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マサチューセッツ・ブック賞、アジア/パシフィック・アメリカ文学賞、全米図書館協会アレックス賞受賞、30を超える言語に翻訳『秘密にしていたこと』が刊行

セレステ・イングさん著『秘密にしていたこと』(訳:田栗美奈子さん)

セレステ・イングさん著『秘密にしていたこと』(訳:田栗美奈子さん)

多くの媒体で2014年のブックオブザイヤーに輝いたほか、マサチューセッツ・ブック賞、アジア/パシフィック・アメリカ文学賞、全米図書館協会のアレックス賞を受賞し、30を超える言語に翻訳されている、セレステ・イングさん著『秘密にしていたこと』(訳:田栗美奈子さん)がアストラハウスより刊行されました。

 

もっと話せばよかった…時代を超えて読みたい家族の物語

少女の死をきっかけに家族がそれぞれ抱えていた秘密が語られ、一家の深い闇が暴かれる。
――死の真相を追うというミステリーの枠組みを通して語られる、差別によって心を蝕まれた家族の崩壊と再生の物語です。

 
<あらすじ>

舞台は1977年、オハイオ州の架空の田舎町。16歳の少女が行方不明になり、数日後に湖で遺体で発見される。 物語はリー一家を中心に進んでいく。父親ジェームズ・リーは中国系アメリカ人の大学教授。ハーバード大学を 卒業したものの、教職に就いてからも周囲になじめずにいる。そんなコンプレックスから、ジェームズはリディアに<「友達と同じように」「周囲にとけこむように」という夢を託し、プレッシャーをかけ続ける。

妻のマリリンは南部出身のブロンドヘアーの白人。医師を志していたが、ジェームズと出会って恋に落ち、 妊娠・結婚。夢をあきらめることになる。マリリンもまた、あきらめきれなかった夢を、自分と同じ青い目を もつリディアに託し、知らず知らずのうちにリディアを追い詰めていた。

長女のリディアは母親によく似た容姿で両親に溺愛される。青い目であっても、黒髪であること、父親が アジア系であることから、周囲にはなじめずにいる。

一方、長男のネイスと次女のハンナは父親ゆずりのアジア人顔だ。ネイスは、父から疎まれ、母から 無視をされ、鬱屈した生活を送っていた。ただ大学入学を機に、ついに家を出ることが決まっていた。しかし、 このことで、お互いを支えとしていたネイスとリディアの関係が変化し、リディアに決定的な暗い影を落とす。

妹のハンナは、家族から相手にされず、常に部屋の隅、机の下に隠れている。だが、誰よりも客観的に家族を 観察し、事件の真相に迫っているキーパーソンでもある。

 
本書では、章ごとに1950年代の両親のなれそめ、1970年代の現代を行き来し、家族が徐々に崩壊していく様子が語られます。その語り手も、リー一家が章によって入れ替わり、それぞれの秘密を静かに暴露していきます。 終盤ではリディアの語りによって、死の真相が明らかになります。

 

著者プロフィール

 
■著者:セレステ・イングさん

1980年生まれ、ペンシルヴァニア州ピッツバーグ出身。10歳からオハイオ州シェイカー・ハイツにて、科学者の両親のもとで育つ。ハーバード大学を卒業し、ミシガン大学の創作科でMFA(Master of Fine Arts)を取得。在学中に書いた短編小説でホップウッド賞を受賞。

『ニューヨーク・タイムズ』『ガーディアン』をはじめ多くの雑誌や新聞に小説やエッセイを発表し、プッシュカート賞、グッゲンハイム・フェロー(奨励金)を受賞。

 
■訳者:田栗美奈子(たぐり・みなこ)さん

翻訳家。お茶の水女子大学英文科卒業。

訳書に、マイケル・オンダ-チェ『名もなき人たちのテーブル』『戦下の淡き光』、クリスティナ・ベイカ―・クライン『孤児列車』、ジョン・バクスター『ウディ・アレン バイオグラフィー』(以上、作品社)、スチュアート・デイヴィッド『ナルダが教えてくれたこと』(アーティストハウス)、アンソニー・ディステファーノ『天国に行く前に読むと楽しくなる不思議なフシギな天国ガイド』(主婦の友社)など。

 

秘密にしていたこと
セレステ・イング (著), 田栗美奈子 (翻訳)

もっと話せばよかった…時代を超えて読みたい家族の物語

 


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