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「第26回大藪春彦賞」候補作が決定 青本雪平さん、太田愛さん、香納諒一さん、寺地はるなさん、松下隆一さんの計5作品

作家・大藪春彦さんの業績を記念して創設、優れた物語世界の精神を継承する新進気鋭の作家及び作品に授与される「第26回大藪春彦賞」の候補作が発表されました。

 

「第26回大藪春彦賞」候補作が決定!

大藪春彦賞選考委員会は、2022年10月から2023年9月までの選考対象期間に刊行された作品の中から、次の作品を「第26回大藪春彦賞」候補として選出しました。

 
<第26回大藪春彦賞 候補作>

◎青本雪平(あおもと・ゆきひら)さん
『バールの正しい使い方』(徳間書店)

◎太田愛(おおた・あい)さん
『未明の砦』(KADOKAWA)

◎香納諒一(かのう・りょういち)さん
『川崎警察 下流域』(徳間書店)

◎寺地はるな(てらち・はるな)さん
『わたしたちに翼はいらない』(新潮社)

◎松下隆一(まつした・りゅういち)さん
『俠』(講談社)

 
なお、2024年1月26日に大沢在昌さん、黒川博行さん、東山彰良さんによる選考会が開催され、受賞作が決定します。受賞作には、2024年3月1日開催予定の贈賞式において、大藪春彦賞正賞(顕彰牌)と副賞(賞金300万円)が贈られます。

 

大藪春彦賞について

大藪春彦賞は、作家・大藪春彦さんの業績を記念し徳間書店が創設、「優れた物語世界の精神を継承する新進気鋭の作家及び作品」に贈られる文学賞です。

大藪春彦賞選考委員会が主催し、毎年10月1日から翌年9月末日までに発表された小説作品の中から選ばれます。

 

バールの正しい使い方
青本雪平 (著)

新しい才能に全国の書店員から絶賛の声続々!
大藪春彦新人賞受賞作家が贈る、青春スクールミステリー

●絶賛の声、続々
青本雪平は天才だ。
(今野敏)

ページをめくる手が止まらない。思わず「上手い……!!」と唸ってしまった。天才があらわれた!!
(柳正堂書店甲府昭和イトーヨーカドー店 山本机久美さん)

傑作必読!
登場人物へ寄りそう真摯な姿勢が激しく心を打つ。青本雪平、これから絶対に来る恐るべき書き手です。
(大盛堂書店 山本亮さん)

不穏で、切実で、鮮烈な言葉が焼きついて離れない。すごいものを発見した。要注目!青本雪平、必ずくる!
(ジュンク堂書店滋賀草津店 山中真理さん)

息苦しいほど哀しく美しい青春ミステリ。この世界観最高です!
(紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子さん)

青本雪平さんって何者!!と驚嘆。「ちょっと読んでみてよ!」と誰かに伝えたくなります。
(未来屋書店大日店 石坂華月さん)

最後まで読むと本をギューッと抱きしめたくなる優しさに包まれました。
(名古屋大学生協南部生協プラザ 渡邉典江さん)

私たちに大切なものを教えてくれる。ラストで全てが繋がった時、タイトルの意味に、うわーっ!となりました。
(あおい書店富士店 鈴木裕里さん)

ミステリとしても良質だし、青春小説としても申し分のない面白さ。読み終えた今はすごいタイトルだと感心する。
(六本松蔦屋書店 峯多美子さん)

ラストの終わり方はもう一度読んでみたい衝撃にかられます。
(くまざわ書店南千住店 鈴木康之さん)

●あらすじ
転校を繰り返す小学生の礼恩が、行く先々で出会うクラスメイトは?つきばかりだった。
なぜ彼らは嘘をつくのか。

友達に嫌われてもかまわないと少女がつく嘘。
海辺の町で一緒にタイムマシンを作った友達の嘘。
五人のクラスメイトが集まってついた嘘。
お母さんのことが大好きな少年がつかれた嘘。
主人公になりたくない女の子がついた嘘。

さらにはどの学校でもバールについての噂が出回っているのはなぜなのか。
やがて礼恩は、バールを手にとり――。

未明の砦
太田 愛 (著)

