日本美術史上究極の〝かわいい〟に迫る!『長沢蘆雪 「かわいい」を描く筆』が刊行
江戸時代中期の京都で活躍した長沢蘆雪(1754-1799)を紹介する、金子信久さん著『長沢蘆雪 「かわいい」を描く筆』が東京美術より刊行されました。
奇想の画家が描く、柔らかな形を徹底的に掘り下げる!
長らく蘆雪は「奇想」や「千変万化」といった形容とともに紹介されてきました。そうしたあり方を前提にしながら、しかし昨今は、「かわいい江戸絵画」のなかで、とりわけ愛らしい子犬を描くことでも広く人気を博すようになってきています。
本書はその「かわいい江戸絵画」人気の立役者である著者が、さらに踏み込み、振り切って蘆雪作品の根底にある作家の「かわいいもの好き」な側面を全面展開、子供や子犬、おじさんなどのモチーフを満載して、その魅力に迫る作品集です。原寸以上の拡大図も掲載、筆使いと表現の秘密について、作品の細部からも探っていきます。
【本書の特徴】
◎長沢蘆雪の「かわいいもの好き」な側面にフォーカスし、関連作品を徹底紹介
◎拡大図も積極的に掲載、細部や質感にも迫りながら、作品の見所を解説
◎新発見、あるいは長らく目にすることのなかった作品も複数掲載
長沢蘆雪(ながさわ・ろせつ)について
[宝暦4~寛政11 / 1754 ~1799]江戸時代中期の画家。丹波国篠山藩士の子に生まれ、京都で円山応挙の門人となり、20代後半には頭角をあらわしていたと思われる。
京都を中心に活躍し、天明6(1786)年から翌年にかけて、応挙の代理で赴いた紀南(和歌山県南部)では、串本・無量寺の《竜虎図襖》をはじめ、師・応挙にはない大胆な筆の運びと楽しさに溢れた作品を描いて、新境地を開いた。奇抜な構図と奔放な筆致から「奇想の画家」の一人とされているが、子供や子犬をはじめとする、「ゆるさ」や「かわいらしさ」、「柔らかさ」に満ちた作品群もまた、この画家の一つの到達点である。
著者プロフィール
金子信久(かねこ・のぶひさ)さんは、1962年生まれ、東京都出身。1985年、慶應義塾大学文学部哲学科美学美術史学専攻卒業。府中市美術館学芸員。専門は江戸時代絵画史。「かわいい江戸絵画」(2013年)や「リアル 最大の奇抜」(2018年)、「へそまがり日本美術」(2019年)、「ふつうの系譜」(2020年、2022年)、「与謝蕪村 「ぎこちない」を芸術にした画家」(2021年)、「江戸絵画お絵かき教室」(2023年)など、既存の美術史の枠に収まらない、ユニークな展覧会を次々と企画している。
著書に『日本美術全集14 若冲・応挙、みやこの奇想』(共著、小学館)、『ねこと国芳』(パイインターナショナル)、『もっと知りたい長沢蘆雪』(東京美術)、『かわいい江戸の絵画史』(監修、エクスナレッジ)、『江戸かわいい動物』『鳥獣戯画の国』『子犬の絵画史』(すべて講談社)ほか多数。
長沢蘆雪 「かわいい」を描く筆 金子信久 (著) 江戸時代中期の京都で活躍した長沢蘆雪(1754?99)の画集。これまでの「奇想」や「千変万化」という形容から離れ、「かわいいもの好き」な側面を全面展開、子供や子犬などのモチーフを満載し、その魅力に迫る。 |
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