最相葉月さん『証し 日本のキリスト者』が「キリスト教書店大賞2024」大賞を受賞
“全国のキリスト教書店員がいちばん読んでほしい本”を選出する「キリスト教書店大賞2024」にて、昨年KADOKAWAより刊行された最相葉月さん著『証し 日本のキリスト者』が大賞を受賞しました。
「キリスト教書店大賞2024」受賞作『証し 日本のキリスト者』について
「キリスト教書店大賞2024」大賞受賞作『証し 日本のキリスト者』は、ノンフィクションライター・最相葉月さんが、構想10年・取材6年をかけた長編ノンフィクションです。
『絶対音感』では音楽家、科学者200人以上、『星新一』では膨大な遺品と関係者134人への聞き取りを行ない、多くの文学賞を受賞。『セラピスト』では「心の病」を追うなど、ひとつのテーマを何年も追求して作品を編む著者が、本作『証し』で選んだテーマは「信仰」です。
タイトルになっている「証し」とは、キリスト者が神からいただいた恵みを言葉や行動を通して人に伝えること。2016年に北九州から始まった取材で、著者は北海道から沖縄、五島、奄美、小笠原まで全国の教会を訪ね、135人のキリスト者の言葉に耳を傾けます。
なぜ洗礼を受けたかという個人史から、日本における教会という「社会」のあり方、差別、政治、戦争、そこで人を「赦す」ということまで、「信仰とは何か?」という根源的な問いに向き合った1000ページを超える大作です。
「人間はなぜ神と出会い、信じるようになったのか。有史以来続く、信仰の謎についても思いを馳せるきっかけとなれば幸いである。」
(「この本について――まえがきに代えて」より抜粋)
<最相葉月さん 受賞のことば>
キリスト教書店大賞2024は、昨年1年間に刊行されたキリスト教を題材とする本を対象とし、全国のキリスト教書店の書店員さんの投票によって選ばれる賞とうかがいました。
旧統一教会問題など、信仰と日本人の実際が問われる昨今、キリスト教の出版文化を担ってこられた書店員の皆様が、クリスチャンではない私の、クリスチャンにとっては必ずしも心地よい内容ばかりではないノンフィクションを本賞の候補とし、支持してくださったことは大変意味のあることと考えております。
取材に協力してくださったキリスト者の皆様はもちろんのこと、書店員の皆様に心から御礼申し上げます。
受賞を励みとし、これからも精進してまいります。ありがとうございました。
受賞者プロフィール
最相葉月(さいしょう・はづき)さんは、1963年生まれ。東京都出身、神戸育ち。関西学院大学法学部卒業。科学技術と人間の関係性、スポーツ、近年は精神医療、カウンセリングをテーマに取材。
1997年『絶対音感』で小学館ノンフィクション大賞、2007年『星新一 一〇〇一話をつくった人』で大佛次郎賞、講談社ノンフィクション賞、日本SF大賞、2008年に同書で日本推理作家協会賞、星雲賞を受賞。
ほかの著作に『青いバラ』『いのち 生命科学に言葉はあるか』『東京大学応援部物語』『ビヨンド・エジソン』『セラピスト』『ナグネ 中国朝鮮族の友と日本』『れるられる』『東工大講義 生涯を賭けるテーマをいかに選ぶか』、エッセイ集に『なんといふ空』『最相葉月のさいとび』『最相葉月 仕事の手帳』『辛口サイショーの人生案内』『辛口サイショーの人生案内DX』、児童書に『調べてみよう、書いてみよう』、共著に『未来への周遊券』『心のケア 阪神・淡路大震災から東北へ』『胎児のはなし』など。
証し 日本のキリスト者 最相 葉月 (著) なぜ、神を信じるのか。全国の教会を訪ね、135人に聞いた信仰のかたち。 「証し」とは、キリスト者が神からいただいた恵みを言葉や言動を通して人に伝えることである。 本書は、北海道から沖縄、五島、奄美、小笠原まで全国の教会を訪ね、そこで暮らすキリスト者135人に、神と共に生きる彼らの半生を聞き書きしたものだ。自然災害や戦争、事件、事故、差別、病のような不条理に直面してなお、彼らは神をどうして信じられるのか? なぜ、信仰は揺るぎないものであり続けるのか。 回心、洗礼、家族、献身、開拓、奉仕、社会、差別、政治、戦争、運命、赦し、真理、そして復活……。それぞれの章で語られる「証し」のなかで「信仰とは何か?」という有史以来の謎に向き合い、終章の「コロナ下の教会、そして戦争」で、日本におけるキリスト教の現在地をも筆者は照らし出す。 構想10年、取材6年。1000ページを超える圧倒的なボリュームで綴る渾身の長編ノンフィクション。 |
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