元新聞記者が日本脱出して感じた、中国にあって日本にないものとは? 浦上早苗さん『崖っぷち母子、仕事と子育てに詰んで中国へ飛ぶ』が刊行
元新聞記者・浦上早苗さん著『崖っぷち母子、仕事と子育てに詰んで中国へ飛ぶ』が大和書房より刊行されました。
母と息子で勇気を出して渡った「中国」は、とんでもなく面白い国だった! 元新聞記者が赤裸々に綴る大国と中国人のリアル
未婚の母だった新聞記者が、仕事と育児の両立に限界を感じて、何の展望もなく子連れで中国に留学。アフリカ人だらけの学生寮に住んで、格闘する日々を赤裸々に綴りました。
中国で暮らす中で見えたのものは、著者が日本の狭い常識に、いかにがんじがらめに縛られていたか、ということでした、仕事も育児においても。
めちゃくちゃ考えさせられるけど、めちゃくちゃ面白い中学留学奮闘記、誕生!
《中国に行く前の私は、水槽で泳ぐ弱った金魚だった。
新卒で新聞社に入社して10年ちょっと、未婚でソウを産んで6年……。彼を育てあげるために起きている時間の多くを仕事に捧げていたが、それが正解かどうかわからなくなり、疲弊するのを感じながらも、自分の生きる場所はここしかないと思いこんでいた。
じわじわ水かさが減り、酸素が薄くなり、このままでは窒息死すると追い詰められた私は、会社、そして日本という水槽の外に飛び出す決断をした。
中国は自由のない、監視国家に見えるかもしれない。
だけど、「自由のない」はずの国で自在に生きる中国人たちと出会い、私は国には縛られていないけど、社会とかまわりとか、何よりも自分自身に縛られているよね、と思うようになった。30代半ば、ソウを連れて決死の覚悟で飛び出したけど、「決死」だと思っている点でがんじがらめだったのだ。レールに戻れないことを、なぜあんなに恐れていたのだろう。
昔の私に教えてあげたい。飛び出した先に、あなたの未来とキャリアは続いていくんだよ、と。》
(本文より)
<ジャーナリスト浜田敬子さん、絶賛!>
「こうあるべき」圧が強い日本では果たせなかった仕事と子育ての両立。詰んだ母子を救ったのは鬱陶しいほどのお節介と、ある種の“雑さ”だった。
本書の目次
はじめに――中国でゼロから自分をつくりなおす
■ザ・中国人のビジネスルール
■中国には「見知らぬ人」か「友達」しかいない
序章 もう限界!未婚の母の日本脱出
■私は「産んだだけ」の母ですか?
■会社を辞めるわけにはいかない
■「午前2時帰宅」という働き方
■1人で夜中に飛び出したソウ、背筋が凍った夜
■怒濤の転職活動――どうにかして日本を出よう
■まさかの中国へ
■「専業主婦」がいない国
第1章「こんな生活いやだ」中国2日目で早くも心折れる
■白タクおじさん集団、登場
■いよいよ始まった、母子の寮生活
■中国2日目、ドリルでドアを壊される
■中国3日目、母子で大号泣する
■門限破りで閉め出され、ロシア人に救出される
■「中国語がわからない」より困ったこと
■中国人は人との距離感がオカシイ?
■道に迷ったら――自力で調べる日本人、その辺の人に聞く中国人
■崖っぷち母子、遊園地でぼったくられる
■子どもにも容赦しない射的おじさん
■私の「日本人なめんなよ」体験
■ソウの心を支えた宮崎駿アニメ
■日本のアニメもドラマも違法コピーの嵐
■実はXもアクセスできる中国
■動物園でウサギを投げこむ残酷ショーの衝撃
■道端に転がるヤギの頭
コラム① 中国一の親日都市、大連の栄枯盛衰
第2章 中国人だらけのインターナショナルスクールに驚く
■幼稚園でも小学校でもない、謎の教室
■「学前班」は教育熱心な国ならでは
■おやつ2回に桃は丸ごと1個、豪華な給食
■7歳でも気づく2つの国の違い
■チェーン店でも味が違うのは当たり前
■正確で秩序にあふれた日本
■贈り物をしないと子どもが不利に?親を悩ませる「教師の日」
■恐怖の保護者会―親の「教育力」に点数をつけられる
■円周率は100ケタまで――「記憶力」というスゴい授業
■「ママのかわいい子」という歌
■「子ども料金」は年齢でなく身長で決まる?
