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新藤悦子さん×佐竹美保さん〈世界中の難民の子どもたちへの祈りをこめたファンタジー〉『ラナの竜の方舟』が刊行

『いのちの木のあるところ』(福音館)でタッグを組んだ、著:新藤悦子さん×絵:佐竹美保さんによるファンタジー作品『ラナの竜の方舟 沙漠の空に歌え』が理論社より刊行されました。

 

イランやトルコなど中近東に造詣の深い作家・新藤悦子さんが描く、世界中の、難民の子どもたちへの祈りをこめたファンタジー

『ラナと竜の方舟 沙漠の空に歌え 』は、40年近く前、イランの国民的画家が沙漠の町を描いた1枚の絵〈Empty Place〉に、新藤悦子さんが出会ったことから生まれました。

 
その町は、命の危機に直面した子どもたちが、竜に救われ流れつくシェルター〈竜の方舟〉になりました。ファンタジー作品でありながら、今まさに災害や戦争に翻弄されている人々を描いた作品です。

中東に伝わる美しい人面鳥フープーや、沙漠の風土に合わせた住まい、食文化も生き生きと描かれ、佐竹美保さんの緻密な挿画と共に見応えある本になっています。

 
【あらすじ】

〈竜の方舟〉は沙漠の中にポツンとあって、地図にも載っていません。竜でしか行くことも出ることもできない、蜃気楼の町です。

故郷から逃げ出そうとしていたラナが、途中で砂嵐に遭い、つぶっていた目をあけたら、その町と、眠りに落ちた竜の横に立っていました。同じように連れてこられた見知らぬ男の子ジャミルは、おばあちゃんの家に行く途中だったので早く出発したいと言いますが、ラナは自分がどうしてここにいるのかわかりません。

未来が見えないラナですが、ともかくジャミルの願いを叶えるため出来ることをする中で、自分の過去を思い返していきます……。方舟に守られる中で、自分の思いをたどり、次なる一歩を踏み出す少女を力強く描いた〈現代の方舟〉の物語です。

 

著者プロフィール

 
■新藤悦子(しんどう・えつこ)さん

1961年生まれ、愛知県豊橋市出身。津田塾大学国際関係学科卒業。在学中から中近東に感心を持ち80年代に遊学。『羊飼いの口笛が聴こえる ─遊牧民の世界』『チャドルの下から見たホメイニの国』などノンフィクション作品を発表。

2004年刊行の『青いチューリップ』で日本児童文学者協会新人賞を受賞。以後『手作り小路のなかまたち』『アリババの猫がきいている』『いのちの木のあるところ』など児童書作品も多い。

 
■佐竹美保(さたけ・みほ)さん

1957年生まれ、富山県高岡市出身。ファンタジーやSF、古典、リアリズム、伝記など幅広いジャンルで装画や挿画を手がける。

主な装画挿画作品に「魔女の宅急便」(3~6巻・特別編)、「ハウルの動く城」「ブンダバー」「シェーラ姫の冒険」「十年屋」「竜が呼んだ娘」などのシリーズ作品はじめ、『いのちの木のあるところ』『きつねの橋』、絵本『ちいさな木』『絵本で学ぶイスラームの暮らし』『ヨーレのクマー』『ゆきおんな』など多数ある。

 

ラナと竜の方舟: 沙漠の空に歌え
新藤悦子 (著), 佐竹美保 (イラスト)

気がついたら、沙漠の町の前に立っていたラナ。隣にいた男の子ジャミルは「竜に乗って空を飛んできた」と言いますが、ラナは、いつ、どうやって来たのか覚えがありません。
その町は、沙漠のオアシスだったのが、いまでは人には見えない〈蜃気楼の町〉になっていました。竜は、いのちの危険にさらされている子どもを救いだして連れてきていたのです。
故郷から逃げ出そうとしていた自分も、危ないところを助けられたのだろうか? そうだとしても、これからどうすればいいの? どこへ行けばいいの? どう生きていきたいのか、ラナは自問します。
イランやトルコなどの中近東に造詣の深い著者が、死の危険と隣り合わせの子ども達への思いをこめて綴った、方舟の町を舞台にした物語。

 


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