本のページ

SINCE 1991

「第45回野間文芸新人賞」候補作が決定 朝比奈秋さん、安堂ホセさん、石田夏穂さん、九段理江さん、小池水音さん、長島有里枝さんの計6作品

講談社は純文学の新人作家に贈る「第45回野間文芸新人賞」の候補作6作品を発表しました。

最終結果の発表は11月6日の予定です。なお、当日は第76回野間文芸賞、第61回野間児童文芸賞および第5回野間出版文化賞も同時に発表されます。

 

「第45回野間文芸新人賞」候補作品

第45回野間文芸新人賞の候補作品は、次の6作品です。

 
<第45回野間文芸新人賞 候補作品>

◎朝比奈秋(あさひな・あき)さん
『あなたの燃える左手で』(河出書房新社)

◎安堂ホセ(あんどう・ほせ)さん
『迷彩色の男』(「文藝」2023年秋季号掲載/9月27日、河出書房新社より書籍化)

◎石田夏穂(いしだ・かほ)さん
『我が手の太陽』(講談社)

◎九段理江(くだん・りえ)さん
「しをかくうま」(「文學界」2023年6月号掲載)

◎小池水音(こいけ・みずね)さん
『息』(新潮社)

◎長島有里枝(ながしま・ゆりえ)さん
『去年の今日』(講談社)

 

野間文芸新人賞について

野間文芸新人賞は、講談社初代社長・野間清治さんの遺志により設立された財団法人野間文化財団が主催。純文学の新人に与えられる文学賞です。

受賞者には、正賞として賞牌、副賞として100万円が贈られます。

 

あなたの燃える左手で
朝比奈 秋 (著)

麻酔から覚めると、見知らぬ他人の手になっていた。
ハンガリーの病院で、手の移植手術を受けたアサト。しかし、麻酔から覚めると、繋がっていたのは見知らぬ白人の手で――。
自らの身体を、そして国を奪われることの意味を問う、傑作中篇!

凄い! 肉体の無意味な分断と不自然な結合が、現実の世界に重なる。
入念な構成の冒頭から最後まで、1㎜の緩みもない。凄い!
――皆川博子氏(作家)

切断され、奪われ、接ぎ合わされるのは、体なのか、国なのか、心なのか。
これは「境界」をめぐる、今まさに読まれるべき物語。
――岸本佐知子氏(翻訳家)

喪って初めて大事さが判る。身体、そして故郷。自分とは何かを問う小説だ。
――杉江松恋氏(書評家)

迷彩色の男
安堂 ホセ (著)

〈怒りは屈折する〉。都内のクルージングスポットで26歳の男が血まみれで発見される。事件の背後に浮かぶ男を描く最注目作家第二作。

我が手の太陽
石田 夏穂 (著)
第169回芥川賞候補作。
鉄鋼を溶かす高温の火を扱う溶接作業はどの工事現場でも花形的存在。その中でも腕利きの伊東は自他ともに認める熟達した溶接工だ。そんな伊東が突然、スランプに陥った。日に日に失われる職能と自負。野球などプロスポーツ選手が陥るのと同じ、失った自信は訓練や練習では取り戻すことはできない。現場仕事をこなしたい、そんな思いに駆られ、伊東は……。

“「人の上に立つ」ことにまるで関心がなかった。
自分の手を実際に動かさないのなら、それは仕事ではなかった。”
”お前が一番、火を舐めてるんだよ”
”お前は自分の仕事を馬鹿にされるのを嫌う。
お前自身が、誰より馬鹿にしているというのに”

腕利きの溶接工が陥った突然のスランプ。
いま文学界が最も注目する才能が放つ異色の職人小説。

文學界2023年6月号(創作 乗代雄介「それは誠」 九段理江「しをかくうま」)
文學界 (編集)

九段理江「しをかくうま」(270枚)
乗れ。声はどこからともなく聞こえた。乗れ。過去、現在、未来へ、馬と人類の歴史を語り直す壮大な叙事詩!


小池 水音 (著)

息をひとつ吸い、またひとつ吐く。生のほうへ向かって――。
喘息の一息一息の、生と死のあわいのような苦しさ。その時間をともに生きた幼い日の姉と弟。弟が若くして死を選んだあと、姉は、父と母は、どう生きたか。喪失を抱えた家族の再生を、息を繋ぐようにして描きだす、各紙文芸時評絶賛の胸を打つ長篇小説。新潮新人賞受賞作「わからないままで」を併録。注目の新鋭による初めての本。

去年の今日
長島 有里枝 (著)

誰かのために ここにいる。

かけがえのない存在がいなくなってからの日々。
互いに思いやりながらの関係と優しい距離。悲しみに寄り添うこと。
『背中の記憶』から14年ぶりの小説、連作小説集。

【収録作品】
翌日
フィービーちゃんと僕
灯台と羽虫
チャイとミルク
去年の今日

 
【関連】
野間文芸新人賞 : 講談社

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です