日本人と外国人がともに生きるニッポンの過去・現在・未来――。『在日韓国人になる』が刊行
〈国民〉になりきれない”半分アウトサイダー”の著者が移民国家ニッポンの歩みをたどり、希望を描き出す、林晟一さんのアカデミックノンフィクション『在日韓国人になる 移民国家ニッポン練習記』がCCCメディアハウスより刊行されました。
私たちは、だれかにとって頼りがいある存在だろうか
「あいつ、×××人よ」
ビルの外国人オーナーをなじる在日コリアン2世の母。
「日本語もわからないくせに働いてるんじゃねえーっ!」
外国人店員をディスる客を見てみぬふりする、在日コリアン3世の私。
外国人労働者を受け入れてきた日本は、「移民国家」にかじを切りつつあるといわれます。けれど、日本における「移民」の歴史は決して浅いものではありません。
古くは在日コリアン(在日韓国・朝鮮人)と華僑がいるし、今や4世、5世、そして6世の時代に入っています。また、バブル期以後は南米から「日系人」が迎えられ、今では2世、3世の定住化も進んでいます。古くからの移民とその子孫が、日本社会に広く根づいているのです。将来的にも、多くの「ニューカマー」が労働者や生活者として定住することになることでしょう。
では、在日コリアンは、どのようにして日本社会の一員となってきたのか。粘り強い活動をつうじて得たものは何か。まだ得られていないものは何か。「在日」は「ニューカマー」と何がちがい、彼らとどう接するべきなのか。そもそも、社会の統合とは何なのだろう。
在日コリアン3世の著者は、日本人とニューカマーの間に立つ「境界人」の「在日」には、ニッポンの過去・現在・未来を織りなす責任があるといいます。
本書は、「在日」のこれまでとこれから、多文化共生、社会の統合、そして日本人の再定義について考えをめぐらします。日本人や日本社会はもちろん、古くからの移民たちへ送るエールともなる一冊です。
本書の構成
プロローグ──真夜中のヘイトスピーチ
第1章 「駆除」の時代を生きぬくヒント
第2章 焼け跡の生命力
第3章 生きる条件
第4章 声なき「発言」と英雄
第5章 明るい未来へ
第6章 差別解消カスケード
第7章 未来の足音
第8章 パラレルワールド
第9章 「御守り」としての歴史
終章 ささやかな希望、死なない明日
エピローグ──敗北宣言はまだ早い
著者プロフィール
著者の林晟一(はやし・せいいち)さんは、1981年生まれ、東京・江戸川区出身。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程中退。都内の中高一貫校で歴史や国際政治学を教える。
社会・政治に関する評論を手がけ、「在日であることの意味」(『中央公論』2014年5月号)、「歴史教育なんていらない」(『別冊アステイオン それぞれの山崎正和』CCCメディアハウス)などを発表。共訳書に『キューバ危機』(中央公論新社)がある。
在日韓国人になる 移民国家ニッポン練習記 林 晟一 (著) |
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