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逢崎遊さん〈第36回小説すばる新人賞〉受賞作『正しき地図の裏側より』が刊行

2023年9月に「第36回小説すばる新人賞」を受賞した、逢崎遊さんの『正しき地図の裏側より』(「遡上の魚」を改題)が集英社より刊行されました。

なお、第36回小説すばる新人賞を同時受賞した、神尾水無子さん著『我拶もん(がさつもん)』も発売中です。

 

雪降る夜にすべてを失くした青年は、それでも、人生を諦めなかった――。

 
「筋論」の正当さ云々を超えて人を動かす「情」というもののありがたみに、主人公と共に読者の私たちもまた気づかされる。
――宮部みゆきさん

これだけ緻密な物語をねじ伏せて書き上げる執念と熱量は何としても捨てがたい。たとえ好きでなくとも最後までぐいぐい読まされてしまう。
――村山由佳さん

 
【あらすじ】

定時制高校に通いながら無職の父に代わり働く耕一郎は、ある冬、苦労して貯めた八万円が無くなっていたことに気づく。
このことを父に問い質すと、父は金を使ったことを悪びれもせずに認めた上、予想を超える衝撃の言葉を言い放った。
衝動的に父を殴り飛ばした耕一郎は、雪の中に倒れた父を放置して故郷を逃げるように去る。
しかし、僅かな所持金は瞬く間に減り、逃亡生活は厳しくなる一方。

遂に金が底をつき、すべてを諦めようとしたそのとき、
「……なに、訳あり?」
公園の隅、小さなホームレスの溜まり場から、ひとつの手が差し伸べられる。

出会いと別れを繰り返し、残酷な現実を乗り越えた先、故郷へと帰る決意を固めた耕一郎を待ち受けていたものは──。

社会から切り離される圧倒的な絶望と、心と心が深く繋がるやさしさを描いた、25歳の若き著者による感動のデビュー作。

 

著者プロフィール

逢崎遊(あいざき・ゆう)さんは、1998年生まれ、沖縄県出身。神奈川県在住。桑沢デザイン研究所卒業。2023年、本作で第36回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。

 

小説すばる新人賞について

小説すばる新人賞は、”小説の世界に、常に新しい風を送り込む”文芸誌『小説すばる』が公募する新人文学賞です。集英社が主催。受賞作は『小説すばる』誌上に発表の上、集英社より単行本として刊行されます。

「第36回」の選考委員は、朝井リョウさん、五木寛之さん、北方謙三さん、宮部みゆきさん、村山由佳さんが務めました。。

 
なお、歴代の受賞者には、花村萬月さん、篠田節子さん、佐藤賢一さん、村山由佳さん、荻原浩さん、熊谷達也さん、堂場瞬一さん、朝井リョウさんらがいます。

 

正しき地図の裏側より
逢崎 遊 (著)

第36回小説すばる新人賞受賞作

 
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もう一人の耕一郎 第36回小説すばる新人賞 受賞作「正しき地図の裏側より」逢崎遊 | 集英社オンライン
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