「ルポ川崎」磯部涼さん〈悪意が増殖する時代〉を描き出す『令和元年のテロリズム』が刊行
『ルポ川崎』で知られる磯部涼さんの『令和元年のテロリズム』(写真:山谷佑介さん)が、安倍晋三元首相の殺傷現場を追加取材のうえ文庫化され、新潮文庫より刊行されました。
新時代の幕開けに立て続けに起こった事件から浮かび上がってくる現代日本の風景とは
『令和元年のテロリズム』は、令和という輝かしい新時代の幕開けから時をおかず発生した殺人事件の現場を取材し、引きこもりや8050問題、「就職氷河期世代」という忘れられた問題を抱える日本社会の闇に根底から向き合った最深レポートです。安倍晋三元首相の殺傷現場を追加取材して増補した完全版となっています。
単行本に引き続き、気鋭のフォトグラファーの山谷佑介さんが写真を提供。令和という時代と社会を考えるうえで欠かせないルポが完成しました。
【本書の内容】
20人を殺傷して何も言葉を残さず自殺した川崎無差別殺人犯。引きこもりとされる長男を殺害した元農水事務次官。戦後で最も多くの死者を出した京アニ放火殺人犯。自動車を暴走させて母子の命を奪い、「上級国民」という言葉を生んだ元高級技官――。
令和の幕開けに起こった新時代の多難を予感させる事件から浮かび上がってくる現代日本の風景とは。安倍元首相殺害事件を追加取材した完全版。
本書「まえがき」より
改元がもともと災害や疫病の流行にあたっても行われていたことから分かるように、社会をリセットする機能を持っているとしたら、それを市井のベクトルから暴力的に企てようとする許されない行為がテロリズムだ。もしくは政治的な意図はないが、その極端さ、陰惨さ故にテロル(恐怖)が社会に対して影響をもたらす犯罪を広義のテロリズムと解釈するならば、改元の年に起こった凶悪犯罪を検証することで見えてくるものがあるだろう。
本書の構成
まえがき
第1章 川崎殺傷事件
第2章 元農林水産省事務次官長男殺害事件
第3章 京都アニメーション放火殺傷事件
第4章 元農林水産省事務次官長男殺害事件裁判
第5章 令和元年のテロリズム
あとがき
追章 令和三年と四年のテロリズム
著者プロフィール
磯部涼(いそべ・りょう)さんは、1978(昭和53)年生れ。音楽ライター。
著書に『ヒーローはいつだって君をがっかりさせる』『音楽が終わって、人生が始まる』、『遊びつかれた朝に』(九龍ジョーさんとの共著)、『ラップは何を映しているのか』(大和田俊之さん、吉田雅史さんとの共著)、『ルポ川崎』、編著などに『踊ってはいけない国、日本』『踊ってはいけない国で、踊り続けるために』『新しい音楽とことば』、漫画原作に『リバーベッド』がある。
令和元年のテロリズム (新潮文庫) 磯部 涼 (著) ジョーカーはどこにいる? |
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