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神尾水無子さん〈第36回小説すばる新人賞〉受賞作『我拶もん』が刊行

2023年9月に「第36回小説すばる新人賞」を受賞した、神尾水無子(受賞時の筆名:水無月神野=みなつき・この)さん『我拶もん(がさつもん)』が集英社より刊行されました。

なお、第36回小説すばる新人賞を同時受賞した、逢崎遊さん著『正しき地図の裏側より』も発売中です。

 

江戸で人気を誇る、売れっ子で女たらしの陸尺・桐生と、四角四面で融通が利かず、領主に忠実な近習・小弥太――身分も性分も相容れない、二人の因縁の出会いとその行方は――。

 
細部にまで監督の目が行き届いている 強豪運動部の如き盤石さ。
――朝井リョウさん

感情を「憎しみ」や「嫉妬」、「友情」という一語に嵌まらないものとして描く姿勢に引き込まれた。
――辻村深月さん

 
【あらすじ】

寛保二年。大名や旗本の駕籠を担ぐことを生業とする陸尺の桐生は売れっ子として江戸で人気を誇っていた。
ある日、芝居小屋の《市村座》で木戸番と陸尺の大乱闘が勃発。相方の龍太が巻き込まれたと知った桐生は仲間の翔次と共に駆けつける。だが龍太は捕えられ、騒ぎを収めようとしたはずの桐生も結託した仲間に裏切り者扱いされ仕事を干されてしまう。

暇を持て余していた八月のある日、大雨により江戸で大洪水が発生。桐生は辛うじて生き延びるも商売道具の右腕に大怪我を負い、かつて恋仲であった娘・おみねも目の前で濁流に呑まれてしまう。

何もかも失った桐生は《市村座》の騒動を機に知り合った玄蕃頭・有馬頼徸に救われ屋敷で世話になることになり、懇ろだった深川芸者の粧香とも再会。一方、頼徸の近習である坂西小弥太は、主君が桐生を気に入り、また幼い頃から恋心を抱いていた頼徸の姉・梅渓院までもが執心であることに苛立ちを覚えていた。そして、使い物にならず腐っていた桐生を痛罵し、桐生は有馬家を去るのだが……。

 

著者プロフィール

神尾水無子(かみお・みなこ)さんは、1969年生まれ、東京都出身。神奈川県在住。「我拶もん」で第36回小説すばる新人賞を受賞。

 

小説すばる新人賞について

小説すばる新人賞は、”小説の世界に、常に新しい風を送り込む”文芸誌『小説すばる』が公募する新人文学賞です。集英社が主催。受賞作は『小説すばる』誌上に発表の上、集英社より単行本として刊行されます。

「第36回」の選考委員は、朝井リョウさん、五木寛之さん、北方謙三さん、宮部みゆきさん、村山由佳さんが務めました。。

 
なお、歴代の受賞者には、花村萬月さん、篠田節子さん、佐藤賢一さん、村山由佳さん、荻原浩さん、熊谷達也さん、堂場瞬一さん、朝井リョウさんらがいます。

 

我拶もん
神尾 水無子 (著)

第36回小説すばる新人賞受賞作

 
【関連】
小説すばる新人賞 | 集英社
「小説と落語が交わるところ」神尾水無子×柳家喬太郎『我拶もん』 | 集英社オンライン

 


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