岡 類 (著) 15年ぶりのクラス会にきつね面の男が乱入し、散弾銃を発砲した。SATにより射殺された犯人は、なんと恩師だった。幹事の有馬に託されたメッセージは「ごんぎつねの夢を広めてくれ」。次第に見えてくる恩師の過去、名作「ごんぎつね」にまつわる哀しい史実、消えたかつての同級生の秘密……。探索の果て、周到な計画と謎の原稿に隠された真相が明らかになる! 切なさと希望に満たされたミステリー。 |
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