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帚木蓬生さんが紫式部に10年かけて挑んだ長編小説『香子』(全5巻)が刊行開始

PHP研究所は2023年12月14日から、帚木蓬生さんの歴史小説『香子(一)~(五) 紫式部物語』の刊行を開始します。なお、2巻は2024年1月、3巻は2024年2月、4巻は2024年3月、5巻は2024年4月に発売予定。

 

大河ドラマで話題の紫式部に10年かけて挑んだ意欲作

帚木蓬生さんは山本周五郎賞や柴田錬三郎賞、吉川英治文学賞他、多数の文学賞を受賞するなど、高い評価を得てきた小説家です。ペンネームの由来となり、執筆活動に影響を与えた『源氏物語』と紫式部の生涯を、このたび原稿用紙3800枚を費やして描き切りました。帚木文学の集大成となる渾身の作品を全5巻にまとめ、2024年4月まで5カ月連続で刊行します。

 
香子(かおるこ)という名前は一説によると、世界最古の長編小説『源氏物語』を著した紫式部の本名です。紫式部は、2024年大河ドラマ「光る君へ」の主人公として注目を集めています。帚木さんの丁寧な筆致で描かれる宮廷物語は、大河ドラマをより楽しむために最適な作品です。

 

『源氏物語』はペンネームの由来でもある特別な作品

帚木蓬生さんは、高校二年生時の国語のテストで、ちょうど読んでいた『源氏物語』が出題されて全校一位になったことがありました。それ以来、『源氏物語』は思い入れのある大切な作品になり、ペンネームも五十四帖の巻名である「帚木」「蓬生」から選んだほどです。

 
そのペンネームにヒントを得た編集者からの、「紫式部か『源氏物語』をテーマに小説を」という依頼に対して、帚木さんは「10年後なら」と返事をしたのは、特別な作品だからこそ納得のいく作品に昇華させるにはそれだけの時間が必要だと考えたから――。

この回答に編集者は、やんわり断られたのだと諦めかけていました。ところが本当に10年を経て、400字詰原稿用紙で3800枚にのぼる手書き原稿を受け取ることができたのです。

 
◆挫折した人も、もう一度『源氏物語』に挑戦してほしい

『香子』は、紫式部の生涯を本編として、そこに『源氏物語』が“作中作”として挿入されていくという2つの軸で展開される物語です。この構成には、紫式部の生涯だけでなく『源氏物語』のすべてを存分に味わってもらいたいとの、帚木蓬生さんの思いがこめられています。

『香子』刊行記念のインタビューでは、「紫式部自身に『源氏物語』を解説させてもいるので、これまで現代語訳を読もうとして挫折した人たちも、是非もう一度、この作品で挑戦してほしい」と述べています。 

 

著者プロフィール

帚木蓬生(ははきぎ・ほうせい)さんは、1947年生まれ、福岡県出身。精神科医。東京大学文学部仏文科卒業後、TBSに勤務。2年で退職し、九州大学医学部に学ぶ。

1993年『三たびの海峡』で吉川英治文学新人賞、1995年『閉鎖病棟』で山本周五郎賞、1997年『逃亡』で柴田錬三郎賞、2010年『水神』で新田次郎文学賞、2012年『蠅の帝国』『蛍の航跡』の「軍医たちの黙示録」二部作で日本医療小説大賞、2018年『守教』で吉川英治文学賞および中山義秀文学賞を受賞。

 

> 香子(一)紫式部物語
帚木 蓬生 (著)

5ヵ月連続発刊、第1弾!
千年読み継がれる物語は、かくして生まれた――
帚木文学の集大成にして最高到達点の長編小説〈全五巻〉

父や祖母の薫陶を受けて育った香子(紫式部)は、「いつの日か、『蜻蛉日記』を超えるものを書いてほしい」という早世した姉の想いを胸に、物語への素養を深めていく。夫との短い結婚生活、家族とともに向かった越前での暮らし……その中で、香子はまったく新しい物語を紡いでいく。

香子の人生とともに、1巻では『源氏物語』「桐壺」~「末摘花」の帖についても描き出した、著者渾身の長編小説。

 


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