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本屋大賞ノミネート!結城真一郎さん『#真相をお話しします』がYoutube動画の特徴を取り入れて20万部突破!

結城真一郎さん著『#真相をお話しします』

結城真一郎さん著『#真相をお話しします』

昨年6月に刊行され、今年1月には「2023年本屋大賞」にノミネートされた、結城真一郎さん著『#真相をお話しします』(新潮社)の累計発行部数が20万部を突破しました。

 

読書離れの若者にヒットの理由は”動画感覚”のミステリー

本離れが進むZ世代に、いかに小説を読んでもらうか。結城さんはその戦略のひとつとして、Youtube動画の特徴を本書に取り入れています。

 
例えばそれが顕著である収録作「#拡散希望」では、

◎「入口10秒で心をつかむため、冒頭を重視」
◎「時系列を入れ替えてテンポを上げる」
◎「違和感を積み上げて見事に着地させる伏線回収」
◎「読者を”視聴者”に位置づけ、作中に経過時間を表記する斬新な構成」

…など、文体や表現、そして創作方法まであらゆる工夫が凝らされています。

本書収録「#拡散希望」冒頭より

本書収録「#拡散希望」冒頭より

その工夫が作品世界への没入感を演出、小説を読み慣れていない若い読者にも広がり、ついに新人作家として異例の累計20万部突破に至りました。マッチングアプリやリモート飲み会など、若者に身近なテーマ選びも相まった「今までに読んだことのない新感覚」小説にZ世代をターゲットにしている各メディアから取材が殺到。いま、かつてないヒット現象を生み出しています。

 
著者の結城真一郎さんは2021年、今作にも収録されている「#拡散希望」で第74回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。二転三転するプロットや伏線回収の巧みさ、YouTuberを題材にした、テーマの現代性等が高く評価され、平成生まれ初の受賞者になりました。まさにいま最もホットなミステリー小説界の超新星です。

 
【あらすじ】

家庭教師の派遣サービス業に従事する大学生が、とある家族の異変に気がついて……(「惨者面談」)。
不妊に悩む夫婦がようやく授かった我が子。しかしそこへ「あなたの精子提供によって生まれた子供です」と名乗る別の〈娘〉が現れたことから予想外の真実が明らかになる(「パンドラ」)。
子供が4人しかいない島で、僕らはiPhoneを手に入れ「ゆーちゅーばー」になることにした。でも、ある事件を境に島のひとびとがやけによそよそしくなっていって……(「#拡散希望」)

…など、昨年「#拡散希望」が第74回日本推理作家協会賞を受賞、そして今年、第22回本格ミステリ大賞にノミネートされるなど、いま話題沸騰中の著者による、現代日本の〈いま〉とミステリの技巧が見事に融合した珠玉の5篇を収録。

 
<本書収録「日本推理作家協会賞」受賞短編を全文無料公開!>

『#真相をお話しします』より、「日本推理作家協会賞」受賞短編「#拡散希望」を全文収録した無料お試し特別版を各電子書籍書店にて配信中。新潮社HPでも全文を無料公開しています。

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★【新潮社HP】全文無料公開・試し読み:https://www.shinchosha.co.jp/book/352234/preview/

 

QuizKnock伊沢拓司さんも驚愕! 著名人からの推薦コメントも

◆虫眼鏡さん(東海オンエア/YouTubeクリエイター)
「絶対に読者を騙してやろう」という凄まじい執念に恐怖すら感じました……。

◆有栖川有栖さん(作家)
「騙されて驚くためにミステリを読む」という読者に恰好の贈り物。

◆南沢奈央さん(女優)
凄い間違い探しに手を出してしまった!始めた以上はやめられない。

◆QuizKnock伊沢拓司さん(雑誌『波』7月号より抜粋)
この短篇集はどの話も謎解きの世界やミステリの世界に入り込ませる段取りが丁寧になされているように感じました。文章の随所に「これは怪しいな」と思わせるヒントらしきものが出てくる。だから推理しながら読み進められるし「解けた」つもりになるのですが、各話の結末には「でも、ここは気がつかなかった」というポイントが必ずあって、悔しい気持ちにさせられる。さらには予想外のぞっとするようなラストが待っていて、思わず作品の世界に入り込んでしまうつくりにもなっていました。……(中略)……久々にミステリの作品を読みましたけど、本当に楽しかった。

 

なぜミステリで「現代」を描くのか、ミステリの可能性とは?