■『かいけつゾロリ』は国境を越える
■「中国に行きたくない」ソウ、初めての反抗
■絵に描いたような貧乏生活
第3章 異国の寮生活、最初の友達はアフリカ人
■中国なのにアフリカ人だらけの留学生寮
■ギニアと赤道ギニアは違う
■アフリカ人から見たアジア「好きなのは日本、近いのは中国」
■日本が見ている「グローバル」の意味
■3・11 の夜に起きたことー無力な自分と留学生の連帯
■起きていることはすべて世界とつながっている
■ラオス人留学生が歌う日本のヒット曲
■「チーズはどこに消えた?」事件
■すぐ盗まれる日本製「計量カップ」
■犯人は中国人? ロシア人? ドイツ人?
■「俺はアラレちゃんを知っている」ドヤ顔するコンゴ人
■ソウ、別れのつらさを学ぶ
第4章 中国語クラスで世界の多様性にふれる
■あの頃、ロシア人とウクライナ人は友達だった
■更新されないFacebook と戦争の影
■「一、二、三の次になぜ四なんだ!」非漢字圏留学生の憤怒
■中国語には「し」「ち」「ん」の音が2種類ある
■「日本では99歳を白と言うだろ?」
■日本は世界に「憧れられ」「信頼され」ている?
■「ジョブ イズ ライフ」な国、日本
■寿司マニアのベルギー人・マーチンについて
■むき出しの格差社会――屋根裏に暮らしていたソウの友達のこと
第5章 日本では犯罪、中国では商才―ソウ、ダブルスタンダードを習得する
■偽ミッキーが子どもの夢をぶち壊すー中国の「こどもの日」
■漢字は同じなのに中身は真逆、日本と中国の「調整文化」
■「事前申し込み」という概念がない
■なぜ中国のトイレにはドアがない?ある日本人のもっともな仮説
■カフェのテーブルで子どもがおしっこ?
■和式トイレの向きがあきらかに変
■結論、中国のトイレに神様は住めない
■誰が作った? 半分透明ガラスのドアのトイレ
■「日本人の尻は甘やかされている」
■車にはねられても大丈夫!――完全無敵のカバン、その名はランドセル
■中国の「経営学」授業は、マルクスと三国志?
■ここは中国……なのに事例はアメリカ企業の話ばかり
■中国人学生もお手あげ、教授の方言との戦い
第6章 自由のない国の自由すぎる人民たち
■中国人監督のオファーでまさかの女優デビュー
■3日間で撮影……なのにモメる監督と助監督
■地獄の上映会
■「お客様は神様」なわけない。職務放棄も辞さないぞ
■バス運転手VSタクシー運転手
■いつもどこかで誰かが喧嘩
■漫画みたいな「カンニング大作戦」
■大胆不敵、A4サイズのカンニングペーパー
■抗議する日本人と交渉するロシア人
■仕事も子育ても助け合ってやればいい。みんなそうしてるんだから
■共働き前提の中国にある「ゆるさ」に救われる
■「仕事は大事だが、子どもはもっと大事」がブレない国
■副業は当たり前。正義の白タクの正体は大企業の営業部長
コラム② 一人っ子政策のいまー人口でインドに抜かれた中国、日本との共通点
終章 日本脱出で得たもの、失ったもの
■中国で目的を見失う――不安と焦りの日々
■大人留学の理想と現実
■42歳、「自分探し」の人
おわりに――ブランクがリスキリングになった日
■行動した人だけの特権
著者プロフィール
浦上早苗(うらがみ・さなえ)さんは、1974年生まれ、福岡市出身。経済ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒業後、1998年から西日本新聞社記者。2010年に中国・大連の大学に7歳の息子を連れて国費博士留学(企業管理学)。少数民族向けの大学での講師を経て現職。法政大学イノベーション・マネジメント研究科(MBA)で教鞭を取りながら、外資系企業の日本進出支援も手掛ける。通訳案内士。
著書に『新型コロナVS中国14億人』(小学館新書)がある。
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