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【第170回芥川賞&直木賞】芥川賞に九段理江さん『東京都同情塔』、直木賞は河﨑秋子さん『ともぐい』と万城目学さん『八月の御所グラウンド』

第170回芥川龍之介賞および直木三十五賞の選考委員会が1月17日に東京都内で開催され、それぞれ受賞作が決定しました。

 

芥川賞は九段理江さんが2度目のノミネートで受賞!

第170回芥川賞は、下記候補作の中から九段理江さんの「東京都同情塔」(『新潮』12月号)が受賞作に決定しました。

 
九段理江(くだん・りえ)さんは、1990年生まれ、埼玉県出身。2021年「悪い音楽」で第126回文學界新人賞を受賞しデビュー。2022年1月に発表された「Schoolgirl」が第166回芥川龍之介賞、第35回三島由紀夫賞候補となり、2023年3月、同作で第73回芸術選奨新人賞を受賞。11月「しをかくうま」で第45回野間文芸新人賞を受賞。なお、受賞作「東京都同情塔」は第170回芥川賞の選考会開催日の1月17日に書籍化され、新潮社より刊行

九段理江さん (C)新潮社

九段理江さん (C)新潮社

 
選考委員は、小川洋子さん、奥泉光さん、川上弘美さん、島田雅彦さん、平野啓一郎さん、堀江敏幸さん、松浦寿輝さん、山田詠美さん、吉田修一さん。

 
【芥川賞 候補作】
◎安堂ホセさん「迷彩色の男」(『文藝』秋季号)
◎川野芽生さん「Blue」(『すばる』8月号)
◎九段理江さん「東京都同情塔」(『新潮』12月号)
◎小砂川チトさん「猿の戴冠式」(『群像』12月号)
◎三木三奈さん「アイスネルワイゼン」(『文學界』10月号)

 

直木賞は河﨑秋子さんと万城目学さんがW受賞!

第170回直木賞は、下記候補作の中から河﨑秋子さんの『ともぐい』(新潮社)万城目学さんの『八月の御所グラウンド』(文藝春秋)が受賞作に決定しました。

 
河﨑秋子(かわさき・あきこ)さんは、1979年生まれ、北海道別海町出身。2012年「東陬遺事」で北海道新聞文学賞(創作・評論部門)を受賞。2014年『颶風の王』で三浦綾子文学賞を受賞し翌年デビュー。同作は2015年度JRA賞馬事文化賞も受賞。2019年『肉弾』で第21回大藪春彦賞、2020年『土に贖う』で新田次郎文学賞を受賞。直木賞は『絞め殺しの樹』に続く二度目のノミネートで受賞。受賞作『ともぐい』は2023年に刊行され、各紙誌で新たな「熊文学」として話題に。他の著書に『鳩護』『介護者D』『鯨の岬』『清浄島』など。

万城目学(まきめ・まなぶ)さんは、1976年生まれ、大阪府出身。京都大学法学部卒業。2006年に『鴨川ホルモー』でデビュー。同作のほか、『鹿男あをによし』『偉大なる、しゅららぼん』『プリンセス・トヨトミ』が次々と映像化されるなど、大きな話題に。その他の著書に『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』『とっぴんぱらりの風太郎』『悟浄出立』『バベル九朔』『パーマネント神喜劇』『ヒトコブラクダ層戦争』など。直木賞はノミネート6回目での受賞となりました。

 
選考委員は、浅田次郎さん、角田光代さん、京極夏彦さん、桐野夏生さん、高村薫さん、林真理子さん、三浦しをんさん、宮部みゆきさん。

 
【直木賞 候補作】
◎加藤シゲアキさん『なれのはて』(講談社)
◎河﨑秋子さん『ともぐい』(新潮社)
◎嶋津輝さん『襷がけの二人』(文藝春秋)
◎万城目学さん『八月の御所グラウンド』(文藝春秋)
◎宮内悠介さん『ラウリ・クースクを探して』(朝日新聞出版)
◎村木嵐さん『まいまいつぶろ』(幻冬舎)

 

芥川賞と直木賞について

芥川賞と直木賞は、1935(昭和10)年に制定され、芥川賞は新聞・雑誌(同人雑誌を含む)に発表された純文学短編作品、直木賞は新聞・雑誌(同)・単行本として発表された短編および長編の大衆文芸作品の中から優れた作品に贈られます。

芥川賞は主に無名・新進作家が、直木賞は無名・新進・中堅作家が対象となります。受賞者には正賞として時計、副賞として賞金100万円が授与されます

 

東京都同情塔
九段 理江 (著)

第170回芥川賞受賞作!
日本人の欺瞞をユーモラスに描いた現代版「バベルの塔」

ザハの国立競技場が完成し、寛容論が浸透したもう一つの日本で、新しい刑務所「シンパシータワートーキョー」が建てられることに。犯罪者に寛容になれない建築家・牧名沙羅は、仕事と信条の乖離に苦悩しながらパワフルに未来を追求する。ゆるふわな言葉と、実のない正義の関係を豊かなフロウで暴く、生成AI時代の預言の書。

ともぐい
河﨑 秋子 (著)

己は人間のなりをした何ものか――人と獣の理屈なき命の応酬の果てには
明治後期の北海道の山で、猟師というより獣そのものの嗅覚で獲物と対峙する男、熊爪。図らずも我が領分を侵した穴持たずの熊、蠱惑的な盲目の少女、ロシアとの戦争に向かってきな臭さを漂わせる時代の変化……すべてが運命を狂わせてゆく。人間、そして獣たちの業と悲哀が心を揺さぶる、河﨑流動物文学の最高到達点!!

八月の御所グラウンド
万城目 学 (著)

死んだはずの名投手とのプレーボール
戦争に断ち切られた青春
京都が生んだ、やさしい奇跡

女子全国高校駅伝――都大路にピンチランナーとして挑む、絶望的に方向音痴な女子高校生。
謎の草野球大会――借金のカタに、早朝の御所G(グラウンド)でたまひで杯に参加する羽目になった大学生。

京都で起きる、幻のような出会いが生んだドラマとは–

今度のマキメは、じんわり優しく、少し切ない
青春の、愛しく、ほろ苦い味わいを綴る感動作2篇

 
【あらすじ】
大学4回生の朽木は8月のクソ暑い京都で貴重な青春をただ怠惰に過ごしている。そんなある日、友人に借りた3万円のカタに、早朝の御所グラウンドで草野球大会をするという謎のイベントに参加させられる羽目になってしまう。しかし、人数合わせの朽木を入れてもまだ、9人確保もままならないチームは、たまたまグラウンドにいた青年たちにも助っ人を頼むことに。試合を重ね、大会が熱を帯びる一方、朽木は次第に助っ人の「えーちゃん」のことが気になり始める。ある人物に瓜二つなのである。それどころか、まさにその人だという状況証拠が積み重なるが、彼はもうこの世にはいないはずで……。

(表題作の他「十二月の都大路上下(カケ)ル」を収録)

 
【関連】
芥川龍之介賞|公益財団法人日本文学振興会
直木三十五賞|公益財団法人日本文学振興会

 


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