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昭和の刑事たちの生き様を見よ! 香納諒一さん『川崎警察 下流域』の続篇『川崎警察 真夏闇』が刊行

香納諒一さん著『川崎警察 真夏闇』

香納諒一さん著『川崎警察 真夏闇』

1970年代川崎の光と影を描き、「第26回大藪春彦賞」候補にもなった『川崎警察 下流域』の続編、香納諒一さん著『川崎警察 真夏闇』が徳間書店より刊行されました。累計20万部ヒット「KSPシリーズ」の著者渾身の書下し長篇警察小説です。

 

溢れる叙情とサスペンス!! 昭和の刑事たちの生き様を見よ!

本書は、第26回大藪春彦賞候補にノミネートされた「川崎警察」シリーズの続篇。神奈川県警川崎署のデカ長・車谷一人(くるまだに・ひとり)の活躍を描く、長篇警察ミステリーです。

 
【あらすじ】

沖縄返還前夜。下腹を裂かれた女性の死体が京浜運河で見つかった。
被害者は、川崎を二分して争う暴力団員の母親だった――

京浜運河沿いで死体があがった。身元は暴力団員、伊波肇の母親照子。
陰部をナイフで抉られ、腹部から腸がはみ出る陰惨な殺しだ。対抗する組の犯行か? だが、家族には手を出さないのがヤクザの掟だ。それが破られたとなると、報復の連鎖で大変なことになる……。

発見現場に臨場した川崎警察署捜査係デカ長の車谷一人は、軽のバンの荷台から不審な荷物を下ろして走り去ったふたり組の男がいたことを聞きつける。男の一人は足を大きく引きずっていたという。

被害者は故郷の沖縄に里帰りし、事件当日午後二時着の飛行機で羽田空港に帰ってきた。だがその後の足跡が不明だった。
翌年五月に沖縄は本土返還を控えており、帰郷はそれからの方が便利ではという大家に「返還されてからでは、遅い」と伝えたという。
捜査を進めるうちに、空港から照子を軽バンに乗せたのが、死体発見現場で目撃されたふたり組で、どうやら照子の知り合いらしきことがわかった。

有力容疑者として浮かびあがった男を、全力で探す車谷。
だが、予想外のところで別の殺人事件が起きた。被害者は沖縄の開発や本土との交流に尽力しているという大阪の会社社長。
本土復帰を目前にした沖縄を食い物にしようする者たちの暗躍が明らかになるにつれ、ふたつの事件が絡み合っていく……

 
<著者コメント>

抒情、サスペンス、あらゆる意味で、シリーズ第一作の「下流域」を凌駕する作品となりました。昭和の刑事たちの生きざまを、とくと御覧あれ!

 

著者プロフィール

香納諒一(かのう・りょういち)さんは、1963年生まれ、横浜市出身。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。1991年「ハミングで二番まで」で第13回小説推理新人賞を受賞。翌年『時よ夜の海に瞑れ』(祥伝社)で長篇デビュー。

1999年『幻の女』(角川書店)で第52回日本推理作家協会賞を受賞。 主にハードボイルド、ミステリー、警察小説のジャンルで旺盛な執筆活動をおこない、その実力を高く評価される。

 

川崎警察 真夏闇
香納諒一 (著)

京浜運河沿いで死体があがった。身元は暴力団員の母親。故郷の沖縄に里帰りし、当日、羽田空港に戻ってきたばかりだった。発見現場に臨場した川崎警察署捜査係デカ長の車谷は、軽バンから不審な荷物を下ろして走り去った二人組の男がいたことを聞きつけ、全力で有力容疑者を追う。だが、思わぬところで別の殺人事件が起きた。被害者は沖縄の土地開発や経済交流に尽力する会社社長。本土復帰を翌年に控えた沖 縄を「鍵」にして、ふたつの事件が、予期せぬ様相で絡み合っていく・・・

<既刊>

川崎警察 下流域
香納諒一 (著)

多摩川河口で発見された元漁師の不審死体をめぐり、所轄の刑事たちが事件の真相と闇に迫る!
書下し長篇警察小説。

1970年代の川崎。
京浜工業地帯として発展する裏で、ヘドロで漁ができなくなった漁師たちが、漁業権や船舶の買い上げと、補償金をエサに立ち退きを迫られ、漁民の間に分断と対立が生じていた。また新興工業地帯には朝鮮や沖縄からの流入者も多く住み、住民問題は複雑化していた。
そんな土地で、多摩川河口に溺死体があがった。遺体は元漁師の矢代太一と判明。彼は漁業権問題で漁民をまとめる交渉役だった。
だが遺体には複数の打撲痕が認められ、漁師の溺死という不自然さと併せて事件性をうかがわせた。そして遺品にはなぜかキーホルダーがふたつあり、自宅以外にも家があるようだった。
川崎警察署刑事課のデカ長、車谷一人は、ベテラン捜査員たちや新米刑事の沖修平らを叱咤しながら捜査に乗り出す。
矢代は漁師をやめて得た補償金で、夫婦で食堂を始めたが、妻の死によって店をたたみ、いまは次男と暮らしていた。居酒屋やクラブで酒を飲むだけが楽しみだったという。漁業権放棄問題では対立する漁師グループから恨みも買っていたことがわかった。
被害者の足取りを追ううちに、矢代は居酒屋で飲んでいるところに若い女性から電話がかかり、慌てたようにして店を出て行ったことがわかった。
事件が報道されると、矢代に離れの部屋を貸していたという夫婦から川崎署に電話が入った。しかも義理の娘とふたりで借りていたという。
矢代には息子が二人いたが、ともに独身で、義理の娘などはいなかった。
手がかりを得た車谷たちは、不審死事件の背後に横たわる予想外に深い泥沼に足を踏み入れることになるが……

 


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