【第169回芥川賞&直木賞】芥川賞に市川沙央さん「ハンチバック」、直木賞は垣根涼介さん『極楽征夷大将軍』と永井紗耶子さん『木挽町のあだ討ち』
第169回芥川龍之介賞および直木三十五賞の選考委員会が7月19日に東京都内で開催され、それぞれ受賞作が決定しました。
芥川賞は市川沙央さんが初ノミネートで受賞!
第169回芥川賞は、下記候補作の中から市川沙央さんの『ハンチバック』(『文學界』2023年5月号)が受賞作に決定しました。
市川沙央 (いちかわ・さおう)さんは、1979年生まれ。早稲田大学人間科学部eスクール人間環境科学科卒業。筋疾患先天性ミオパチーによる症候性側弯症および人工呼吸器使用・電動車椅子当事者。2023年「ハンチバック」で第128回文學界新人賞を受賞しデビュー。同年『文學界』5月号掲載、単行本は6月22日に文藝春秋より刊行。
選考委員は、小川洋子さん、奥泉光さん、川上弘美さん、島田雅彦さん、平野啓一郎さん、堀江敏幸さん、松浦寿輝さん、山田詠美さん、吉田修一さん。
【芥川賞 候補作】
◎◎石田夏穂さん「我が手の太陽」(『群像』5月号)
◎市川沙央さん「ハンチバック」(『文學界』5月号)
◎児玉雨子さん「##NAME##(ネーム)」(『文藝』夏季号)
◎千葉雅也さん「エレクトリック」(『新潮』2月号)
◎乗代雄介さん「それは誠」(『文學界』6月号)
直木賞は垣根涼介さんと永井紗耶子さんがW受賞! 永井さんは山本周五郎賞も受賞
第169回直木賞は、下記候補作の中から、垣根涼介さんの『極楽征夷大将軍』(文藝春秋)と永井紗耶子さんの『木挽町のあだ討ち』(新潮社)が受賞作に決定しました。
垣根涼介(かきね・りょうすけ)さんは、1966年生まれ、長崎県諫早市出身。筑波大学卒業。2000年『午前三時のルースター』で第17回サントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞しデビュー。『ワイルド・ソウル』で第6回大藪春彦賞、第25回吉川英治文学新人賞、第57回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)、『君たちに明日はない』で第18回山本周五郎賞、『室町無頼』で第6回本屋が選ぶ時代小説大賞を受賞。
永井紗耶子(ながい・さやこ)さんは、1977年生まれ、神奈川県出身。慶應義塾大学文学部卒業。新聞記者を経て、フリーランスライターとなり、新聞、雑誌などで幅広く活躍。2010年『絡繰り心中』で小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。2020年に刊行した『商う狼 江戸商人 杉本茂十郎』で細谷正充賞、本屋が選ぶ時代小説大賞、新田次郎文学賞を受賞。2023年、今回の受賞作『木挽町のあだ討ち』で第36回山本周五郎賞も受賞。なお、山本周五郎賞とのW受賞は史上3人目。
選考委員は、浅田次郎さん、伊集院静さん、角田光代さん、京極夏彦さん、桐野夏生さん、高村薫さん、林真理子さん、三浦しをんさん、宮部みゆきさん。
【直木賞 候補作】
◎冲方丁さん『骨灰』(KADOKAWA)
◎垣根涼介さん『極楽征夷大将軍』(文藝春秋)
◎高野和明さん『踏切の幽霊』(文藝春秋)
◎月村了衛さん『香港警察東京分室』(小学館)
◎永井紗耶子さん『木挽町のあだ討ち』(新潮社)
芥川賞と直木賞について
芥川賞と直木賞は、1935(昭和10)年に制定され、芥川賞は新聞・雑誌(同人雑誌を含む)に発表された純文学短編作品、直木賞は新聞・雑誌(同)・単行本として発表された短編および長編の大衆文芸作品の中から優れた作品に贈られます。
芥川賞は主に無名・新進作家が、直木賞は無名・新進・中堅作家が対象となります。受賞者には正賞として時計、副賞として賞金100万円が授与されます
ハンチバック 市川 沙央 (著) 「本を読むたび背骨は曲がり肺を潰し喉に孔を穿ち歩いては頭をぶつけ、私の身体は生きるために壊れてきた。」 圧倒的迫力&ユーモアで選考会に衝撃を与えた、第128回文學界新人賞受賞作。 打たれ、刻まれ、いつまでも自分の中から消えない言葉たちでした。この小説が本になって存在する世界に行きたい、と強く望みました。 小説に込められた強大な熱量にねじ伏せられたかのようで、 文字に刻まれた肉体を通して、 主人公・井沢釈華は、先天性の遺伝性筋疾患のために背骨が湾曲しており、電動車椅子と人工呼吸器を使い、裕福な両親が遺したグループホームから、ほとんど外に出ない生活を送っている。十畳の自室で彼女は、某有名私大の通信課程を履修し、しがないコタツ記事を書いては収入の全額を寄付し、18禁TL小説をサイトに投稿し、零細アカウントで「生まれ変わったら高級娼婦になりたい」とつぶやく。 ところがある日、グループホームのヘルパー・田中にTwitterのアカウントを知られていることが発覚し――。 |
極楽征夷大将軍 垣根 涼介 (著) やる気なし 動乱前夜、北条家の独裁政権が続いて、鎌倉府の信用は地に堕ちていた。 混迷する時代に、尊氏のような意志を欠いた人間が、何度も失脚の窮地に立たされながらも権力の頂点へと登り詰められたのはなぜか? |
木挽町のあだ討ち 永井 紗耶子 (著) 疑う隙なんぞありはしない、あれは立派な仇討ちでしたよ。 |
【関連】
▼芥川龍之介賞|公益財団法人日本文学振興会
▼直木三十五賞|公益財団法人日本文学振興会
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