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ロシア発!アンチ独裁コミック『サバキスタン』が8月より3か月連続刊行

ロシア発、Webコミックメディア「路草」で人気連載の翻訳コミック『サバキスタン』第1巻がトゥーヴァージンズより刊行されました。また、9月に第2巻、10月に第3巻も連続刊行予定です。

 

怒涛の8月・9月・10月の3か月連続刊行決定!自由の意義を問いかけるアンチ独裁コミック『サバキスタン』

「サバキスタン」とは直訳すると「犬の国」。その名の通り犬の造形のキャラクターたちが登場する全編フルカラーのコミックです。

作者はビタリー・テルレツキーさんとカティアさん。ともにロシア出身の漫画家で、現在は日本在住。 全3巻からなる本作は、架空の独裁国家である「サバキスタン」の約50年に及ぶ興亡の歴史を、シニカルなユーモアたっぷりのストーリーと、大胆で鮮烈なビジュアルを多用しながら描ききった魅力的なエンターテインメント作品です。

 
<あらすじ>

永らく国境を閉ざしていた謎の独裁国家「サバキスタン」はある日、国境を開放した。

偉大なるサバキスタンの栄華を世界に伝えるため、世界各国のジャーナリストたちが招かれた。その日、同国では全国民から敬愛を受ける国父、リーダーである「同志相棒」の葬儀のリハーサルイベントが行われようとしていた。サバキスタンの工場に勤める女性・ハーモニーもその名誉あるイベントへの参加を許されたひとり。彼女は喜びと誇らしい気持ちを胸に会場となるスタジアムへと向かった。

同志相棒に招かれた世界的ジャーナリストのアンリ・パスカルもまた、宮殿内で同志相棒から歓待を受けていた。すべてが豪華絢爛で見事に設えられた奇妙な空間の中、アンリ・パスカルはふと戯れに、庭にある一本の木の枝を折ってしまう。その木は若き同志相棒が植樹した神聖なものであり、それを傷つけることは大罪であった…。

 
架空の独裁国家における不自由や弾圧、陰謀、歴史の改ざん。そして人々の真実を求める心、抵抗、愛する国への願い――。迷える大国・ロシアから届いた、自由の意義を問いかけるアンチ独裁グラフィック・ノベル!【オールカラー】

★Webコミックメディア「路草」にて連載中:https://michikusacomics.jp/product/sobakistan

 

著者コメント

 
◆ビタリー・テルレツキーさん(作)

親愛なる日本の読者の皆様!

『サバキスタン』が日本語で出版されることをとても喜ばしく思います。私たちが2022年3月にロシアを出国した際に、1年弱で私たちの愛する作品が日本語に翻訳されるとは想像だにしませんでした。

『サバキスタン』は架空の話ですが、年月を経るごとにその話は現実味を帯びてきています。それはなんとも恐ろしいことですが、なんだか可笑しなことでもあります。

サバーカは世界で考えだされた最良のものです。日本のサバーカはその中でも最高の一つでもあります。

『サバキスタン』をお読みになって、ご自身の知るサバーカにこの作品を見せてあげてください。皆様のお気に召すかたちになることを願って。

※彼の言う「サバーカ」とは「気のおけない仲間」「憎めない奴」みたいなニュアンスだと思ってください(担当編集注)

 
◆カティアさん(画)

親愛なる読者の皆様

私たちはこの3年で『サバキスタン』を作り上げました。この3年間、私たちの生活も国の暮らしも、そして私たちの『サバキスタン』も大きく変わってしまいました。この作品に取り掛かるまさに最初の頃、3年後に『サバキスタン』にこのような大きな展開が訪れるとは考えてもいませんでしたし、日本の読者の皆様に向けてメッセージを発することになろうとも考えてもいませんでした。

私や私の国、あるいは『サバキスタン』がこの先どうなるかわかりません。しかし、今私は日本にいることを嬉しく思いますし、この国で多くのことを学ぶことができると思います。というのも、日本の漫画は私にとって常に多大なインスピレーションの源泉だったからです。

読者の皆様が私たちの本とこの物語の主人公たちを気に入ってくださることを願って。どうもありがとう。

 
◆鈴木佑也さん(訳)

『サバキスタン』は「サバーカ」という「犬」を表すロシア語と「?スタン」という「土地」を表すペルシア語からなる造語です。犬といえば、「忠実」というイメージが浮かぶのではないでしょうか。一方で「ろくでもないやつ」という雑言のイメージもあります。『サバキスタン』はそうした「忠実な」サバーカと「ろくでもない」サバーカたちの織りなす架空の物語と言えます。

ですが、この名称は中央アジアのいくつかの国家の名前をモデルとして、内容の基となっているのは20世紀のロシアの歴史であることは間違いありません。この国で社会主義体制時代人々はどのような生活を送り、体制崩壊後どのように暮らし、そして2000年代以降彼らがどのように自らの国の歴史を評価しているか。そのようなことを知ろうとする格好の物語であると思います。

私たちをも巻き込んでいる現在の世界情勢から一歩退いてというのは難しいことかもしれませんが、別の観点からこの物語を読んでくださることを願って。

 

著者プロフィール

 
■ビタリー・テルレツキーさん(作)

1989年生まれ、ソ連のレニングラード(現サンクトペテルブルク)出身。漫画家。2019年~2022年にかけて『サバキスタン』を制作。コミックレーベル「テルレツキー・コミックス」主宰。

 
■カティアさん(画)

シベリア出身。漫画家・イラストレーター・アニメーター。サンクトペテルブルクで建築を学びながら、イラストや漫画を描くようになる。本とコーヒーと語学を学ぶことが好き。

 
■鈴木佑也(すずき・ゆうや)さん(翻訳)

新潟国際情報大学准教授。専門はロシア・ソ連建築史/美術史、表象文化論。1930~60年代のソ連における大型建築プロジェクトや都市計画、対外建築交流、政治と建築の相関性について研究している。著書に『ソヴィエト宮殿 建設計画の誕生から頓挫まで』(水声社)

 

サバキスタン 1 (路草コミックス)
ビタリー・テルレツキー (著), カティア (イラスト), 鈴木佑也 (翻訳)

サバキスタン 2 仔犬たち (路草コミックス)
ビタリー・テルレツキー (著), カティア (イラスト), 鈴木佑也 (翻訳)

サバキスタン 3 裁判 (路草コミックス)
ビタリー・テルレツキー (著), カティア (イラスト), 鈴木佑也 (翻訳)

 
【関連】
サバキスタン – 路草

 


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