本作ではYouTuberやマッチングアプリ、精子提供、リモート飲み、など「現代的なテーマやガジェット」がふんだんに取り込まれています。現代的なテーマにミステリを織り交ぜたかつてない読み味は、まさに新世代ミステリの幕明けを予感させます。今だからこそ、そして、「当事者」のひとりである結城真一郎さんの世代だからこそ書けたといえる、批評性に富んだ作品です。

なぜ作品に「現代的要素」を取り入れてみようと思ったのか。結城さんは次のように語ります。

 
《新たな技術や価値観がもたらされる中で生じる「日常の歪み」や「新たな動機」に興味がありました。生活をより豊かにするための技術や道具が世に出てくれば、当然のようにそれを悪用する人もでてきます。新たな価値観が世に浸透すれば、当然のようにそこから「今までの常識では考えられない動機」も生まれます。

例えば、“迷惑系YouTuber”は「視聴回数を稼ぐため」に迷惑行為、下手したら犯罪行為に及びますが、これはほんの十年前では考えられなかった「動機」です。しかし、事実としてそれを楽しみにしている視聴者も居ますし、それが先の「動機」をより切実なものとしている側面もある。また、それらの迷惑行為に対して否定的であるいっぽうで、「でも、それをされたら、人はどういう反応をするのだろう」と怖いもの見たさにも似た興味を覚えてしまう自分が居るのも事実でした。
 このもやもやとした割り切れない感情が原体験となり、ならば作品を通じて「すこぶる歪で、従来の常識ではとても考えられないけれど、いまを生きる私たちとどこか地続きのようにも思えてしまう事件・人間模様」を描いてみたいと思ったのです。》

 
そして、「現代」を持ち込むことは、ミステリを“進化”させる可能性も秘めていると言います。

《現代的なテーマ」とミステリについては、親和性が高く、可能性は無限に広がっていると感じます。例えば捜査技術の発展により古典的なトリックの一部が陳腐化してしまったりする例をよく聞きますが、先述の通り、「現代的なテーマ」ひいては「新たな技術や価値観」からは従来ではありえなかった目新しい動機・トリックが産み落とされる余地が多分にあると考え、本作でも自分なりに実践したつもりです。

ただ、執筆の根底には、あくまでエンターテイメントとして、普遍的な人間の心理を描くのだという意識もありました。どれだけ時代が移り変わり、技術が発展しようとも、結局最後に人を突き動かすのは「普遍的な欲求・感情」であろうとも予感もしています。それをいかに自然な形で物語に忍び込ませたのか、ぜひご注目いただければ幸いです。》

 

著者プロフィール

著者の結城真一郎(ゆうき・しんいちろう)さんは、1991年生まれ、神奈川県出身。東京大学法学部卒業。2018年『名もなき星の哀歌』で第5回新潮ミステリー大賞を受賞し、2019年に同作でデビュー。

2020年に『プロジェクト・インソムニア』を刊行。同年『小説新潮』掲載の短編小説「惨者面談」がアンソロジー『本格王2020』(講談社)に収録される。2021年には「#拡散希望」(『小説新潮』掲載)で第74回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。同年、三冊目の長編作品である『救国ゲーム』を刊行し、第22回本格ミステリ大賞の候補作に選出される。

 

#真相をお話しします
結城 真一郎 (著)

私たちの日常に潜む小さな”歪み”、あなたは見抜くことができるか。

 
【関連】
結城真一郎『#真相をお話しします』特設サイト | 新潮社

 


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