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食肉解体の現場とそこで働く人々それぞれの物語『芝浦屠場千夜一夜』が刊行

芝浦屠場に魅せられ、みずから現場で働き続けた女性ライター・山脇史子さんのノンフィクション作品『芝浦屠場千夜一夜(しばうらとじょうせんやいちや)』が青月社より刊行されました。

 

芝浦屠場に魅せられ、みずから現場で働き続けた女性ライターが7年間、内部の人として見聞きした屠場のリアル

本書『芝浦屠場千夜一夜』は、芝浦屠場に魅せられ、みずから現場で働き続けた女性ライターの手記です。

 
《東京の都心部、品川駅港南口を出てすぐのところに日本最大規模の食肉市場『屠場』があり、毎日360頭の牛が解体処理されています。
芝浦の話を聞いたのは夏休みに乗ったピースボートの船上でした。
「いま一番妥協しないで戦っているのは芝浦屠場の労働組合だ。最近はどこの運動団体も物わかりがよくなっている。だが芝浦は違う」
妥協しないで戦うとはどういうことか。なぜ戦えるのか。だいたいどんな職場なのか。
チラと自分の耳が聞いた言葉が気になって、芝浦の解体現場に7年間通い続けることになりました》

 
《「ある場所に行かなければ見えないものがあります。
ここでは見えないものが、どこか違う場所では見えるかもしれない。見たい、見たい。世の中の動いている場所に行って、一番前で見たいのです。野次馬なのです。
それは「のぞき見である」「悪趣味だ」と非難されることなのでしょうか。
私は何かがわかりたかったのです。われわれとは何者なのか。私は何者なのか。この社会はどうやって存在しているのか……》

 
<本書の見どころ>

◆解体処理作業について
私たちが日常的に口にしてる食肉がどのような工程を経て生体から商品となるのか。本来グロテスクであろうその描写は、現場で実際に作業を行ってきた著者にしか書けないリアリティはそのままに不思議と美しく迫力のある魅力的な描写へ昇華されています。

◆芝浦屠場の労働環境の変遷
長年に渡り屠場で働いてきた人々の話から、芝浦屠場がたどってきた労働環境の歴史がストーリー性豊かにひもとかれています。

◆差別・偏見の問題
今も根強く残る屠場労働者への偏見・差別は、本書に登場するすべての人々(著者も例外ではない)が根底に抱えている問題です。現場に身を置き、多くの当事者と同じ時間を過ごした著者にしか書けない視点で、偏見・差別の歴史や現状について読者に語りかけます。

 

著者より

再開発が進み近代的な超高層ビルの並ぶこの街に、なぜ屠場が今もあり続けるのか。

20世紀末にこの屠場で働く人々に出会い、その働く姿に強くひかれました。実際に牛の解体や内臓処理現場の仕事を教えてもらい、自分も働きながら話を聞き続けました。

現場に流れる時間と空気、それぞれの人々のかかえる思いを読み手に伝えられたらと願っています。

 

著者プロフィール

山脇史子(やまわき・ふみこ)さんは、東京都出身。雑誌などでフリーランスとして記事を執筆。 1991~1998年まで東京芝浦の食肉市場・屠場の内臓処理現場に通い、働く人たちの話を聞くことをライフワークとした。

 

芝浦屠場千夜一夜
山脇史子 (著)

芝浦屠場に魅せられみずから現場で働き続けた女性ライター。
彼女が見た食肉解体現場の驚きの日常とそこで働く人々のそれぞれの物語。

 


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