共謀罪、始動。標的とされた若者達は公安と大企業を相手に闘うことを選ぶ。

その日、共謀罪による初めての容疑者が逮捕されようとしていた。動いたのは警視庁組織犯罪対策部。標的は、大手自動車メーカー〈ユシマ〉の若い非正規工員・矢上達也、脇隼人、秋山宏典、泉原順平。四人は完璧な監視下にあり、身柄確保は確実と思われた。ところが突如発生した火災の混乱に乗じて四人は逃亡する。誰かが彼らに警察の動きを伝えたのだ。所轄の刑事・薮下は、この逮捕劇には裏があると読んで独自に捜査を開始。一方、散り散りに逃亡した四人は、ひとつの場所を目指していた。千葉県の笛ヶ浜にある〈夏の家〉だ。そこで過ごした夏期休暇こそが、すべての発端だった――。

自分の生きる社会はもちろん、自分の人生も自分で思うようにはできない。見知らぬ多くの人々の行為や思惑が作用し合って現実が動いていく。だからこそ、それぞれが最善を尽くすほかないのだ。共謀罪始動の真相を追う薮下。この国をもはや沈みゆく船と考え、超法規的な手段で一変させようと試みるキャリア官僚。心を病んだ小学生時代の友人を見舞っては、噛み合わない会話を続ける日夏康章。怒りと欲望、信頼と打算、野心と矜持。それぞれの思いが交錯する。逃亡のさなか、四人が決意した最後の実力行使の手段とは――。
最注目作家・太田愛が描く、瑞々しくも切実な希望と成長の社会派青春群像劇。

川崎警察 下流域
香納諒一 (著)

多摩川河口で発見された元漁師の不審死体をめぐり、所轄の刑事たちが事件の真相と闇に迫る!
書下し長篇警察小説。

1970年代の川崎。
京浜工業地帯として発展する裏で、ヘドロで漁ができなくなった漁師たちが、漁業権や船舶の買い上げと、補償金をエサに立ち退きを迫られ、漁民の間に分断と対立が生じていた。また新興工業地帯には朝鮮や沖縄からの流入者も多く住み、住民問題は複雑化していた。
そんな土地で、多摩川河口に溺死体があがった。遺体は元漁師の矢代太一と判明。彼は漁業権問題で漁民をまとめる交渉役だった。
だが遺体には複数の打撲痕が認められ、漁師の溺死という不自然さと併せて事件性をうかがわせた。そして遺品にはなぜかキーホルダーがふたつあり、自宅以外にも家があるようだった。
川崎警察署刑事課のデカ長、車谷一人は、ベテラン捜査員たちや新米刑事の沖修平らを叱咤しながら捜査に乗り出す。
矢代は漁師をやめて得た補償金で、夫婦で食堂を始めたが、妻の死によって店をたたみ、いまは次男と暮らしていた。居酒屋やクラブで酒を飲むだけが楽しみだったという。漁業権放棄問題では対立する漁師グループから恨みも買っていたことがわかった。
被害者の足取りを追ううちに、矢代は居酒屋で飲んでいるところに若い女性から電話がかかり、慌てたようにして店を出て行ったことがわかった。
事件が報道されると、矢代に離れの部屋を貸していたという夫婦から川崎署に電話が入った。しかも義理の娘とふたりで借りていたという。
矢代には息子が二人いたが、ともに独身で、義理の娘などはいなかった。
手がかりを得た車谷たちは、不審死事件の背後に横たわる予想外に深い泥沼に足を踏み入れることになるが……

わたしたちに翼はいらない
寺地 はるな (著)

他人を殺す。自分を殺す。どちらにしても、その一歩を踏み出すのは、意外とたやすい。
それでも「生きる」ために必要な、救済と再生をもたらす、最旬の注目度No.1作家・寺地はるなのサスペンス

同じ地方都市に生まれ育ち現在もそこに暮らしている三人。
4歳の娘を育てるシングルマザー――朱音。
朱音と同じ保育園に娘を預ける専業主婦――莉子。
マンション管理会社勤務の独身――園田。
いじめ、モラハラ夫、母親の支配。心の傷は、恨みとなり、やがて……。

【担当編集者より】
連載初回のお原稿を拝読した時、自分の中にひた隠しにしていた醜い感情を目の当たりにしているようで、あまりの衝撃にクラクラしました。
まさに人間のドス黒い部分を描く「黒テラチ」の真骨頂! 本作は他人事ではないリアルな私達の物語です。
著者自身、「これほど精神的肉体的に消耗する連載は初めてで、悩みまくりながら書いた、わたしにとって大事な作品」と語るほどに全力を注いだ作品。
想像を超えるほど進化し続ける寺地さんに大いに驚いてください。

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松下 隆一 (著)

江戸時代。博奕から足を洗った余命あとわずかの貧乏蕎麦屋と、店に集う社会のはみだし者達が紡ぐ、どん底ながらも圧倒的な人間賛歌!

 


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