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「母になるなら、流山市。」大西康之さん『流山がすごい』が刊行

大西康之さん著『流山がすごい』

大西康之さん著『流山がすごい』

経済ジャーナリスト・大西康之さんが千葉県流山市を徹底取材した『流山がすごい』が新潮社より刊行されました。

 

成毛眞さんも絶賛の傑作ノンフィクション! 「母になるなら、流山市。」のコピーで6年連続人口増加率全国トップとなった千葉県流山市の変貌の秘密に迫る!

千葉県の北西部にある流山市は、かつては数多ある首都圏のベッドタウンの一つで、あまり目立たない街でした。ところが今では6年連続人口増加率日本一。子育てがしやすい環境が評価され、子育て世代や全国の自治体関係者から注目を浴びています。

 
なぜ流山に人が集まってきたのか。それにはいくつもの理由があります。よく知られているのは、つくばエクスプレスが2005年に開通したこと、「流山おおたかの森」の開発が成功したこと、2003年から市長を務める井崎義治さんの「共働き子育て世代」に的を絞った人口流入政策が功を奏したこと、などです。

 
「保育園落ちた日本死ね!!!」の匿名ブログが注目を集めたのが2016年。預ける保育園のない多くの共働き子育て世代の親たちは、流山に駆け込みました。何しろ流山では、駅にある送迎ステーションに子供を預ければ、保育園までの送り迎えをやってくれるのですから。

 
この本には多くの実名の人物が登場します。都心から30分圏内にもかかわらず残っていた手つかずの自然に惹かれて引っ越してきた都市計画コンサルタント(この人がのちに市長になります)。結婚、出産を経て、都心での子育てに限界を感じた女性たち。流山に未来型のショッピングタウンを作り上げたビジネスパーソン。リクルートを飛び出し、有機農法をビジネスにした起業家。田中角栄を口説き、つくばエクスプレスを誘致した元市長。自身も流山在住30年である著者の大西さんは、こうした人々へのインタビューを通して、流山の実像に迫ります。

 
「この本、マジ絶賛です。目からウロコすぎ」とフェイスブック上で本書を絶賛したのは、書評サイトHONZ代表の成毛眞さんです。流山市の政策について「それにしても流山などの先進的な自治体が増えると、本当に日本は地方から変われるかもしれない」と綴っています。

そう、井崎市長が実行した政策は、実は今の法律の枠組みの中でもできるもので、要はやる気と実行力があるのかどうか、全国の自治体の首長が問われているのです。

また成毛さんは「流山を変え支えている人たちがすべて実名で登場する。その臨場感はまさにノンフィクション。感動保証します」ともコメントしています。

 
<内容紹介>

「母になるなら、流山市。」のキャッチコピーで、6年連続人口増加率全国トップ――。かつては数多ある東京のベッドタウンの一つにすぎなかった千葉県流山市がいま、脚光を浴びている。「子育て中の共働き世代」に的を絞った政策をはじめ、人材活用、産業振興、都市計画、環境保全まで、あらゆるテーマを同時並行で推し進める。流山市在住30年、気鋭の経済ジャーナリストが、徹底取材でその魅力と秘密に迫る。

 

本書の構成

第1章 保育の楽園が生んだ奇跡
送迎保育ステーション/6年連続人口増加率トップ/経済ジャーナリストの視点/「田舎は嫌」だったはずが……/特殊な人が賞賛される場所/SimCityみたいだ/女性向け創業スクール/シビック・プライド

第2章 ヒューストンから来た市長 井崎義治物語
「結構遠いなあ」/街としてのポテンシャル/都市計画のプロ/筆者が流山に住んだわけ/「素人レベル」の計画図/流山の可能性がつぶされる/誰もやらないのなら、自分がやる

第3章 市議になるなら流山 近藤みほ
保育園に入れる街を求めて/「共働き子育て世代」向けの施策/データを揃え市長を説得/「今は転入してこないで!」/最大会派の幹事長に

第4章 「母になるなら、流山市。」流山市改造計画
  財政危機/妻は出馬に大反対/市長選大勝利/村上春樹風「もう一つの未来」/マーケティング課/グリーンチェーン認定制度/「伝えたいのは、まさにこれだ」

第5章 「千葉のニコタマ」はこうして出来上がった
スタバより「角上魚類」/進むハイソ化/大型ショッピングセンターの草分け、東神開発/「次のニコタマ」を探して/シネコン設置など10項目のお願い/大衆路線のSCも

第6章 起業するなら流山 和菓子店の女主人は31歳
本当の美味しさを/専門学校から老舗の和菓子店へ/商工会議所の創業塾/切り絵行灯と利根運河/古民家リノベーション/若者を引き寄せる力/白みりん、小林一茶、近藤勇

第7章 流山は一日にしてならず 角栄を口説いた男・秋元大吉郎
流山の恩人/「よっしゃ、わかった!」/ヘソのない陸の孤島/霞ヶ関・永田町詣で/松戸、野田との棲み分け/審議会のキーパーソン/住民への説明を徹底

第8章 野菜買うなら流山 有機農法の鉄人・小野内裕治
リクルートから有機農法へ/江副社長からの電話で東京へ/圧倒的当事者意識/都心から25分の場所にある耕作放棄地/障がい者を農場へ/フードロスゼロを目指す

第9章 天才サッカー少年が球団社長になる 流山FC・安芸銀治
ゴルフと宴会の日々/英国でのサッカーの楽しみ/流山でサッカー漬けに/初の社会人サッカークラブ/秋田、青森、アイルランド/目標は「10年以内にJリーグ」/流山の心の支えに/「すすめ!!パイレーツ」

第10章 東京ドーム30個分の「EC神殿」が1万人を雇用する
巨大物流倉庫群/楽天、アマゾンはここから発送/少年サッカーの聖地が消滅? スプロール化の危機を回避/「物流」という新しい産業/倉庫が市民の命を守る

 

著者プロフィール

著者の大西康之(おおにし・やすゆき)さんは、1965(昭和40)年生れ、愛知県出身。1988年、早稲田大学法学部卒業、日本経済新聞社入社。1998(平成10)年、欧州総局(ロンドン)、日本経済新聞編集委員、日経ビジネス編集委員を経て2016年4月に独立。

『三洋電機 井植敏の告白』『稲盛和夫 最後の闘い JAL再生にかけた経営者人生』『会社が消えた日 三洋電機10万人のそれから』『ファースト・ペンギン 楽天・三木谷浩史の挑戦』『ロケット・ササキ: ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正』『起業の天才!―江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』など著書多数。

 

流山がすごい (新潮新書)
大西 康之 (著)

 


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